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コタツと宇宙人-2

「おいお前」不意に声がしたので、僕は驚き、周りを見渡した。誰もいない。公園に続く一本道を竹内くんが歩いているだけだ。

「ここだここ」今度はしっかり声のする方向がわかった。公園の低い垣根から、高校生くらいの黒い髪の女の子が顔を出している。僕は驚いて声を出し、肩をすくめた。急に動かされた肩の骨が鳴る。

「君は?もしやさっきの石か?」

「誰が石じゃ」少女はそう言うと立ち上がった。幾何学模様の入った、ピッタリとしたスーツのようなものを着ている。それにあの謎の石のようなもの、、、

「私はウタ=デルタ=マグノリア」

「宇宙人か!」

「宇宙人だ。なぜ分かった」ウタさんは驚いた顔をした。

「どうしたんですか?」竹内くんが公園に入ってくる。

「あ、竹内くん。彼女、宇宙人のウタさん」僕は竹内くんにウタさんを紹介する。

「あ、どうも竹内です」竹内くんはウタさんに頭を下げた。

「どうも、ウタです」ウタさんもつられて頭を下げる。

「ウタさんは宇宙のどこら辺から来たんですか?」

「えっとですね。この太陽系の、、、じゃないよ。私宇宙人だよ!」

「俺初めて会いましたよ、宇宙人」竹内くんが僕に向かって言ってくる。

「僕も宇宙人は初めてだね。グローバル化は進んでるね」

「なんかもうちょっとリアクションないの?私宇宙人だよ」

「いや、けど他人の出自にそんなリアクション取るのはね、、、」と竹内くん。

「うん、なんか悪い気がするって言うか。そう言うことを気にする小さい人間って思われたくないんだよね」と僕。

「ああ、それは分かるかも。確かにそこら辺を気にしない方がカッコ良いみたいな風潮あるよ。私もそういうの気にしないラディカルな雰囲気は出していきたいと常々思っているよ」とウタさん。

「そうそう多様性の時代だしね。ウタさんは何をしに地球へ?」僕は尋ねる。

「私日本の漫画が好きで、ジャンプを愛読しているんだけど。如何せん地球と私の星って遠くて。ジャンプのリアルタイムに追いついてないんだよ」

「確かにそれは由々しき事態ですね」僕は週刊誌によって、曜日感覚を維持している。

「ジャンプって宇宙でも連載してるんですね」

「さすがジャンプだね。日本の漫画人気は世界じゃ収まらなかったんだね。ワンピースに地球は小さすぎたわけだ」

「というか先生、コタツ買いに行きましょうよ」竹内くんが寒そうに腕をさする。

「いやその前に、ウタさんさっき奇妙な石がこの公園にこなかったですか?」

「ああ、ラディカね。私の宇宙船だよ。君ラディカのこと蹴ったね。ダメよ人のもの蹴ったら」ウタさんはそう言って、ポケットから先ほどの石のようなものを取り出した。

なんとあの石は宇宙船だったのか。それは申し訳ないことをした。

「すいません。ただの石だと思ったんだ。壊れちゃったりしてないですか?」宇宙船の修理代なんて、きっと僕には一生かけても払えない。

「あ、それは全然大丈夫。宇宙船だから。あんなキックじゃ壊れないよ」

「良かった。けど本当にすいません」僕は頭を下げた。

「いや、いいんだよ。知らなかったら私だって蹴りかねないよ。石みたいな見た目してるし」

「それにしてもその宇宙船小さいですね」竹内くんが宇宙船の小ささを指摘する。

「ああ、今はね。大きさは自由自在なんだよ。こうやって他の星に来た時に、大きいと目立つしね」

「なるほどねー」宇宙人の技術はすごな。侵略とかされたら大変だ。

「進んでますねー」竹内くんは相変わらず、興味がなさそうな返事をする。

「それじゃ先生、コタツ買いに行きますか」

「そうだね。ウタさんもコタツ買いに行きます?」

「それよりもジャンプ売っているとこまで案内してよ」

「もちろん。ニトリ行く途中にコンビニあるんで、そこで買えますよ」ウタさんってお金持ってるんだろうか。まあいいか。

「ありがとう。日本人親切ね」

その後ウタさんをコンビニへ送り、僕と竹内くんはコタツを買った。僕の悠々自適なギリギリライフへの満足度は、コタツの導入によりさらに上昇した。


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