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「シルファ様!ヤトリ様!」
銀色の甲冑を纏った騎馬の一団が走ってくる。
「遅い!貴様ら、何をしておった!」
「申し訳ありません。峠を越えるのに少々手こずってしまいました。しかし、ご無事でなによりです。して、朱妁は?」
「・・・。心配ない。目の前に黒炭となって転がっておるわ。」
「何と、あの朱妁を!流石、王国一の剣士と謳われたヤトリ様にございます。」
「私ではない。この者だ。」
「はははっ、ヤトリ様、ご冗談を。この騎士団長レイヴンをからかうのはお止め下さい。」
「・・・。」
「まさか本当にこの少年が!?」
「事実だ。私の剣では、朱妁一体と差し違えることすら、危うかったであったろうよ。もしこの少年がいなければ、姫も私も殺されていた。」
「・・・。何者なのですか、この少年は?」
「私にもわからぬ。だが、この者は姫の命の恩人だ。よって、それなりの待遇をせねばなるまい。」
「はっ!承知いたしました。朱妁がいないのであれば、これより大きな障害はございません。抜け道をご用意しております。お嬢様とヤトリ様、そして少年は馬車へ。半日もすれば王都です。」
「うむ。ご苦労。」
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