表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王城の隣んち  作者: 八月季七日
2/4

第二話 聖女が隣に引っ越してきたようで困る

第二話は聖女視点です。

 私は名前はエリカ・ブランケット。神聖ランス王国の国教であるマリリン教の法王の娘。世間では聖女と呼ばれている世界一の美少女。

 私の国にはかつて世界を救った勇者様がいた。しかし、このノスト大陸に魔王が降臨し、魔王国を建国したとき、激戦の末に勇者様は魔王に捕らえられてしまった。

 魔王国建国から三年経つ今でもなお勇者様は魔王国に囚われているのである。


 私、エリカ・ブランケットはこの三年間厳しい修行の末に力を付けた。今の私なら魔王を倒し、勇者様を助け出すことが可能なはず。


「待っていて! 勇者様!」



 ということで魔王城の前までやってきた。

 法王の娘の立場を利用すれば魔王国に侵入することも簡単だ。入国審査の時はちょっと緊張したが、審査官に滞在の目的をきかれて「魔王城を倒しに」と言ったら「よい滞在を」とにこやかに魔王城の観光パンフレットを渡された。


 ちょろいな魔王国。


 いきなり乗り込んでいっても魔王に出会う前に四天王とかそういう奴にやられてしまうだろう。ちょっとずつ魔王の部下を倒していかなければならない。恐らく長丁場となることは必至。と言う訳で私は魔王城の隣に魔王国での仮の住処となる別荘を建てた。事前にパパに頼んでおいたから国に着いたらもう出来てた。教会風の白い建物で聖女が住むに相応しい。隣にどでかい魔王城があるのでちょっと霞むがそこは我慢することにする。


 で、引越しが済んだので、早速魔王城攻略を始めることにした。正面から戦いを挑むのは流石に無謀なので私は一計を講じることにした。


『ぴんぽ~ん……はい? どちら様?』


 魔王城城門についていた『いんたーふぉん?』とかいう装置のボタンを押して暫く待つとそこから声が聞こえてきた。これは魔族が移住する前に住んでいた国で発達していた科学と言われる技術だそうだ。我々の国で言う魔法のようなものらしい。


「す、すみません。今日隣に引っ越してきたブランケットと申します。引越しの御挨拶に参りました」


 そう! 私は引越しの御挨拶を装って魔王城に侵入し、あわよくば魔王を暗殺しようと謀った。凄いぞ私! 流石世界一の天才美少女!


 それから待つこと15分。


「お待たせしました~」


 魔王城の城門が開き、黒髪黒眼のノッポでボケ~とした感じの男が出てきた。恐らく城仕えの下男だろう。


「遅いわよッ! 凍えるじゃないっ!」


 ノスト大陸はこの世界の北にある大陸で、年間通して寒い気候の土地である。今は夏はと言え気温は10度程度。その中15分もまたされれば寒くてしょうがない。


「も、申し訳ない。私室からここまでちょっと遠いもので」


 下男は申し訳なさそうに頭を下げる。


「ふ、ふん! まあいいわ。今日は引越しの御挨拶に来たの魔王……様は御在宅かしら?」


 魔王に様を付けるのは癪だが、ここで不審者として追い払われたりしたら目的が達成できない。私は仕方なく下男にも謙って対応する。流石完璧美少女!


「ああ、まあ、いますけどここに」

「そう、じゃあ謁見したいのだけど、アポとか取ってなくて……えっとなんとかならないかしら?」


 よくよく考えれ見たらいきなり来て魔王に合わせろが通るかと不安になってきた。私は今聖女の立場を隠している訳だから、事前にアポとか難しい。パパに頼んでおけばよかったと今差ならながらに後悔。


「ああ、えっと。別にいいですよ。じゃあこちらへどうぞ」


 下男はそう言うと私をすんなりと城へと招き入れる。魔王への謁見をその場で許可するとかこの男意外と位が高いのかしら。


 私はそんなことを考えながら下男の後をついていく。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