第十七話 〜成立と運命?〜
「ホラ、刹那!新入部員だよ」
美琴が得意満面で来た。
確かに新入部員みたいだ。服も着替えてラケットも持っている。
「祐二君っていってね、スゴイんだよ。スポーツ万能でさ沢山賞状持っているだよ!」
「それは凄いな。ソフトテニス部だったのか?」
俺は交友を深めるため出来るだけ沢山話そうとしている。
まずは会話ってね。
「いや、硬式のならあるが………ソフトテニスは初めてだ。だけど大丈夫だって。俺、なんでも出来るから」
自信満々で答える祐二。
まぁ、いいんじゃない?自信あったほうがいいにきまってるし。
「それに、硬式でやってたから大体はわかるよ」
「そうか、そりゃ頼もしい!俺より上手くなってくれよ。そして一緒に県大会に目指そうぜ!」
「足ひっぱんなよ」
凄いな、会ったばかりのヤツに軽口を言うなんて。
俺がそう思っていると、美琴が
「ちょっと祐二君を指導してくるね!」
美琴の顔がひきつっている。
「俺も手伝おうか?」
「い、いやいいよ。刹那はサーブの練習でもしていて」
そう言って、コートの隅に祐二を連れていった。
疑問に思いながらも一人黙々とサーブ練習を行った。
なんか寂しいよな。
先輩達は課外で忙しいし、美琴は教えにいったし。どうしようか。
「ちょっと祐二君!なんてこと言うの?刹那怒ったらどうする?」美琴が俺に忠告してきた。別に怖くはないのだが。
「いや、ホントごめん。癖でつい」
「ソフトテニスはチームワークが大切なんだから気を付けてね」
「は〜い」
まぁ、あれ位で怒ったならそこまでの男だ。なかなかのヤツだな。刹那ってヤツ。
打つのをみると硬式と違ってサーブが遅い。後で美琴に聞くと、そんなもんだ、だそうだ。
驚いたことは、セカンドがしたからだったことだ。あんなの硬式でやったらすぐにうちこまれるだけなのに。
それも、美琴に聞くと、前衛を信頼してるからだよ、だそうだ。
もし、あいつがペアだったら信頼できるのかな。
籠に入っていたありったけのボールをすべて打ってしまいボール集めを始めた俺。
六割位か……入ったのは。
そう思いながら玉集めをしていると哀歌がよってきた。
「刹那く〜ん!」
「なんだ?」
「なんだとはご挨拶ねぇ。ま、いいや。それより、あの入口に立っている男の子、入部希望者じゃないの?誘ってみたら?」
確かに、男が立っている。希望者かもしれない。誘ってみる価値はありそうだ。
「サンキュ哀歌。それよりお前、ソフトテニス続けるのか?」
「まぁね。ちょっと迷ったんだけど、一度始めたものだから続けようかと。瞳もだよ。今日は来てないけど」
哀歌は不思議がっていたが俺が気にすることではない。
「そっか。んじゃ、俺は勧誘しにいくから」
「あ、頑張ってね〜」
そう言って謎の人物の元にいった。
「もしかしてソフトテニス部に入るの」
謎の人物に話し掛けた。違ったら恥ずかしいよな、こういうセリフって。
「あ、はい」
緊張しているみたいだ。それに敬語だ。俺のこと、二年生と思っているみたいだ。
「あぁ、俺一年だから。よろしく」
「そっか。つーか俺、初めてなんだけど……」
「大丈夫だって。他に素人が入ってきてるから。」
そう言って、コートの中に入ってきた。
良かった。これで四人。ちょうど二ペア出来る。あと一ペア欲しいが贅沢は言えない。
この仲間で県大会を目指そう!
「あ、俺、渚刹那。そっちは?」
「俺は佐倉和人」
「和人君、せめて、体操服で来たら嬉しかったなぁ」
「ごめんな」
コミュニケーションばっちし。友達になれたはずだ。
その頃
「あ〜!あの男の子、ソフトテニス部に入ってる!これってやっぱり運命かなぁ」