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Demonic Days  作者: 白川脩
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第21話


第21話

"最後の協力者"


工場から出て、太陽の眩しさに目を細める5人。


「快晴だね」


清々しい気分になる美咲。


彼女達には、辺りに転がる死体を不気味に思う気持ちは既に無くなっていた。


「トラックは…こっちだっけ?」


不慣れな土地に、戸惑う茜。


「そっちからも行けますけど、こっちの方が早く着きますよ」


「助かるわ」


晴香の意見で、近道である川沿いを通る事になった。


穏やかに流れている川を見て、茜が呟く。


「あら、綺麗な川ね」


「和宮町の自慢は自然なんですよ」


美咲が嬉しそうに教える。


「自然か…しばらく関わっていなかったから、何だか新鮮。そういえばこの町、所々に木が植えてあるわね」


茜が道路に植えてある木々を見ながら呟くと、晴香がそれに答えた。


「それは主に、小学校での行事で植えてる物なんですよ。毎年、自然を少しずつ増やしてるみたいです」


「へぇ…いい町ね」


茜が川を見つめていると、風香が彼女に質問をする。


「ねぇ。茜の故郷って、どんな場所なの?」


「あら、気になる?」


「…やっぱいいや」


「んもう、そこは気にする所よ。…私の故郷はね、この町から建物が無くなったような場所だったわ」


それを聞いた瑞希は、少し驚いた様子を見せた。


「神崎さんの生まれって、田舎だったんですか?」


「えぇ、コンビニすら無かったわね。懐かしいわ」


「茜さん、私からも1ついいですか?」


続けて晴香も質問する。


「いいわよ。スリーサイズはダメよ?」


「違いますよ…。茜さんの武術って、誰かに教えてもらった物なんですか?」


「そうよ。テコンドーは母から教わって、父からは空手と柔道を教えてもらったわ。ちなみに、プロレスは独学」


茜の使用体術はテコンドーだけだと思っていた4人は、それを聞いて驚愕する。


「あんた、柔道もできるんだ…」


「うふふ。小さい頃から勉強よりも、体を動かす方が好きだったからね。他にやる事が無かったって事もあるけど」


「友達居なかったんだね」


「失礼ね、勿論居たわよ。…みんな1度抱き付いただけで引いてたけど」


「昔からなんだ…」


「中学の時から女の子しか見えなくなったわ」


「重症じゃん!」


「茜さん、綺麗だしスタイル良いし、絶対モテると思うのになぁ…」


美咲がそう呟くと、茜は無駄にキリッとした顔で彼女を見た。


「男にモテるくらいだったら、まだ棒アイスの当たりを引いた方が嬉しいわね」


「比較が寂しすぎますよ…」


5人がしばらく歩いていると、今回の騒動で何度も起きた事態が再び発生した。


「患者…居ないね…」


晴香のその呟きに、嫌な予感を感じる美咲。


「縁起でもないことを言わ…」


美咲がそう言いかけた時、背後から何かが走ってくる音が聞こえてきた。


「もしかして…」


瑞希が振り返って見てみると、遠くの方からではあるが、3体目の巨大生物がこちらに向かって走ってきていた。


それを見て嘲笑する風香。


「今回は登場早いね」


「そろそろ私、風香ちゃんの落ち着きの理由を知りたいかも…」


「気合いだよ。瑞希」


「気合いなんだ…」


5人は巨大生物からの逃走を始めた。


「やっぱり早いよ…!」


巨大生物の追ってくるスピードに、改めて驚く晴香。


「下手に撒こうとしたら、墓穴を掘る事になりそうだね」


風香は追ってくる巨大生物を見ながら、そう呟いた。


