12、正式に婚約者となりました
今日は王様に呼ばれて、謁見の間に来ております。
我が国では謁見の間での発言や、王様のお顔を凝視する行為は一切禁じられている為、私は黙ったまま膝をついて、ひたすら王様の御言葉を待ちます。
しばらくの沈黙の後、王様からのお言葉を頂く事が出来ました。
「レミー、ダイアンと君との婚約が正式に決まった。ローズ侯爵のもとにも書状を送ってある。これからも引き続き精進してくれたまえ。」
王様はそう言い終えると、すぐに玉座の間へと移られました。これから大切な会議があるようです。
私はお城へ毎日通ううちに、王様が分刻みの忙しさで動かれている事を知りました。
私は王様をとても尊敬しています。そんな王様からダイアン王子の婚約者として認められたのです。
とても光栄ですし、素直に嬉しいと思えました。
それに、もうダイアン王子が私の婚約者だと決まったのなら、私も覚悟を決めようと思います。
これからはダイアン王子だけを見ていこう、そう思ったのです。
私はこの今の自分の気持ちを、ダイアン王子に伝えたくて王子への謁見を求めました。
すると、王子の従者のサントスさんがやってきて、私をお城の庭へと案内してくれました。
庭のテラスでは、ダイアン王子とハインリヒ様と、数人の令嬢がお茶会を開いていました。
皆んな私よりもとても大人びて見えます。
令嬢達はお化粧をして、アクセサリーを身につけ、とても洗練されていました。
なのに、今日の私は‥子供っぽいリボンを頭につけて、少女らしいドレスを身に纏っていました。
ダイアン王子が、私に向かい手を振ってくれました。こっちにおいでよ、という事でしょうか。
ダイアン王子の横では、ハインリヒ様や令嬢がニヤニヤしながら、ヒソヒソ話をされています。
私は‥何となく嫌な感じを受けました。そして、このメンバーの中に入る事に拒絶感を感じました。
でも‥逃げてばかりじゃ駄目、頑張ってあの輪の中溶けこまなきゃ‥と私は少しずつテラスへと足を進めました。
ですが‥ダイアン王子の横の女性が急に王子にしなだれかかり、それを王子は抱きとめると、それきり‥こちらを振り向く事はありませんでした。
テラスのメンバーは、皆んなまたヒソヒソと話を始めて、時折私を見ては苦笑いする表情を見せるのでした。
私は、こんな雰囲気の中に入り込む勇気はありませんでした。
‥‥いくじなしの私は、静かにその場を立ち去るのでした。




