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1st Lap.出逢うは始まりの朝に

この作品はフィクションです。作中に登場する、人物や団体、その他諸々の名称や事柄は、実在のものとは関係ありません。

 最後のアンダーブリッジを抜けて、光の下へ。

 左コーナを掠め、残り二つのコーナへ、誰にも邪魔されずに突入する。

 最後のコーナを上った先には。

 私のために用意されたフラッグが、振られるその時を待ちわびている。

 ピットウォールから身を乗り出した仲間達が、私の帰りを待ち受けている。

 誰よりも速く、誰よりも先に、栄光が待つ、その場所へ。

 研ぎ澄まされた感覚のまま、荒れ狂う感情を胸に秘め、そのまま私は――――。




 窓からは麗かな日光が差し込み、庭先からは麗かな鳥のさえずりが聞こえる。

 だけどこの麗しき始まりの日に、期待に胸を弾ませた私には、そんな光景をのんびり楽しむ余裕はない。

《本日、日本時間正午過ぎ、いよいよ第三宇宙ステーションより、この人工島『アースステーション』へ向けて、特殊ワイヤの懸下が始まります。関係者によりますと地上からワイヤが目視できるようになるのはまだ数日先のことだそうですが、それでもこの歴史的瞬間に立ち会いたいという、たくさんの人が世界中から集まっております。この作業の開始によって本格化する軌道エレベータ計画はこの先――》

 テレビから聞こえてくる、ここ連日おなじみになっているニュースを聞き流しながら、掻き込むように朝食を流し込む。鞄の中身やポケットのピット(PIT:掌上情報端末)をしっかり確認したら、いざ出発!

「おかーさん、行ってくるねー!」

「ちょっと未玖! 片付けくらいして行きなさい!」

「学校に急がないといけないからー!」

 そんな会話をしながら、家を飛び出す。実は時間にはまだ余裕はあるが、今日は高校の入学式。万が一にも遅刻するわけにはいかない。自転車通学には許可が必要で、新入生がその許可をもらえるのはまだ少し先らしい。徒歩となれば、余裕を見るに越したことは無いだろう。


 ――軌道衛星上から、携行ミサイルからICBMまで、理論的にはあらゆるミサイルを発射前に起爆までさせてしまえるという、アンチ・ミサイル・サテライトの開発、そして相次ぐ打ち上げの成功によって、ミサイル利用、そして核保有はほぼ純粋なリスクとなり、核の傘の概念は崩壊。だが人類の知性は新たな力による抑止を求めること無く、その後、緩やかにではあるが、人類の戦争の歴史は終わりに向かい始めた。

 そして、遙か昔から戦争が担っていた技術進歩の促進という役割は、今は宇宙開発競争に引き継がれ、その結果、いよいよ人類は、かつて絵空事でしかなかった軌道エレベータを現実のものにしようとしている――。