先頭を走っていた茜が走るスピードを落として、風香の隣に付く。


「ここで風香ちゃんに問題よ。私達はこれからどうすればいいのでしょう?」


「それ相談だよね。このままじゃ追いつかれるから、撃退した方が良いんじゃないの?」


風香の返答を聞いた茜は、突然立ち止まって振り返り、どこか楽しそうな様子で笑った。


「正解!さぁやるわよ!」


「ほ、本当にやるんですか!?」


そう言いながらも、一応銃を構える晴香。


「あら、まんざらでも無さそうね」


「ま、まぁ…」


「それじゃ、撃退開始~」


茜が出した気の抜けるような合図で、一同は射撃を開始した。


「相変わらず、生半可な攻撃は通じないか…」


効いているようには見えない事を嘆きながらも、1発1発慎重に銃弾を当てる美咲。


「安心しなさい。本番は接近されてからよ」


茜は体をほぐしながら、不適な笑みを浮かべてそう言った。


茜以外の4人の弾が切れ、再装填中の間、弾幕が途切れる。


茜はそれに合わせて、自分から巨大生物に近付いていった。


巨大生物が勢い良く振った爪を避け、続けて放ってきた蹴りを手で受け流す。


バランスが崩れた所に水面蹴りを入れて転倒させると、バク転をしながら4人の元へと戻っていった。


「チャンスは作ったわ。やっちゃいなさい!」


「ねぇ茜。最後のバク転は要らなかったんじゃない?」


「あら、楽しいわよ?」


「出来ればね…」


再び4人の張る弾幕が巨大生物を包む。


茜の攻撃が効いたのか、巨大生物は立ち上がるのが遅れて、至近距離で弾幕を浴び続けた。


その様子を見て、晴香が呟く。


「効いてる…?」


その言葉を聞いて、茜が返答した。


「えぇ。少しは効いてるみたいよ」


「少しかぁ…」


「塵も積もればなんとやら…ってね」


「そうですよね!」


弾幕を受けながらも辛うじて立ち上がった巨大生物が、4人を睨みながら近付いてくる。


それとほぼ同時に4人の弾は尽き、2回目の弾幕も終わった。


すると、風香がそれを待っていたかのように走り出した。


「茜!行くよ!」


「合点!」


茜は風香の意図を一瞬で読み取り、風香と同時に走り出す。


「な、何をするつもりなの!?」


「いーから見てて!」


巨大生物は走ってくる風香を見て、警戒するように爪を構えた。


しかし、いつの間にか背後に回っていた茜に気付き、困惑した様子で走ってくる2人を交互に見る。


そして2人は、完全に混乱している巨大生物を挟むように、跳び蹴りを同時に決めた。


前後から攻撃を受けた巨大生物は倒れる事すらできずに、その場で硬直する。


しかし、2人の攻撃はまだ終わらない。


最初に風香が、巨大生物の顔面にショットガンを撃ち込む。


続けて、大きく怯んだ巨大生物の背中を、茜が勢い良く蹴りつける。


更に、仰け反った所に風香が水面蹴りを放ち、転倒させる。


そして最後に、踵落としを2人で同時に決めた。


2人の踵落としを喰らった巨大生物の顔面は、完全に原型を失った。


「あの2人…息ピッタリだね…」


2人の圧倒的な攻撃に唖然とする美咲。


戻ってきた2人に、晴香がこんな事を言った。


「いっその事、2人で軍隊にでも入ってみれば…」


言い切る間も無く、2人は即答した。


「だるい」


「それは面倒臭いわね」


「息ピッタリだ…」


強烈な攻撃を受けたにもかかわらずに、軽い様子でスッと立ち上がる巨大生物。


「うわ、まだ生きてるし…」


風香はそれを見て、苦い顔をする。


しかし茜は、焦った様子も無く笑みを浮かべながらこう言った。


「いえ、大丈夫よ」


「大丈夫?」


「えぇ。奴は逃げるわ」


すると、巨大生物は茜の言った通りの行動を取った。


