罪と神
何週間も更新忘れてました。すみません。
南アフリカ共和国に旅客機が訪れた当日の夜、2人の少年が行方不明になった。
しかしその3週間後、彼らは南アフリカ北部治安警察に保護され、日本に帰国した。
相国家の大臣達の手引きによりこの事はマスコミが関与する事はなく、日本のニュースに報道されたり、情報が流れる事はなかった。
代わりに報道されたのは、中東の紛争地域で、数時間で千人単位で人が死亡したニュースであった。
そうとはいえ、一般には少年らの両親が騒げば問題になる筈である。
帰国し、都庁に連れてこられた2人。
「天国。落ち込む気持ちは分かるけど、とにかく祖国に帰れたんだ。一旦は喜ぼうぜ。」
「俺は…守れなかった…。世界を…救えなかった…。」
「おかえりなさい。天国 幸一君と空山 海斗君だね。無事に帰ってこれたみたいで何よりだよ。私は公安警察の夢野 奏多という者だ。さっそくだが君達と一人一人ゆっくり話がしたい。」
「わ、わかり…ました。」
「……。」
恐る恐る同意する空山と無言の天国。
「ではまず、天国君から。この会議室の中で話そう…空山君は悪いが少しだけここで待っていてくれ。」
「分かりました。」
「……。」
何も言わずに会議室に入る天国。
空山は不安げにそれを見ている。
〜会議室内〜
「知らない人達が宿泊施設に乗り込んできて君と空山君をさらったんだね?」
「そうだ…。」
「それで車で連れて行かれて監禁されたけど、何とか逃げ出すことに成功…治安警察に保護される…か。なるほど…食事とかはどうしたんだい?」
「犯人達に配られた。彼らはきっと生きのいい俺達の内臓を欲していたんだ。」
「そ…そうか…それは災難だったな。具体的には後ほど聞かせてもらうよ。まずは家まで送るから両親と顔を合わせるといい。きっと心配してる。」
軽く頷いた天国は部屋を出る。
「次はお前だぞ…すぐ終わるから早く済ましてこい…。」
「ああ…しっかり話してくるよ。矛盾のない事実を伝えてくるさ。」
「空山君…実は…。」
「どうしたんですか?」
「君の両親が死んだ。」
空山は息が止まったように瞳を大きく開いた。
「え……?」
「君の父親が麻薬を摂取してね…父親が振り回した野球バットが君の母親の大脳を破壊した。その後父親も急性中毒で息を引き取った。」
「なん…だって…。父さん…母さん…うあああぁああああああああああ!!!!」
泣き叫ぶ空山。唇を噛み切る公安警察の夢野。部屋の外には驚愕の表情を浮かべる天国。
天国の両親は幸一の超能力で普通に過ごしていた。
空山は祖父母の家に引き取られ、その1週間後には始業式が始まる。
〜始業式当日〜
空山はカウンセリング中のため欠席していた。
「天国君…話があるわ。」
「夢野…なんだ?」
彼女は夢野 叶愛。クラスメイトであり天国が超能力者である事を知っている。
「まずは私が嘘をついた事を謝るわ…。あの実験結果は嘘で、あなたは10m以上の範囲の相手でも意思1つで超能力を発動できる。」
「そうか…構わないさ…。俺は世界を救えなかったんだから…。もうこんな能力持ってても…仕方がないんだよな…!」
「そして私は中東紛争地域で数時間で何千人もの死者が出た事件にあなたが関与している事を推測しているわ。あんな事が出来るのはあなたぐらいよ。」
「そうだな…。その通りだよ…。誰にも言えないけど…俺は人を殺してしまったんだ…俺は…俺は大量殺人鬼だああ!あああああ!」
「私があなたに嘘をついた理由を教えるわ。」
「今更…何だって聞いてやるよ…ははは…。」
「公安警察の私の父親からあなたを守るためよ。」
「ああ…そんな名前してたな…。」
「私の父親は公安のトップ階級なの。社会の闇に忍び込んで何人もの重犯罪者を殺してきたわ。あなたが何かをしでかしたらあなたは目をつけられてしまう。私はあなたを守りたかったの。」
「そうか…。俺は何‘千’人も殺したけどな…。悪いが何の感情も湧かない…俺にあるのは虚無だけだ…。」
「あなたの事が好きだったからそうしたの。あなたに何の問題も起こして欲しくなかったの。」
「そうか…。それでその忠告を無視し続けた俺を侮辱しに来たのか…?いくらでも侮辱されてやるさ。」
「あなたを侮辱?とんでもない。本題はここからよ。」
「何だ?」
「私は宇宙の在り方を変える事が出来る超能力者なの。」
「は?」
「私の超能力は、時空間を超越して作用する。世界の歴史や文化、ヒトの形や指の本数、星座の位置や重力の有無、原子の原理など全てを根源から自在に変化させる事ができる。」
「面白くない嘘だな。俺でもくだらないと思うよ。全てを変えられるんならその力を今すぐ使ってアフリカで俺が殺した人達を生き返らせる事もできるはずだよな?今すぐそれをしたらどうだ?」
「私はあなたの実現させたかったユートピア…いえそれ以上の…豊かで争いもなく死ぬ事もなく歓喜と安堵と愛で満ち溢れた超人類達の完全世界を作り上げた事だってあるわ。それだけじゃない…。幾千万もの世界を、私は創りだしてきた。」
「神様ごっこか…?馬鹿馬鹿しい事言ってんじゃ…」
ギュオオオン!
突如教室の天井が消え、天国と夢野が高速エレベーターより早い勢いで空を飛び、宇宙空間に放たれる。
地球が下に見える。
「何だと?宇宙空間…!?呼吸ができるしいつも通りの感覚だな。一体何だこれは!!」
「私の言う事を信じて欲しかったからやってみたのよ。あなたのその記憶を保持した状態で元いた世界に戻すわね。」
パチン!と指を鳴らす夢野。
「神様ごっこか?馬鹿なこと言ってんじゃ…これが…お前の超能力か!?」
「そう。こんなの序の口にもならないわ。私は宇宙の創造神に匹敵…否、創造神でさえも作ろうと思えば作れるわ。」
「なん…なんだと…!??」
「ふふふ♪」
「今すぐその力を使って!世界を救ってやってくれよ!!」
つづく