 ――という説明は、中三の終わりに習ったことだから、まだよく覚えている。

 つまり――、

「人類は喧嘩をやめて、懸下をします。……なんちゃって」



 ――真顔だった。

 インターン先に請われ、大学卒業を待たずにこの春から就職することを決めた僕は、その会社への道を、希望と期待と覚悟を胸に歩いていた。

 その時、すれ違おうとしていた少女が、ふと口にした一言。

 何を言ったのか。確かに聞こえたはずだが、脳が理解を拒絶しているのか、まるで覚えていない。

 しかし、その瞬間、周りの人達が皆一様に、真顔になった。

 それは、老若男女を問わず。

 リードに繋がれた犬さえも。

 そして、列をなして進む車の“顔”までもが。

 ――そんな光景が僕の目には見えた、気がした。

 ハッと気付くと、周りは何事も無かったかのように時間を刻んでいる。

 少女も、もうそこにはいない。

 僕もいつまでも呆けていないで、会社へ向かわないと。

 そうして歩き出した僕の顔は、きっと満面の、――真顔だった。



 ……なんか一瞬、主観が知らない人に移った気がしたけど、うん、きっと気のせいだろう。

 まあ、そんなわけだから、軌道エレベータ関連のニュースで盛り上がっているのもきっと当然だし、そんな時代に生きていることは奇跡みたいなものかも知れないとは思う。

 だけど、今日という日は、私が花の女子高生になる記念日だ! 軌道エレベータ? 些事ですね。

 ちょっと浮かれすぎかも知れないな、と自覚しつつ、下見と称して何度も歩いた道を進むと、やがて、周りには同じ制服を着た女の子達が少しずつ増えてきた。

 家から一時間近く掛かる、決して短くない距離を歩いたけれど、いよいよ校舎が見えてくると逸る気持ちは抑えきれず、疲れなど全く無いかのように、私は颯爽と駆け出した――。……気持ちだけは。

 どうしてか私は足が遅い。小学生の頃、足が速いというのは私にとっては一つのステータスと言えた。だから速くなるために、中学時代も走り込みやら体幹トレーニングやらを続けてきたのだが、いくら走ってもどこかふわふわとしてしっくりとこない。納得できる走りが出来るようになったら陸上部に入って驚かせてやろうなんて思っていたら、結局、帰宅部のまま中学を卒業してしまった。

 でも、高校では! きっとこれまでの努力が花開く。花開かせてみせる!

 そんな決意をする私を、校門まで続く桜色のトンネルを作る桜並木が、温かく迎え入れてくれている。


 私立煌華女子高等学校(通称:煌女)。

 ジェンダーフリーの概念が浸透した社会に於いて数を減らした男女別学校だが、煌女は敢えて“女性らしさ”を“個々の持つ強み”の一つとして捉え、それを育むことで世界でひときわ輝く人材として世に羽ばたかせる、というモットーを掲げ、特に若い年代の親に支持されている女子校だ。

 古い世代は未だに“平等”を声高に叫ぶが、私達から見ればそんなものは、どうしようもない男女の差異さえ無視して、ただ全員に一様な“人間”というレッテル貼りをしようとする作業のようなものに見える。社会科の授業で学んだ限りでは、昔の価値観では平等という概念は価値のあるものだったようだけど、今を生きる若い私達を巻き込まないで欲しい。

 性差や、かつて障害と呼ばれていた特質も含めた、個人個人の“特徴”を認め合い、受け入れることで、助け合い、補い合って、より良い“全体”を創り上げる事が出来る。そんな、かつての個人主義ともニュアンスの違う形で個人を尊重する価値観が、今の時代では一般的になりつつあるのだから。

 まあ、そんなことはともかく、重要なのは、煌女が多くの女子中学生にとって憧れの学校で、私は見事そこに合格したということだ。浮かれてしまうのも無理からぬ事だと理解してもらえるだろうか。

 校門の前では、上級生と思われる人達が、新入生に胸飾りを配っている。みんな優しそうで、でもどこか凛々しくて、カッコイイ。私よりちょっとだけ年上なだけなのに。

 私もこんな風に素敵なレディになるのだ! と、決意も新たに鼻息荒く、胸飾りを受け取って、校門をくぐる。

 広くて綺麗な道の真っ直ぐ先に校舎がある。だが、その手前、中間地点には噴水が。見学や入試の時にも思ったけど……、ハイソサエティか!

 その横から左右に正面の道と比べると幾分細い分かれ道が延びているが、どこに続いているのかはいずれ分かるだろう。今は真っ直ぐ進み、昇降口へ向かう。脇の大モニタでクラス分けが発表されているようだから。

 そんな風に辺りの様子を確認し、改めて前へ進もうとした、その時――。

 ――ビュン!

 私のすぐ横を、何かが、風のように吹き抜けた。

 そしてその“何か”の正体は、私の少し先で止まると、ゴーグルを上げてこちらに向き直った。

「ごめんなさい。ぶつかってはいないわよね? でも驚かせちゃったかしら? ……ね、ねえ、貴女? ちょっと、大丈夫?」

 固まったまま反応しない私を心配して、その人は私の近くへ。それを目で見て認識はしていたけど、私はまだ呆けていた。……ううん、違う。

 ――私は、ドキドキしていた。

 胸が高鳴る、って、きっとこんな状態のことを言うんだろう。

 ドキドキしてる。ワクワクしてる。世界が、キラキラしてる。――これは何? 知りたくて、知りたくてしょうがない!

