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第1話 目覚めれば、昭和の煙と吊り掛け音

※本作は、作者の妄想プロットを元に、文章生成AI(Gemini)と共同制作した実験小説です。

誤字脱字や、たまに暴走するAIの描写も含めてお楽しみください。

ガタン、ゴトン。ガタン、ゴトン。

 規則正しいが、どこか頼りないジョイント音が、俺の意識を覚醒させた。

 重い瞼を開けると、視界に飛び込んできたのは、揺れる吊り革と、油の匂いが染み付いた木の床だった。

 天井では、武骨な扇風機が気怠げに首を振っている。

 冷房なんて気の利いたものはない。窓から吹き込む生温かい風が、湿ったシャツを撫でていく。

 車内には、安タバコの紫煙と、整髪料の甘ったるい匂いが充満していた。

(……なんだ、ここ?)

 俺は、満員電車に揺られていたはずだ。

 令和の世、品川駅へ向かう最新のステンレス車両。スマホでニュースを見ながら、激務に疲れた体を運んでいたはずだ。

 だが、目の前の光景は明らかに違う。

 窓の外を流れる景色は、見慣れた高層ビル群ではない。

 瓦屋根が密集する木造家屋。空を覆う工場地帯の黒い煙。そして、どこまでも続くドブ板のような運河。

 線路沿いには、「三丁目の夕日」に出てくるような看板が並んでいる。

 車内の乗客たちもおかしい。

 男たちは皆、ダボッとしたズボンに開襟シャツか、ヨレヨレのダブルの背広。女たちは地味なブラウスにスカート。

 誰もスマホを持っていない。誰も下を向いていない。ただ、ハンカチで汗を拭いながら、どこかギラついた目で外を見ている。

 その熱気。高度経済成長期特有の、生き急ぐようなエネルギーが肌に突き刺さる。

「……五代専務。五代専務?」

 不意に横から声をかけられた。

 振り向くと、黒縁メガネをかけた、神経質そうな男が俺の顔を覗き込んでいた。手には使い込まれた革の書類鞄を持っている。

「……誰だ?」

「やですねえ、専務。秘書の佐山ですよ。昨晩の銀座での接待でお飲み過ぎですか? 社長も心配しておられましたよ」

 専務? 俺が?

