10、ダイアン王子とハインリヒ様
成人のお祝いの会は、レミーが会場から去った後も長い時間続きました。
会が終盤になる頃、令嬢達に囲まれてヘトヘトに疲れ果てたダイアン王子とハインリヒ様が、共にバルコニーにやって来ました。
バルコニーで夜風に当たりながら、二人は今日の事を話し合いました。
「はぁ、疲れた。‥‥で、ダイアンはレミーにちゃんと告白はしたのか?正式に婚約者になって下さいって言ったのか?」
「どうだろう。‥きちんと伝えられた自信がない。‥‥それに何か恥ずかしかった。‥あれで良かったのかな?」
「ダイアン、君から僕に頼んで来たんだろ、僕みたいに自信満々になりたいって‥‥だから僕のやり方を全て君に伝授したのに。」
「‥ごめん、そうだよね。僕から君に頼んだ事なのに文句を言うなんて間違ってるよね。」
「まあ、これからは近い距離にいる訳だし、チャンスはいくらでもあるさ。」
「‥ありがとう、ハインリヒ。‥そう言えば、君の初恋の相手にはもう会えた?」
「‥ああ。だが、既に良いお相手がいるらしい。それに、この会場で彼女がお相手とキスしてるのを見たんだ。‥もし、二人が互いに思いあっているなら、身を引くしかないだろうな。」
「‥ハインリヒ、君も辛い恋をしてるんだな。」
「‥辛い?全然そんな事ないよ。たかだか初恋だ。それに初恋はかなわないってよく言うだろ?」
「皆んなが皆んなそうじゃない。ちゃんと初恋を実らせて幸せになった人もいる。」
「ああ、ミカエル王子とルビーさんか。」
「だから君も好きな人がいるなら、簡単に諦めないで欲しい。‥‥君の好きな人は、そのお相手とはもう婚約してるのか?」
「‥それがはっきりと分からないから、君に聞きに来たんだよ、ダイアン。」
「‥まさか!」
「‥僕の気になってた令嬢のレミーは、君の好きな人だったんだよ。」
「‥僕の恋を応援するって言うのは‥嘘か?」
「嘘じゃない、本気だ。君がきちんとレミーに告白をして、正式に婚約できるように協力するよ。‥‥ただ、万が一君が彼女との婚約を諦める事があったら、僕は彼女に告白するよ。」
「分かった。話してくれてありがとう、ハインリヒ。」
「‥だからダイアン、頑張れ!」
ダイアン王子とハインリヒ様は、固い握手を交わしました。




