第十三話 〜虹の効力?早野哀歌編〜
━━ピピピ、ピピピ、ピピピ━━
うっさいなぁ。瞳、早く止めてよ。なんで六時に起きる必要があるのよ。
だいたい、部屋が隣同士なんだから、こちらに迷惑がかからない様に同じ時間帯にしてほしいわ。あの頑固者!
━━ピピピ、ピッ━━
やっと止まった。さて二度寝、二度寝♪
これは、早野(姉妹)家の姉妹の朝の日常である。
妹の瞳は六時に起き、姉の哀歌は六時半に起きている。目覚まし時計の時間帯が違うかつ、部屋が隣のため哀歌はいつも瞳の目覚まし音で起こされている。そして止まると、二度寝を開始する。三十分後、自分がセットしておいた音で起きる。
小学生の頃は二人とも六時であったが、なぜ、起きる時間帯が違う様になったのかというのは、中学生になって初めての定期テストで哀歌は、テスト直前日の夜だけ猛勉強。
いわゆる一夜漬けを行ったため(瞳は効率よく勉強した)、次の日から体が六時に起きるのに拒絶したために起きられず、六時半に変わってしまったのだ。たかが三十分と思うかもしれないが、されど三十分なのである。瞳にも六時半起床させようしたが、無駄に終わった。理由は、自分に甘くなりたくない。だそうだ。哀歌は『私のために』と頼んだが、『勉強しないからよ』という言葉が心の急所にあたり、すごすごと退散した。
テストが終わっても六時半起床が変わらないのは体が楽を覚えたからであろう。しょせん、意思の弱い人間である。だからといって、朝はバタバタしないといけなくなったというわけではない。年頃の少女と同じ様に髪をセットしたり、ミサンガを着けたりと余裕がある。もちろん、ご飯もかかさず食べている。しょうじき、哀歌の方が適切な時間に起きているのである。
哀歌が二度寝している間、瞳は何をしているかというと…………それはまた別の話で。
━━タータータ、タ、タ、タ、タ、タータータ、タ、タ、タ、タッ━━
ケータイからラジオ体操第一が流れる。ただいまの時刻は六時半。哀歌の起床時刻である。
ん〜〜〜〜〜良く寝た!さて、ご飯ご飯!
おはよう!または、(私は、起床したばっかりだから『おはよう!』であってほしい)こんにちは!もしくは、こんばんは!早野哀歌です!坂ノ上高校に入学したばかりのピッカピカ(もしくはピッチピチ)の女子高校生!
ここでちょっとマイプロフィールを。
身長、体重は内緒。もちろんスリーサイズも内緒。まぁ、標準だけどね。趣味は肉体強化。その為、ダンベルやスポンジボールが部屋に貯まっている。特技は、短期間での暗記力!(この特技のおかげでテスト勉強は一夜漬けに)学力は公立の進学校に入学出来るぐらい。まあまあね。そして、私は双子の姉!もちろん、妹がいる。一卵性双生児なのでそっくり!妹は瞳といい、紹介はあの子自身がするでしょ!
部活は中学の時はソフトテニスだったけど、高校ではまだ決めていない。続けるかもしれないが、変えたり、しないかもしれない。それより私は恋がしたい!だって女の子だもん。一応、好きな人はいるんだけど………それは内緒!今は普通に話しをしているからそれだけでいいよね!でもいつかきっと……………
「哀歌………それはないんじゃない?」
「え?どうして?」
「普通はさ、自分で髪に癖をつけたりしないよね?なんで、ボサボサにするの?」
(これだからファッションに疎い瞳は困る。流行は絶えず変化してるの。だから今時の女子高校生は敏感に反応しなきゃ。でも教えてあげな〜い。)
「これ?ちょっとしたイメチェンかな。」
「ふ〜ん。」
「どう?瞳もやってみる?いっつもショートカットばっかりだと、もてないよ?」
「いい。髪型だけで、私のステータスを決める様な男は、こっちからおことわりだから。」
「なんか、悟ってるね……。」
『いってきま〜す!』私と瞳は学校に向けて歩き始めた。
なぁんか、今日は気持ちいいわね。雲一つもない快晴だし。なんか今日ありそうな予感♪
瞳も同じ気分みたいだ。空ばかり見てる。そして、空を見ながらワクワクしてる様な顔になった……………危ない。私は本能的に感じた。瞳に目をつけられない様に今日はおとなしく過ごそうと。
そして、瞳と同じ行為(空を見上げる)は瞳が瞳にとっての『普通』に戻るまでしないと。え?何故って、瞳と同じ体験はしたくない。したらいけない気がするんだもの。
もし、哀歌が日記をつけるなら刹那と同じ様になるだろう。ただ一つ異なる点は
『今日は瞳がいつもにもまして危ない気がしました。朝は空をみてワクワクしたし、授業が始まる前、廊下で悟りを開いていたし。とにかく危険な気がしました。明日からはあってほしくないです。お願いします神様………。』
と書くことだろう。
虹の効力は長くなりそうです。