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俺が、恋に堕ちるまで…  作者: 山口真生
2/2

康平、SNSにハマる!!

「ご指導ありがとうございました…」


頭を下げ、生徒指導室を出た。


「絞られたか?」


壁に寄りかかって、ニヤニヤ笑いながら俺を見てるのは祐司。


「どうせまた、ふて腐れた顔で説教聞いてたんだろ?」


そう言ったのは、ひたすらスマホを弄ってる暗そうな奴が、柚希。


高校入学時の自己紹介で、「女みたいな名前だな」と、からかい、喧嘩になった…


それを止めに入ったのが、祐司だった…


「じゃ、帰るか…。んぅーーーーっ!!」


固くなった身体を伸ばした。



ガチャンッ…


「ただいま。腹へったー。クンッ…」


玄関を開けると、旨そうな匂いが漂ってくる。


グゥーーーーッ…


「こ、ん、や、は、な、に、か、なーっ!!」


そんな事を呟きながら、キッチンに入ると…


そこに母さんの姿がなく、いたのは妹の純だった…


「母さんは?」

「あっち!」


とリビングを指差す。


「何してんの?」

「今、話しかけない方がいいよ!今日、初めてスマホかったもんだから…」

「なるほどね…。」


ソファに座り、説明書を見ながら、アレコレ操作してるのが、俺と純の母親で梅木静香、こう見えて40歳!


「で、出来たかなぁ?あっ、康ちゃんおかえり!!」


俺の事をいつもちゃんづけで呼ぶ…純の事も、父さんの事も…


「た、ただいま。何してんの?」

「ん?亮ちゃんがね、スマホ買っても良いって言ったから…買ったの。で、やってんの。」


亮ちゃんってのが、父さんで、梅木亮平。ガッチガチの50歳だけど、母さんとは、かなり仲がいい!!


¨脅したんだろうな、きっと…。¨


父さんも父さんで、仕事人間だから…


グゥーーーーッ…


「純、飯はー?今日、何ー?」

「麻婆豆腐ー!」


そんな呑気なやり取りをし、食卓についた…


「ごち…そうさん…」


母さん、スマホしながら飯食ってるから、何度も麻婆豆腐を溢す…


「む、難しいのね!!」

「ママ、あとでまた教えてあげるから。さっさと、食べちゃって!!」


なんか、立場が逆転してる…


飯が終わると、風呂に入り、テレビ見ながら祐司達とラインやらTwitterやらしてる間も、母さんは、純に教わりながらスマホの勉強?してた。


「俺も、課題やらんとな。」


テレビを消し、部屋に戻るものの…


やるのはTwitter…


それなりに…それなりに…課題もしてる…


でも、やはり、Twitter…


「完全に依存してるやんけ!!」



ピロロッ…ピロロッ…ピロロッ…


「んあっ?ラインだ…」


珍しく電話番号で友達に追加されたらしい。


「しーちゃん、ね。追加、追加っと…。」


ピロロッ…ピロロッ…


≫追加してくれて、ありがとうございます。

≫いえ。こちらこそ。

≫なんて呼んだらいいですか?

≫康平です。


最初は、そんなやり取りだった。


学校にいる時も、家にいる時も、しーちゃんからラインは届いた。



「最近、お前よくスマホ見ながら、ニヤニヤしてるよな?」

「…。」

「彼女でも、出来たのか?」

「いや…」


彼女、ね。このしーちゃんってのが、彼女だったら、どれだけ楽しいんだろ?


