29、旭商会の秘密
私はマキシム君の異変を不審に思い、すぐに学校から外出許可を頂いて、両親の家へと向かいました。
「お父さん、お母さん、ただ今戻りました。」
「‥レミー!?」
私の突然の帰宅に驚いた両親でしたが、私のただならぬ様子を見て、父の書斎で話を聞いてくれる事になりました。
私は、マキシム君が最近毎日のように旭商会に招かれている事や、マキシム君がぼーっとしてておかしい事などを父に話しました。
「‥一つだけ思い当たるものがあるが、‥まさか、違うよな‥。」
「‥何ですか?何でも言って下さい。」
「‥阿片‥かもしれない。」
「アヘン?」
「‥けしを乾燥し粉にした物なんだ。医療用に痛みどめや咳止めとして、日本にも少しずつ流通してきている薬なんだが‥。大量に摂取すると、幻覚を見たり、ぼーっとしてしまうんだ。」
「‥それを何故マキシム君が?」
「‥旭商会と聞いて、最近阿片を取り扱ってるのを思い出しただけだ。‥まだマキシム君が阿片を吸ったと確定した訳ではない。」
「‥旭商会が何故そんな危険な物を持っているのですか!」
「‥政府と協力して、少しでも外貨を稼ぐ為だよ。‥阿片は医療用以外にも、煙草のように嗜好品として好まれるんだ。おまけに中毒性もある。‥危険だが儲かるんだ。」
「‥万が一、そのアヘンをマキシム君が旭商会で吸わされていたとしたら‥どうしたらいいですか!どうすればマキシム君を助けられますか?」
「‥まだ証拠もないし、憶測の域を出ない話だ。‥落ち着け、レミー。」
「落ち着いてなんかいられません!私は今から旭商会に乗り込みます!」
「お前は馬鹿か!お前一人で乗り込んで行って何ができる!それに下手をすると、お前ごとき簡単に殺されてしまうんだぞ!」
「‥なら、お父さんも後から警備隊を連れて追いかけてきて下さい。旭商会の場所は知ってるんで、先に行きますね!」
「コラ!レミー!!まだ旭商会が悪いと決まった訳じゃないんだぞ!もし、乗り込んで行って、間違いだったらどうするんだ!!」
「とりあえず行ってきます!」
私は父がとめるのも聞かずに、急いで旭商会へ向かいました。
だって、こうしている間にもそのアヘンという薬のせいでマキシム君が苦しんでいるのかもしれないじゃないですか!
‥‥私は特に計画も何もなく、ただ闇雲に走っていました。命の危険?そんな物ちっとも怖くはありませんでした。寧ろ、憎っくき旭商会とフジコさんに正面きって言ってやりたい文句がいっぱい浮かんできて、私は興奮して顔に笑みすら浮かんできました。
‥‥だってもう、後悔はしたくはなかったのです。フジコさんにマキシム君が連れて行かれるのを指を加えて見ていたくはなかったのです。
「フジコめ、会ったら一発引っ叩いてやりたいわ!」
そんな私の後を、何人かの警備隊がついてきてる事を私は知りませんでしたが、私はこの事を、後で父にとても感謝する事になるのでした。