「あのっ!」

「キャッ?! ……ああ、良かった。ちゃんと動いてくれた……。えっと、それで、何かしら?」

 私は興奮を抑えきれないまま、その人に尋ねる。

「“それ”、何ですか?!!」


 入学式も、クラスに移ってからの自己紹介なんかも、ほとんど上の空だった。今になってそれに気付いてちょっと不安になったけど、まあ、とんでもないことはしでかしてないだろう。……多分。

 ちなみに、入学式が行われたのは体育館ではなく、全校生徒と教職員あわせて五百人弱を余裕で収容できる広さの講堂だ。ハイソサエティにも程がある!

 いや、そんなことよりも。

 ――いよいよだ!

「“これ”に興味があるのね? ……うん、それなら、放課後に第二部活棟に来て。歓迎するわ」

 今朝出会ったあの人はそれだけを私に言うと、とても自然なウインクをパチッと上品に決めて、颯爽と去って行ったのだ。

 ……ウインクの練習は家に帰ってから頑張るとして。早速、第二部活棟へ向かわなければ。

 案内板を見て、目的地を探す。――あった。

 正門から見て、校舎の裏側、二面あるグラウンドの右手側奥にある建物がそれらしい。学校見学の時もそちら側は案内されなかったので、楽しみだ。

 噴水から横へ向かう通路を歩く。道の脇に並ぶ花壇はよく手入れされているようで、そこを歩くだけでちょっとしたお嬢様気分だ。

 私が単純すぎるのだろうか? ……いや、噴水やら講堂やら、そういった上流感を学校全体で醸し出すことで、生徒に学ぶ意欲や上昇志向を持たせる、言わば舞台装置のようなものなのかも知れない。

 そんな他愛も無いことをぼんやりと考えながら気分良く歩いて行く。左折してからしばらく歩くと、前方に部活棟エリアが見えてきた。木々に囲まれたそこへ足を踏み入れる。

 ――それを見た時の私の気持ちを表すなら、“衝撃”だろうか。

 部活棟、と聞いて私がイメージしていたのが古ーいイメージのアパートなら、目の前にあるのは、二階建てでこそあるが、雰囲気はちょっとした高級マンションだ。ハイソ(以下略)。

「あのぉ……」

 そんな光景に目を輝かせていると、不意に後ろから声を掛けられた。

 咄嗟に振り向く時、目の端に何かの影がちらりと見えた気がしたが、取りあえず目の前の子に注目する。

 制服のリボンの色からして同級生のようだ。背の高さは私と同じくらいで、平均よりはやや高い。目元は優しそうで、髪をポニーテールに纏めてはいるが、下ろせばミディアムといった程度の長さだろうか。姿勢も良く、全体的にどこか気品を感じる……気がする。それ以前に、どこかで見たことがあるような気がするんだけど……。