逃げていく巨大生物の背中を見ながら、晴香が訊く。


「どうしてわかったんですか?」


「あいつの癖というか、根本的な部分は大体把握してるわ。もっとも、何回も戦ってるから当然だけどね」


「癖…ですか?」


不思議そうな顔で茜を見る瑞希。


「敵と戦って、実力以外で勝敗を分けるものは相手の事を知る事…つまり相手の裏をかくって事が大切なのよ」


「相手の裏をかく…かぁ」


美咲は難しそうな顔をして、そう呟いた。


「難しく考える必要は無いのよ。例えば…」


「ッ!?」


胸元に伸びてくる茜の手を、咄嗟に叩こうとする風香。


「うふふ…」


茜は不気味な笑みを浮かべ、予測していたかのようにその手を素早く掴み、風香を一瞬で制圧してしまった。


「…ま、こんな感じよ。誰だって胸を触ろうとすれば拒むでしょ?風香ちゃんの場合は"攻撃"を"攻撃"で阻止しようとする傾向があるわ。逆に…」


次に茜は、晴香に手を伸ばす。


「ちょ、ちょっと…」


晴香は困惑しながらも、後退りをして茜との距離を離した。


しかし、茜は一気に距離を詰めて晴香を抱きしめる。


「ひゃあっ!」


「晴香ちゃんの場合は、"攻撃"を"回避"するタイプ。それでもって美咲ちゃんは…」


茜は晴香を抱きしめたまま、片手を美咲の胸元に伸ばす。


美咲は胸元を両腕で覆うように、守る体制を取った。


茜は伸ばした片手を美咲の肩に掛け、晴香と一緒に抱きしめる。


「どうやら"攻撃"を"防御"するタイプのようね。瑞希ちゃんは…」


「さっきからただのセクハラじゃん!いい加減にしろ!」


見るに見かねた風香がそう言って、後ろから茜の頭を叩いた。


「…教えてあげてただけじゃない」


「黙れ変態」


「それは褒め言葉よ。風香ちゃん」


「うるさい!」


もはや見慣れてしまった2人の軽い喧嘩を見て、他の3人は並んで笑っていた。


「茜さんと口喧嘩してる時の風香、何だか楽しそうに見えてきたな」


「ま、喧嘩するほど…って言うしさ」


「あの2人、本当に仲が良いんですね」


瑞希の言葉に、風香が反応する。


「仲良くない!」


「あら、私達は仲良しでしょ?」


「隙あらば抱きつくの止めて!」


風香は抱きついてきた茜を必死に振り解こうとするが、それは無駄な足掻きだった。


「隙を見せる方が悪いのよ?」


「こうなったら速水さんに言いつけてやる…」


「ツンデレ2人を同時に相手にしろって言うのね?上等じゃないの」


「もうダメだこいつ…」



その後、5人は川沿いの道を進み続けて、トラックが止めてある森林地帯の近くまで到着した。


草木が生い茂っている辺りを見渡す茜。


「さて、ここからは勘で行きましょうか」


「こっちじゃない?」


風香が指差した方向は、獣道のような道が続いていた。


「…根拠は?」


「勘」


「上出来よ」


「何あの2人…」


美咲は呆れながらも、先頭を歩く2人に付いていく。


その後ろに居る晴香と瑞希も、呆れた様子で歩き始める。


しばらく進むと、5人の進路方向の先から、複数の患者が現れた。


5人は真っ先に銃を構える。


「みんな、ここを突破すれば終わりよ。気合い入れなさい!」


茜の言葉と同時に、脱出の為の最後の戦闘が始まった。



特殊兵器対策部隊本部…


「(みんな無事かしら…)」


有紀菜は肩の応急処置が終わった後、1人で本部の屋上にて5人の帰りを待っていた。


「有紀奈」


後ろから聞こえた自分を呼ぶ声に反応する有紀奈。


「優子…何の用?」


優子と呼ばれた女性は、彼女が合同庁舎の屋上でヘリを呼んだ時に話していた女性であり、達也が任務開始前に無線機で話していた女性でもあった。


「信じられないのよ。あの2人が死んだこと」


「…事実よ」