 俺は慌てて自分の姿を確認した。

 着ているのは、仕立ての良い英国生地のダブルのスーツ。腕には、スイス製の重厚な機械式腕時計。

 窓ガラスに映る顔は、くたびれた中年エンジニア(前世)ではない。

 眉の太い、精悍な顔つきの若者がそこにいた。目つきが鋭く、野心が服を着て歩いているような男だ。

 ――ズキリ、と頭が痛んだ。

 瞬間、記憶の奔流が脳内に雪崩れ込んでくる。

 俺の名前は、五代剛ごだい・つよし。32歳。

 京浜急行電鉄の創業家の血を引く遠縁であり、その手腕を買われて若くして取締役に抜擢されたエリート。

 そして今、俺たちが乗っているのは、京急本線の上り優等列車だ。

「……今は、西暦何年だ?」

 俺は震える声で佐山に聞いた。自分の声が、驚くほど太く低いことに戸惑う。

「は? ……昭和38年(1963年)ですが」

 昭和38年。

 東京オリンピックの前年。高度経済成長の只中。

 新幹線が開業する一年前。

 俺は、タイムスリップ……いや、「転生」したのか。

 令和の鉄道知識と技術を持ったまま、この熱気と煤煙ばいえんの時代に。

 俺は佐山の手から、読みかけのスポーツ新聞をひったくった。

 一面には巨人の王選手の記事。だが、俺の目はその裏、社会面の小さな記事に釘付けになった。

『国鉄、通勤五方面作戦を強化。輸送力増強へ』

 ……知っている。

 この先、日本は狂乱の成長期を迎える。

 人が増え、都市が膨張し、鉄道はパンク寸前になる。

 国鉄はストライキを繰り返し、自滅していく。

 そして、バブル経済が来て、地価が狂ったように上がり、崩壊し、失われた30年が来る。

 だが、そんな未来の歴史より、今、俺を苛立たせているのは……。

「……遅い」

 俺は窓枠を叩いた。

 遅すぎるのだ。この電車は。

 床下から響くのは、旧態依然とした吊り掛け駆動の重低音。

 モーターが唸りを上げるたびに、車体が小刻みに震える。

 体感速度で時速80キロ程度。しかも、カーブに差し掛かるたびに、ギギギと不快なフランジ音を立てて減速する。

 線路はガタガタだ。ロングレール化なんて夢のまた夢。

 車両は小さい18メートル級。大人二人が並ぶと肩が触れる狭さだ。

 窓の外を見る。

 並走する国鉄東海道線の線路を、オレンジ色の電車が走っていく。

 153系か? 向こうはこちらを嘲笑うかのように、悠々と追い抜いていった。

「ちっ……!」

 俺は舌打ちした。

「仕方ありませんよ、専務」

 佐山が諦めたように言った。

「うちはカーブが多い『路面電車の親玉』ですから。直線番長の国鉄さんや、お上品な東急さんとは、生まれが違います」

 その言葉が、俺の中にある「五代剛」の記憶を刺激した。

 強烈なコンプレックスと、腹の底から湧き上がるような屈辱感。

 かつて戦時中、京急は「大東急だいとうきゅう」という巨大コンツェルンに強制合併させられた。

 『強盗慶太』と呼ばれた五島慶太率いる東急王国の下で、京急は冷や飯を食わされた。

 投資は後回しにされ、車両はボロをあてがわれ、ただの支線扱いを受けた。

 戦後、昭和23年にようやく分離独立したが、社内には未だにその時の敗北感が漂っている。

『どうせ俺たちは二流だ』

『所詮は三浦半島のローカル私鉄だ』

『東急の背中は遠い』

 そんな諦めが、この遅い速度にも、古臭い車両にも染み付いている。

 社員の目には覇気がない。ただ漫然と、昨日と同じ電車を走らせているだけだ。

「……ふざけるな」

 俺は呟いた。

 前世の俺は、鉄道エンジニアだった。

 技術はあった。アイデアもあった。

 VVVFインバータの効率性も、ボルスタレス台車の軽快さも、車体傾斜装置の有用性も知っていた。

 だが、令和の鉄道会社は「安全」と「コスト削減」が最優先。新しいことに挑戦しようとすれば、「前例がない」と却下され、何も成し遂げられずに過労で死んだ。

 だが、今は違う。

 俺には「権力カネ」がある。

 創業家の血筋という、最強のカードがある。

 そして何より、この先の50年で何が起きるか、どんな技術が生まれるかという「未来知識」がある。

 インバータ制御? まだシリコン素子が実用化されていない?

 なら、俺が半導体メーカーに設計図を持ち込めばいい。

 土地の買収? バブルでどこが値上がりするか、全部知っている。失敗しようがない。

 そして何より、京急には最大の武器があるじゃないか。

 俺は足元のレールを見つめた。

 国鉄や東急が採用している狭い「狭軌(1067mm)」ではない。

 新幹線や世界標準と同じ、広い「標準軌(1435mm)」だ。

 この広い線路幅があれば、もっとデカいモーターを積める。もっと安定して走れる。

 理論上、時速160キロだって出せるポテンシャルがあるのだ。

 それを、こんな80キロのトロトロ運転で腐らせているなんて、資源の無駄遣いにも程がある!

「佐山」

「は、はい?」

 俺はニヤリと笑った。

 窓ガラスに映る若き野心家の顔が、獰猛に歪む。

 腹の底から、形容しがたい高揚感が湧き上がってきた。

「帰ったら、すぐに役員会議を招集しろ。緊急動議だ」

「はあ……。議題は何になさいますか? 予算の修正ですか?」

「違う! そんな細かい話じゃない。議題は『大京急ダイケイキュウ構想』だ」

「だ、大京急? 大東急の間違いでは?」

 佐山がギョッとして俺を見た。その単語は、この会社ではタブーに近い。

「違う! 東急なんぞ目じゃない。我々が関東を制するんだ」

 俺は胸ポケットから万年筆を取り出し、持っていた手帳の路線図の上に、インクが滲むほど強く線を引いた。

 横浜から、三浦へ。

 そこからさらに西へ、箱根の山をぶち抜き。

 海を越えて千葉へ。

 さらには地下を深く潜り、都心へ、空港へ。

 まだ誰も見ていない「赤い流星」の軌道が、俺の脳内シミュレーターにはハッキリと見えていた。

 それは単なる妄想ではない。未来の技術と、歴史の裏技を組み合わせれば実現可能な「設計図」だ。

「佐山、よく聞け。路面電車だと? 上等だ。俺がこの会社を、国鉄も、東急も、あの憎き五島慶太の亡霊さえもひれ伏す、『世界最強の高速鉄道帝国』に変えてやる」

 ガタン、ゴトン。

 のんびりとしたジョイント音は、俺の耳にはもう、未来への進軍ラッパに聞こえていた。

 線路の先には、無限の荒野が広がっている。

 レールは敷くものではない。俺が通った後にできるものがレールだ。

 こうして、俺の、いや俺たちの歴史への逆襲劇が幕を開けた。

 まずは手始めに……あの邪魔な相鉄をどう料理してやろうか。

初めまして、みうら市民と申します。

鉄道と経営シミュレーションが好きで、この物語を書き始めました。

楽しんでいただけたら、ブックマーク登録や評価をいただけると励みになります!

また、当小説はAIに文章生成をお願いしています。

私に文才があればよかっかのですけれども....

次回、役員会で大暴れします。

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