 そんなことを考えていたら、向こうが先に口を開いた。

「片山さんも、ここに用事があるの?」

「なぜ私の名をっ!?」

 そう反射的に答えた私を、どこか納得したような呆れたような、そんな目で見て、その子は続ける。

「……やっぱりちゃんと聞いてなかったんだね。自己紹介の時ずっとぼんやりしてるようだったから、そうかも知れないとは思ってたけど」

「じゃあ、クラスメイトなんだ。ごめんね……」

「ううん、別に謝らなくても良いよ。それじゃ、改めまして……。私は、本戸(ほんど)(ひびき)。よろしくね」

「うん、よろしく。あ、私は片山(かたやま)未玖(みく)。って、本戸さんは知ってるか」

「ふふっ、知ってる。自己紹介の時と違ってたらびっくりするよ」

「ぼけっとしてても流石に自分の名前は間違えないよぅ。……あっ、私がここに居るのは、朝に会った人に詳しい話を聞くためなの」

「朝に? ……そうなんだ……。えっと、それで、中嶋(なかじま)……樹里(じゅり)さん、だったよね? 中嶋さんはどうして片山さんの後ろにくっついてるの?」

「えっ?」

 いきなり新しい名前が出てきたことに理解が追いつかずにいると――。

「……片山さんに、興味があったから」

 少し間を置いてそんな声がすぐ後ろから聞こえて、私は「ひゃあ!」と情けない声を出しながら、文字通り飛び上がり、空中でくるりと半回転。そして見えたのは、またもや見知らぬ女の子だった。

 私達よりは少し小柄なその子は、やっぱり同学年のようで、本戸さんが名前を知っていたことから、彼女も同じクラスなのだろう。腰の近くまですらっと伸びた黒髪は綺麗な艶を見せて美しく、右からサイドへ流した前髪も野暮ったい印象を感じさせない。ただ、表情はどこかぼんやりというかおっとりというか、本戸さんが“良いとこのお嬢様”なら、彼女は“深窓の令嬢”といった雰囲気と言えるだろうか。

「……ごめんなさい、驚かせて」

 思わずじっくり観察していたら、当の中嶋さんからそんな風に謝られてしまった。

「あ、ううん。私こそびっくりした上にまじまじと見つめちゃって、ごめんね」

 ――そして、一瞬の間。もしかして怒らせちゃったかな? と思ったら、

「……ううん、大丈夫。……私は気にしてないよ」

 そう言ってくれた。

 どうやら彼女は独特の間を持っているようだ。とはいえ、ただぼうっとしているというよりは、じっくり言葉を選んでいる、という感じに見える。……“ボーイッシュ”と評されることが多かった私に足りないのは、そういった慎み深さなのかも知れない。

「えっと、中嶋さんは片山さんのどんなところに興味を?」

「……私は、しゃべるのが苦手だから……、自己紹介であんなことを言える彼女が……、羨ましかったのかも、知れない……」

「あんなことって、私、何しゃべったの!?」

 全く自覚が無い事を羨ましいといわれても困る。というか、自分で言ったことを自覚してないということに、超焦る。

「ええっと……、ごめん、片山さんが何か言ったのは分かるんだけど、なぜか具体的には覚えてないの……」

「……うん、気が付いたら頭の中が真っ白で、なぜか背筋に寒気を感じた」

 本戸さんも、中嶋さんも、言葉を濁している、という感じでは無く、本当に思い出せないような感じだ。

 しかし……、寒気って、何? 私は一体、何を言ったのだろうか? ……いや、もしかしたら、知らないままの方が幸せなのかも知れない。

 そんな風に自分も知らない過去を水に流す決意を固めていると、また別の声が聞こえてきた。

「あら? 予定よりも多いわね」

 その声に振り返ると、そこにいたのは間違いなく朝に出逢った女性だ。――っていうか……。

「ああっ、そうか! 本戸さんに見覚えがあったのは、この人に似てたからだ!」

 思わず思い浮かんだことがそのまま声に出てしまった。

「うん、出来ればクラスメイトだからって理由で見覚えがあって欲しかったけど……」

 そんな本戸さんの呟きは、私の耳には届かなかった。届かなかったのだ。

「響、この子はクラスメイトなの?」

「うん、そうだよ、お姉ちゃん」

「美人姉妹!!」

 またしても思いがそのまま声に出てしまったが、そりゃ似ているのだから姉妹でも不思議じゃない。いちいち驚いてどうする。

 お姉さんは本戸さんよりも背が高く、モデルさんと言われても不思議じゃ無いスタイルだ。可愛らしい雰囲気の本戸さんに対して、お姉さんからは“カッコイイ”という印象を受ける。そう感じるのは二人の髪型の違いのせいだけでは無いだろう。私とは全然タイプが違うけど、彼女も同性からモテるのではないだろうか。まあ、お姉さんは異性からも十二分にモテそうだけど……。って、また不躾に観察してしまった。

