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兄と告白3

すいませんでした!(謝罪)

ほんとすいませんでした!

 「は――?」


 こいつはなにを言っているのだろう。そう思った。

 現に、花森はなもりさんは僕の隣でこうして顔を俯かせているじゃないか。千春ちはるが好きだって――話がしたいって――言っていたんだ。……言っていたんだよ。

 沙也加さやかのこともまだ整理がついていないのに今度はなんだってんだ。意味がわからない。


 「なんて――嘘だよ。騙された?」


 千春はいたずらに成功した子供のように笑いながら言った。


 「お、お前なぁ」


 言っていい嘘と悪い嘘があるだろ。

 僕は目の奥に込みあげてきたものを払うように、思い切り千春を殴ってやった。思い切りと言っても、

弱弱しいパンチなのだが。


 「僕はいいとしても、花森さんがかわいそうだろうが」

 「あー、それはそうだ。ごめんね」

 「まったくだよ。ね?花森さん?――っていねぇし」


 花森さんはいつの間にかいなくなっていた。本当にいついなくなったんだろ。


 「七瀬ななせ、実は嫌われてんじゃないの?」

 「ハハハ。そんなわけないだろ?……え?ないよね?」

 「俺が知るわけないだろ」


 千春がそう言うと同時に授業の始まるチャイムが鳴り各々が教室の中に入って行く。僕も千春の後に続き教室の中に入った。


 本当に嫌われてるわけじゃないよね……。


****


 放課後、いつもの場所で花森さんと待ち合わせていたのだが――花森さんは来なかった。

 昼間のアレがいけなかったのだろうか。理由を聞こうにも僕は花森さんの連絡先を知らないので連絡を取りようがない。まあ、探しに行ってもいいんだけど……面倒くさい。

 今日のところは帰るか、生徒会はなんも聞いてないし。うん。帰ろう。


 久しぶりに早く帰れて僕ラッキー。

 と、上機嫌で階段をつったかつったか下り、靴を履き替える。

 ふと前を見るとちょうど花森さんが正門を出て行くところが見えたので、僕はこっそりとあとを追うことにした。

 花森さんは学校にほど近いマンションに住んでいた。一人暮らしをしているとは聞いていたので僕は少し心配になる。お父さん、一人暮らしには反対です!防犯設備とか大丈夫なんだろうな?

 花森さんは入ってから数十秒で部屋から出てきてまたどこかに向かって行った。

 しばらく歩くと、僕も行ったことのある商店街へと入って行った。


 「あら~、はなちゃん。おかえりなさい」

 「あ、おばさん、こんにちはー。ただいまです!」

 「お腹すいてるでしょ?出来立てのパンあるから持っていきなさいな」

 「あ、ありがとうございます!」

 

 花森さんは満面の笑みでパンを受け取るとまた歩きはじめた。

 どうやらパン屋さんだったらしい。おばさんいい人!


 「お、はなちゃん。おかえり」

 「おじさんこんにちはー。ただいまです」

 「おやおや、だいぶお疲れみたいだね。から揚げ食べてくかい?」

 「え、いいんですか⁉じゃあお言葉に甘えていただきます!」


 またもや花森さんは笑顔でから揚げを受け取り心底嬉しそうに歩き出した。

 今度は肉屋さんか。

 

 その後も同じようなことが続き(必要な物もちゃんと買っていた)、言い方は悪いが花森さんはタダでいろいろなものを手に入れていた。

 正直羨ましい!

 柔らかな雰囲気が商店街を包んでいるようだった。それはたぶん花森さんの特性のようなものなのだろう。

 僕はそこであとを追うのをやめ家に帰ることにした。遊び半分だったが、花森さんのことを改めて知った。花森さん笑うとかわいいんだなぁ



 「ただいま」


 僕は家に帰ってくるなり着替えずにベッドにダイブした。

 はぁ……なんかわかんなくなってきた。なにが正解なのか。なにが違うのか答えがまるでわからない。

 ちゃんと話さなくちゃダメだよな。



 翌日、僕は昼休みになると真っ先に花森さんの教室に向かった。


 「花森さん!」

 「あ……」


 花森さんは僕を見るなりもう一つの教室のドアから出て行ってしまう。


 「クソッ!」


 僕はそれを全速力で追う。まあ、女の子が走ったところですぐに追いつく。


 「ちょ、ちょっと待ってよ!」


 花森さんの手を掴み無理やりに停止させる。


 「なんで逃げるの……」

 「い、いや……その……なんだっていいじゃないですか!」

 「逆ギレ⁉まあ、いいんだけどさ……。ちゃんと話をしようよ」

 「なんですかその元カレみたいな口ぶり……まさか私にこと好きなんですか?そうなんですか?」

 「いや……別にそういうのじゃないんだけど。話を逸らそうとしないでちゃんと話そうよ」

 「はぁ……まあいいですけど。で、なんなんですか?」


 僕は一度咳払いをしてから、本題に入る。


 「花森さんさ、本当に千春のこと好きなの?」

 「は……?いや好きですけど」

 「昨日花森さんの態度とかを思い出して考えてみたんだけどさ――」


 その、なにこの人気持ち悪!みたいな顔しないでほしいなぁ。僕だって気持ち悪いと思ったよ?頑張って考えたんだからさ。


 「なんか千春を好きっていう感じじゃないと思うんだよね。なんつーか……観察対象みたいな」

 「うーん。そうですかー?私は黒咲くろさきさんのこと好きなんですけどねー」

 「まあ、それでもいいよ。僕は花森さんが千春に対してどうとも思ってないって感じただけだから」


 じゃあ、と僕は花森さんに行って踵を返す。


 「白石さん!」

 「ん?」


 僕が振り返ると――花森さんは指で丸を作ってにやっと笑った。

前話から一ヵ月も経ってる……。時が経つのは早いなぁ(現実逃避)。

忙しくてこんなにも日にちが経ってました。以後気を付けます。


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