有紀奈は俯きながら、低い声で呟く。


彼女の後ろに居る女性、中原優子はそれを聞き、意外そうな顔をした。


「ふーん…」


「さっきから何なのよ」


「素直に受け入れたって事?」


優子の質問に対し、有紀奈は不機嫌そうに答える。


「…目を背ければ、2人が帰ってくるの?」


「…いいえ。ごめんなさい」


優子が黙り込んだ事により、その場に沈黙が訪れる。


しばらくすると、有紀奈が口を開いた。


「2人は死んだのよ。どんなに泣いても悲しんでも、その事実だけは変わらない。…でも、彼女達は生きている」


「生存者達の事かしら?」


「えぇ。もう誰も死なせない、絶対に守りきると誓ったはずなのに…自分が情け無いわ」


肩をさする有紀奈。


「誰であろうと肩が外れたら、戦う事は出来ないわよ」


「わかってる…。むしろ足を引っ張る事になるのもね…」


「だったら…」


「それでも…何というか、悔しいのよ…」


「…そう」


優子は言葉が浮かばず、気まずそうに空を見上げた。



同時刻…


脱出に使うトラックの元へと向かう5人。


彼女達の背後に、忍び寄る影があった。


「………」


突然立ち止まり、振り返る美咲。


「美咲ちゃん?」


それに気付いて、茜も立ち止まる。


「何か…来ます!」


美咲の言った通り、彼女達が進んできた道から、巨大生物が姿を現した。


「出た…」


ただただ面倒臭そうな顔をする風香。


巨大生物は突然、彼女達に突進していった。


5人はそれを避けて、臨戦態勢を取る。


避けた所で、茜がある事に気付いた。


「まずいわね…」


「何が?」


風香が訊くと、茜はこちらに集まってくる複数の患者を見て教えた。


「なるほど、多勢に無勢だね」


「かといって、巨大生物を無視してトラックまで逃げたとしても、発車までにぶっ壊されると思うわ」


「ど、どうするんですか…?」


患者と巨大生物を交互に見ながら、不安そうに訊く瑞希。


茜は舌打ちをした後、苦しそうな声でこう言った。


「まずは数を減らしましょう…。私が奴の気を引くわ」


はっきり言って、彼女の作戦はかなり無謀である。


とは言え、患者に囲まれた状態で巨大生物に睨まれているのでは、他にどうしようも無かった。


やむを得ずに、それぞれ戦い始める5人。


しかし、1分も持たない内に、圧倒的な劣勢になってしまった。


「やっぱり無理だよ…!」


「瑞希!弱音は死んでから言って!」


瑞希を勇気付ける風香であったが、彼女自身も患者の数に圧倒されていた。


「(流石にやばいかな…)」


その時、風香が見せた一瞬の隙を突くかのように、背後に居た患者が彼女の背中をめがけて爪を振り下ろした。


「風香ちゃんッ!」


美咲の声が聞こえる前には既に、風香は直感で体を動かしていた。


しかし、完全に避けきった訳では無く、患者の爪は彼女の右腕を捉えた。


「ッ!」


想像以上の痛みに、風香は思わず銃を手放す。


「風香ッ!」


晴香が駆けつけようとするが、彼女も複数の患者に囲まれ、身動きが取れなくなった。


「私はまだ…まだ死んでない!」


風香は素手のまま、目の前に居る患者に向かって走っていく。


「落ち着きなさい!」


茜が彼女を止めようとするが、巨大生物がそれを許さなかった。


集中が切れていた茜の腹部に、巨大生物の強烈な蹴りが放たれる。


「あぅ…っ!」


攻撃をまともに喰らった茜は、一時的に呼吸さえもままならない状態になる。


残った美咲も晴香の近くで患者に囲まれて動けなくなり、瑞希も目の前の敵の相手で精一杯だった。


「(有紀奈、約束は…守れないかもしれないわ…)」


茜が弱気になって諦めた、その時だった。