「柚希は?」

「俺?別にまだいいかな?別れてまだ1年だし…」


相変わらず、スマホから目を話さないで言う。


「1年?えっ?!いたの?」

「うん。お互い離れてたからな。」


遠距離してたのか…


「祐司は、莉那と付き合ってどれくらい?」

「俺んとこは、今年で4年か?」

「うん。」


祐司の側には、いつも莉那がいる。昼休みだけは…。


「康平くん、彼女欲しいなら紹介したげよっか?」


ピクンッ…


その言葉に、耳が動いた…


「ま、まだいいよ。」

「残念!じゃ、どんな女の子がタイプ?」

「んー、明るくて、料理やお菓子を作るのが上手い人!」


頭の中には、しーちゃんがいた…。しーちゃんも、料理やお菓子を作るのが得意とか言ってたから。


「俺は、俺が浮気しても、泣いて包丁を振り回さなきゃ誰でもいい…」

「…。」「…。」「…。」


いったい、柚希の彼女は、どんな女の子なんだ?


祐司らと顔を見合わせた。


「よし、クリア!!」

「ゲームしてたのか!マメだなぁ。」

「可愛いだろ?俺の愛しのまりあちゃんだ。」


ゴクッ…


¨可愛い!!おっぱいでけー!!¨


「やらし!!私、もう戻る!!」


莉那が、怒って自分のクラスに戻っていった。


「莉那、小さいからなー。」

「そうか?俺には、わからん。」

「女は、胸がでかい方がいい!!」


と、いきなり柚希が言ったから、近くにいた女子数人がこっちを見て睨んできた。


ヴィーッ…ヴィーッ…ヴィーッ…


「おっ!?」


¨しーちゃんからだ…¨


「うまそ…」


≫友達とランチに来ました♪


「誰?女?」

「いや、母さんから。」


咄嗟についた嘘…


「あっ、次の教科、俺、当番だった!!おい、倉本ー。」


友達と弁当を食いながら話してる倉本志津を呼んだ。


「世界史の当番!!」


忘れていたのか、慌てて飯を掻き込んでムセていた。


「じゃ、行ってくるわ!」

「世界史…課題!!」

「あぁぁっ!!」


叫んでは、また睨まれてる二人…



資料室に入って、リストを見ながら探していく。


「あっ、これだ。はい、ちょっと重いけど…」

「はい。」


ガタンッ…


「あと、年表か。」

「そこの緑のケースにありますから…」


そう言われ、そこから使う時代のを1枚取り出す。


「これで、全部、か?」

「たぶん、あります。」


渡した資料を持ち、教室へ戻る…


教卓に置き、席に戻り、スマホを取り出す。


¨しーちゃんって、どんな女の子なんだろう?¨


≫お友達と別れ、ひとりショッピングなうです。

≫俺は、まだ学校だよ。腹へったー。

≫好きな物ってなんですか?

≫肉ーーー!!肉が食いてー!!

≫(笑)


ガラッ…


5限目の授業が始まる。祐司達もギリギリ課題を終わらせたらしい。


¨きょ、今日こそ、じ、自撮りUPしよう!!しーちゃんに見せてみよう。¨


授業を終え、また倉本と資料を戻しに行き、待っててくれた祐司らと帰る。


ヴィーッ…ヴィーッ…ヴィーッ…


「ん?Twitter?」


ひとり新たにフォロワーになってくれた人がいた。


「片想いさん、ね。俺も、片想いだなぁ。しーちゃんに…」


ガチャンッ…


「ただいまっと!!げっ!!父さんの靴だ!」


玄関に真新しい革靴が揃えて置いてあった。


「いるってことは?!」


パタンッ…


「すげー、ご馳走だ!!」


ダイニングテーブルの上には、父さんの大好物が並んでる。


「ただいま、母さん。」

「あっ、おかえりー!さっき、亮ちゃん帰ってきたのよー。」


かなり喜んでるのが、わかる。


父さんものんびりしてる。


「父さん、ただいま。」

「うん…。」


この日、しーちゃんからはラインが夜遅くにあった。


≫今日は、久し振りに嬉しい事がありましたっ!!!


「…か。」


Twitterは、新しくフォローしてくれた片想いさんと少しやり取りをした。


どうやら、片想いさんも、料理やお菓子を作るのが得意らしく、読書家らしい。


俺も、読書は好きだ!


漫画だけどな!!


ラインのしーちゃんとも、Twitterの片想いさんとも、ほぼ毎日やり取りをしている…

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