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松明が2つ灯るのみの薄暗い一室。
その奥に据えられた玉座の上で、男は窓から見える虚空を眺めていた。
ザザッ。
豪華な鎧を身に纏った黒髪の騎士が現れる。
「リチャード様、ご報告申し上げます。」
「もうよい、結果などわかりきっておる。シルファの首をさらせぃ。」
「それが・・・。送込んだ朱妁は全滅。シルファ様は王都リンドブルムへ帰還とのことです。」
リチャードは目を見開く。
ケルベキア最高戦力の一つである朱妁が全滅。ありえないことだ。
「それは誠か?」
「残念ながら、誠にございま、・・・がっ。」
リチャードは、無言で騎士の胸元に剣を突き立て、
「使えぬ。朱妁が全滅だと、・・・。そのようなことがあるはずがなかろうが。」
ぶつぶつと呟きながら、流れ出る血を無表情で眺めていた。
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