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第九話 〜真相の真相〜

「イチニサンシ、ゴーロクシチハチ。にーにサンシ、ゴーロクシチハチ。」



オレと美琴は準備体操をしている。肩まわしやアキレツ腱、屈伸などを。でも声をだすと恥ずかしいんだなぁ。高校生になっても声をだしながら体操するなんて。美琴ってスゴイんだな。中学の時もこんな風だったのか?聞いてみるか。


「なぁ美琴。中学の時も声だしながら体操してたのか?」


「うん。そうだけど?」


「チームメイトも一緒に?」


「ううん、ボクだけだったよ。一年生の時は他にだしていた人はいたけど、すぐにいなくなったなぁ。」


「恥ずかしくない?」

「なんで恥ずかしいの?別に変じゃないじゃない!」


「ふ〜ん。そうだな。」

つまり人目を気にしない、マイペースなヤツなんだな。それにしては服装は白に統一してるな、なんでだ?


「よし!準備体操終わりっと!なぎ…刹那、打とう!」


「…………ん?あぁ打とうか。」

また後で考えよう。


「それにしても久しぶりだなぁ。打つの!変な所にうっても恨まないでね!」

「オレだって昨日から打ち始めたんだから人のコト言えないんだぜ?おあいこだ。」


「刹那って昨日から来てたんだ!ボクも来れば良かったね!」


「じゃ、なんでこなかったんだ?」


「だって、古賀先生が『明日から!』って言ったから。」


「古賀先生って………誰?」


「え!?顧問の先生だよ!入部届けだしたんでしょ?」


「あぁ、あの顧問の先生、古賀って言うんだな。オレも言われたけど行ったんだな。」


「あ〜あ、やっぱり来れば良かった。」


「そんなことより早く打とうぜ。」


「あ、うん!」







へぇ、なかなか上手いじゃないか。返ってくる球はロブだけどちゃんと真ん中に当てて、ドライブも適度にかかっているし、フォームもキチンとしている。腰も落としていて、深く打っている。

少なくともオレよりロブは上手いな。シュートボールもキチンと返すし、コントロールも抜群だ。


パコーン


ポーン


パコーン


ポーン


パコーン


ポーン


ポーン


ポーン


なんでロブしか打たないんだ?いくら久しぶりだからってロブがちゃんと打てるんだからストロークも少しは打てるだろう?

もしかして、遠慮してるのか?あの性格だからそうかもしれないな。



オレは打ちながら大声で話した。

「なぁ美琴。遠慮せずにストローク打ってもいいんだぜ?」


「いいよ。ボク、ストロークダメなんだ。ロブだったら自信あるけどストロークはね………。」


「いいから打ってみろって。」


「うん。」


やっと打つのか。やっぱり遠慮してたんだな。見た目は非力だけど、物凄い球打ったりしてな!







オレの期待は裏切られた。


。オレの後衛五原則、『速い』『深い』『重い』『鋭い』『コントロール』の内の『コントロール』しか満たしていない。

確かコイツ後衛だよな。初めて会った時『後衛だったら』とかなんとか言ってたからな。ダメじゃん。本当に後衛だったらつらいんじゃないのか?確かにロブは重要だけどそれだけじゃ勝てないだろ。オレも五原則の内『速い』『重い』を満たしていないからそう言えないが、高校ではキツイんじゃないか?

中学の時はどうやって勝ってたんだ?相手のミスが大半じゃないのか?



「ごめんね……。ボク、ストロークは嫌いなんだ。だから、そんなに練習してないんだ。」


「理由のあるのか?」

理由を聞けば納得するかもしれないからな。

「それは………言えない。」


「は?理由ぐらい言えよ。練習しても上手くでかなかった。とか、ぶつけてしまって怪我させた。とかそんなとこだろ?」


「そんなんじゃないもん。そんなんじゃ…………。」

美琴はまた泣きそうな顔になっている。



また、オレが泣かしたようじゃねぇか。コイツ、ホントに男なのか?


「わかったよ。聞いたオレが悪かった。オレも話したくない理由がある話があるから話さなくてイイ。」


「ごめん、いつかは話すから。」


「無理しなくてイイぞ。」


「ううん、刹那なら信頼出来そうだから。」

「え?」


涙目になっている美琴が訴えている。


オレは美琴の顔を見て、不思議な気持ちになった。

信頼している?今日出会ったばかりのオレを?それに、『刹那なら』って、今まで信頼出来そうなヤツと会ってないのか?

オレはまだコイツを信頼していない。だが、コイツはオレを信頼している。不思議なヤツだな。


「わかったから!信頼を背く様なコトはしないから!な?涙を拭いて先輩が来るまで待っとこうぜ。な?」

「うん!」

美琴の顔にまた笑顔が戻った。



まさかとは思うが、コイツ、オレのこと好きなんじゃないか?恋愛みたいな好きで。

まぁ確かにコイツは可愛いぜ。コイツが女だったら惚れているだろう。だがコイツは男だろ?…………………いや、待てよ……………。ホントに男だとは限らない。まだ証拠がない。もっともてっとりばやいやつは、男の勲章の有無だろうが、調べるには勇気がかなり必要だ。結果が女だったらオレはただの変態となるだろう。

クソ、どうすれば…………………そうだ!トイレに誘えばいいじゃないか!頭イイなオレ!


「ちょっとトイレ行かないか?ションベンしに。」


「うん、打ってた時の汗が冷えてボクもしたくなっちゃったから行こう!」


ナイスタ〜イム!これでホントの『雌雄』がわかれるぜ!


「なんで嬉しそうな顔してるの?刹那。」


「い、いや。別に。」

「あ、さてはエッチなコトを考えていたんでしょ〜。残念だけどボクにはそんな趣味はないから諦めてね!」


ま、また泣きそうだ。オレの作戦が使われずに破棄されちまった…………………いや、完璧に確認するためにまだ必要な策として残しておこう。

ここは馬鹿にする様に話した方がイイな。


「え?そんな趣味って……お前男だったのかよ!」

ふざけていってみた。

すると怒ったみたいで

「あ、刹那までこの格好馬鹿にするの?これ全部お姉ちゃんのお下がりなんだから仕方ないでしょ!お姉ちゃんが白好きだったから、ボクの服装も白になっちゃうの!ホントは自分で服を買いたいんだけど、お金がもったいないからボクの服は全てお姉ちゃんのお下がり。」


「全て女ものってコトだよな。ならスカートとかもはいてんのか?」


「まさか!そんなのボクの男としてのプライドがゆるさないね。」

よっしぁ!これでコイツは男決定!!ミッションクリアだ!




そのあと、トイレでも男であると決定した。



トイレを済ましたあと、コートに行くと先輩達がいた。が、一条先輩だけはまたいなかった。(みたことないからいたってわからないけど)(あとから聞いた話によると、一条先輩は追試だったそうだ。)


その後が大変だった。

まさに見た目が女の子の美琴の登場により女子の先輩達や男子の先輩達(特に浦沢先輩)はとても嬉しがっていた。『マネージャーが来た!』とか『マイナスイオン発生機が来た』とか『カワイイ〜、彼氏いる?』とかでとても激しかった。

だが、美琴が男だとオレが発表すると、女子の先輩達はさらに盛り上がったが、男子の方はいつもにもどった。美琴は女子の先輩達にちやほやされて、嬉しい様な、申し訳なさそうな顔をしていた。







その日の練習は乱打だけであった。その時も美琴はロブしか打たなかった。







部活が終わると部長から

「明日、一年生部員勧誘だ!」




いつかはるたを思っていたが

きついな…………

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