第二話 男じゃねぇ〜その後と敗因〜
「渚、涙を拭け。表彰式だ。良かったじゃないか。最後に賞状貰えて。」
顧問が渚に言った。すると泣きやんだペアも、
「刹那、オレ達賞状もらえるんだぜ。いつも一回戦で負けていたオレらが。それにさっきの試合はアレだからな。」
そう、さっきの試合の相手は渚が最も嫌いな戦法ばかり使ってきたのである。その戦法とは『ドロップショット戦法』である。
『ドロップショット』とは第一話で書いたようにネットギリギリにボールを落とすショットである。
この戦法を嫌うワケは、渚の目には勝負を逃げている様に見えるからだ。だが決して卑怯な戦法ではないが、渚には卑怯な戦法として見えるのだ。
「そうだな、アイツらは男じゃねぇな。逃げてばっかで。オレとラリー(打ち合い)しろってんだ!」
渚は自分で自分を慰めた。ペアも
「アイツらは非常に非情なのさ」
と言った。
「ダジャレ言ってる場合か!」
そこでやっと渚の顔にも笑顔が戻った。
表彰式で渚はこの戦法を使うペアの一人と目があった。完全に見下していた。渚は怒りを抑えていた。ペアも渚の状態がわかったらしく、渚を落ち着かせていた。渚はペアの名前を心に刻んだ。『西村了』『尾沢要』と。
「結局地区大会で負けたじゃねーか。」
「引退パーティ何時?」
「あ〜長かった。やっとゆっくり出来るぜ。」
などと仲間が口々いっている。
テメーらは悔しくないのか?あと少しで次の大会に進めたのに。
「負けて良かったな、オレ達はどーせ出れないし。受験勉強しなくちゃいけねーからな。」
「!!!!」
渚はショックを受けた。こんなにコイツらはやる気がなかったのか。じゃ何のために部活に入っていたんだよ。
「刹那、もうオレ達の夏は終わったんだ。」
「なに言ってん……」
「さぁ砂を持って帰るろう!袋はここにあるぞ!」「バカ」