突然、茜の耳に聞き覚えのある笑い声が入ってきた。


「(この笑い声…まさか…)」


茜が辺りを見回す前に、木の陰から1体の患者が現れる。


その患者は、2本のナイフを握り締めていた。


「(やっぱりあの時の…!)」


合同庁舎にて茜と有紀奈の危機を救い、最後に謝罪の言葉を発した謎の不死身の患者。


茜は現れたその姿を、まるで仲間を見るような目で見ていた。


「(うふふ。どうやら助かるみたいね…)」


不死身の患者は最初に、晴香と美咲を囲んでいる患者を片っ端から斬りつけていく。


一応何度か攻撃は受けたものの、10秒近くで全滅させてしまった。


「ど、どういう事…?」


美咲は困惑しながらも、晴香と共に茜の元まで走っていく。


「美咲ちゃん。ここは彼に任せましょう」


「…説明して欲しいです」


「うふふ。街から出たらね…」


茜は笑いながらそう言って、風香の方を見る。


既に、不死身の患者が加勢していた。


「…敵じゃなさそうだね」


風香はショットガンを拾い上げ、不死身の患者を見ながら半信半疑で呟く。


風香が患者に発砲しようとした瞬間、巨大生物が乱入してきた。


「風香ちゃん!こっちよ!」


茜の声を聞いて、巨大生物を見たまま後退りで彼女の元へ行く風香。


「茜、説明」


「後でね。今は脱出するわよ」


そこに、不死身の患者が現れた事による敵の混乱に紛れて、瑞希が患者からこっそりと逃げてくる。


「茜さん!どうなってるんですか?」


「それは後!脱出するわよ!」


茜は状況が飲み込めない4人を連れて、トラックがある場所まで走っていく。


ふと、不死身の患者を見てみると、巨大生物が目の前に居るにも関わらず、こちらを見ていた。


「(助かったわ、ありがとう)」


茜は心の中でそう呟き、不死身の患者に微笑みかける。


すると、不死身の患者は傷だらけの顔で、小さく笑って見せた。



「あった!」


トラックを見つけて、駆け寄る茜。


急いで運転席に乗り込み、刺さったままの鍵を回してエンジンをかけた。


「さて、助手席に乗るのは誰かしら?」


「私、乗る」


意外にも一番先に手を挙げたのは、茜の隣である助手席に乗ることを一番拒否しそうな風香だった。


「あら、意外ね」


「い、いいから早くしてよ」


「うふふ。みんなは後ろに乗ってね?」


風香以外の3人は、銃や弾薬が積んである後ろに乗り込む。


全員が乗り込んだ後、茜はしばらく風香を見たまま、発車せずにいた。


「な、何?」


「…いえ、何でもないわ」


その時茜が初めて見せた恥ずかしそうな表情を見て、風香は自分まで恥ずかしくなってきた。


「さ、行きましょうか!」


そう言ってハンドルを握り、アクセルを踏む茜。


5人を乗せたトラックは、勢い良く発車した。



森林地帯に次々と集まってくる大量の患者。


いくら知能が退化している患者でも、ナイフを持ってこちらを睨んでいる物を敵と見なす事ぐらいは出来た。


その先頭に立っている巨大生物は、集まってくる患者にあえて手を出さない。


不死身の患者を仕留める為に利用する腹であった。


そんな中、孤立無援の不死身の患者は、茜達が進んでいった道の前から一歩も動かずに、巨大生物達の前に立ちふさがっていた。


そして、巨大生物の雄叫びと共に、一斉に襲いかかる患者。


不死身の患者は、5秒も経たない内に患者の波に覆われた。


それと同時にトラックのエンジン音が聞こえ、巨大生物は茜達が脱出した事を知り、再び雄叫びを上げる。


そのエンジン音は不死身の患者にも聞こえたらしく、全身を喰い千切られながらも、彼は小さく笑った。


第21話 終




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