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カランカラン。
「店長。予約していたボックスは、届いた?」
「あっ、三上君!届いているよ。はいこれ!1万円なり~。」
「えっ?これ確か定価は2万円なんじゃ?」
「三上君はうちの広告塔だからねー。それと今日誕生日でしょ。だから今回は半額で大丈夫。」
「店長~!え~とちょっと待ってください。って、あれっ?」
・・・。ヤバっ財布がない。
「・・・。」
「・・・。」
「すみません!すぐ戻ります!」
カランカラン。
「あっ。三上くん!」
やべーっ。どうしよう。財布、会社かなぁ?
「三上さん!三上さぁ~ん!!」
あれっ?なんか田村の声が聞こえる。やばっ。焦りすぎてついに幻聴が・・・。
「三上さん!三上さぁ~ん!!お財布!お財布です!忘れてますよー。小汚い財布!」
って、この失礼な物言いは、間違いなく田村だ。
声のするほうへ振り返る。
すると、田村が横断歩道を走ってこちらに向かってくるのが見えた。やはり持つべきものは、できる後輩。
田村よ、さっきはデコピンして悪かった。心の中で小さな謝罪をしたその時、
キュキュキュ!
プーーーー!
甲高い音がなった。
場所は田村のいる横断歩道のすぐそば。右折しようとしたトラックがバランスを崩し今にも横転しそうになっているのが見える。
「おいバカ!田村、走れ!」
「えっ。」
田村は状況が呑み込めていないのか、その場で硬直してしまっていた。
やべぇ、間に合うか?間に合え!!
俺は慌てて田村のほうへ走る。
「ああああああああ!間に合え!」
ドンッ!
「あっ、三上さん?」
全力で歩道に田村を押し出したと同時、
ガッ!ガガガガガガッ!
全身にこれまで体験したことのなような衝撃が走った。
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