「……なんて言うか、とても面白い子ね……」

 お姉さんの笑顔が引きつっているような気もするけど、きっと気のせいだ。気のせいなのだ。

「そちらの貴女は、初めましてね。響が誘ってくれたの?」

「ううん。中嶋さんは、片山さんに興味があってついて来ちゃったんだって」

「こちらは中嶋さんで、面白い方が片山さんね。中嶋さん、取りあえず貴女も話を聞いてくれるのかしら?」

「あ……、はい……、……良く分かってないですが……」

「大丈夫! 私も良くは分かってないから!」

 私に興味があるという中嶋さんを巻き込んでしまったようなので、なんとなく励ましてみた。

「……うん、……ありがとう?」

 きっと中嶋さんは素直な性格なのだろう。ちゃんと、なんとなく励まされてくれたようだ。

「……さて、それでは」

 仕切り直すように、本戸さんのお姉さんが私達の注目を集める。

「まずは自己紹介。私は、本戸(かなで)。響の姉で、二年生です。よろしくね。それと、紛らわしいので、私達姉妹を呼ぶ時はそれぞれ名前で、奏、響、と呼んでもらえた方が助かります。そして、本題……に入る前に、他の二人も紹介しましょうか」

 そう言った奏さんの視線の先を追うと、二人の女性が歩いてくるところだった。

 二人ともリボンの色から見て奏さんと同じ二年生。

 台車を押して何かを運んできている方は、そんな姿にもどこか華があるような雰囲気を纏っていて、アイドル活動をしていると言われても納得してしまいそうだ。

 小脇にモバイルPCを抱えている方は、とても知性的な印象を受ける。……それは決して眼鏡に対する私の偏見というわけでは無い、はずだ。

 その二人の到着を待って、奏さんが呼びかける。

「真智、茉奈、お疲れ。早速だけど、新入部員予備軍の彼女たちに自己紹介をお願いね」

 そして先に口を開いたのは、台車を押していた方の女性。

「さて、まずは入学おめでとう、新入生諸君。私は遠藤(えんどう)真智(まち)。この部では一応部長を務めてます。レースの時はディレクタ、つまり監督をメインに担当するので、よろしく! 私のことは呼びやすいように呼んでくれて構わないけど、もし“マッチ”と呼ぶなら自己責任でよろしくね? 怒られるかも知れないから」

「誰にです!?」

 反射的に突っ込んでしまった。

「お、ナイスリアクション。ええっと……」

「あ、片山未玖、です」

「未玖ちゃんね、よろしく」

 うーん、遠藤さんは見た目はアイドルのように可愛らしい人だが、中身は割と男前なのかも知れない。

 それから、私が自己紹介した流れで、響さんと中嶋さんも先輩達に自己紹介を済ませる。それに続いて、眼鏡の女性の自己紹介。

「私は、土屋(つちや)茉奈(まな)。ここでは主にソフト面、制御プログラミングや分析を担当します。よろしくお願いします」

 うん、イメージ通り上品で知的な感じ。伊達に眼鏡を掛けてないって感じだね。

「……ちなみに、これ、伊達眼鏡です」

「ただの先入観だった!!」

 思わず声に出してしまった。

「ふふっ。片山さんは分かりやすいね。まあ、伊達と言っても、度が入ってないって意味で、ブルーライトや紫外線カットのレンズだから厳密には伊達じゃ無いんだけどね」

「どっちです!?」

 いけない、また反射的に。……うーん、私の立ち位置が固まりつつあるような気がする……。

「はいはい。即興漫才はそのくらいにして、そろそろ本題に入りましょうか」

 そんな奏さんの言葉に、私も我に返る。そうだ、私はここにツッコミのために来たんじゃない! そう、私は――、

「さて、新入生達。ようこそ! 煌女スラッグ部へ!」

 ……えっと、『スラッグ』って、何です?


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