3話 ご主人様のやりたい事
キーンコーカーコーン。学食の時間が始まる。
茜はニコッと笑いポチに話しかける。
「美味しいご飯、食べ行こっか?♪」
涼はこれでもかと嬉しそうに返事を返す。
「はい!喜んで!!」
茜は今でも吹き出しそうになっていた。
涼は本当に嬉しいわけでもなく、ご主人様の誘いには嬉しく返事をするとノートに書いてあり、仕方なくそうしているだけだった。
茜は学食のメニューを見るなり自分の食べたいものを伝える。
「うどんとカツ丼、シェアしようよ!」
「俺はうどんじゃなくてそば派なんだよ」
茜は涼の言葉なんて聞くつもりもなく、早速注文をする。
「カツ丼とかき揚げうどんで!」
「おい!」
茜は真剣な眼差しで涼を説得する。
「今日のラッキーアイテムはそばじゃなくて、うどんなの!次、のラッキーアイテムでそばが出たら、そばにするから、我慢するんだよ!ポチ!!」
涼はまさかの食事方法の決め方に驚愕する。
まさかのラッキーアイテムで食事が決まるのかよ!!??
「いただきまーす」
そんなこともありながら、放課後を迎える。
帰り道、茜はふと疑問に思った事を聞く。
「あのさ、何でここまで忠実に従うの?」
「えっ?お前がそれ言うの?」
「ここまで付き合ってくれるとは正直思ってなかったからさ。」
涼自身も、今思うと、脅されてるとは言え、ここまで従ってる理由が分からなくなり、少し考える。そして、ある答えにたどり着く
「悪い奴じゃないから。どうせ、俺が従わなったとしても、その写真バラさないだろ。お前?」
茜は予想外の答えにちょっと驚きつつ、動揺を隠そうと、必死になる。
「それはどうかな!?分からないよ!?私は女王様なんだから!!」
涼は茜の分かりやすい反応に対して指摘する。
「人が嘘を付く時の特徴。顔を背ける。腕を組む。足をトントンして落ち着かなくなる。」
茜は全部ハマっていた。
「しまった!!!」
「お前の豹変ぶりにはビビるし、万が一もあるから従ってはいるけど、お前はいい奴か悪い奴かの部類で分けたらいい奴の方だろ。」
「えっ?ただそれだけ?」
「大きく言ったらその2つの理由だけだな。俺、悪い奴の部類の奴には脅された程度で従うつもりないし。」
そこから茜のやりたい事をどんどんやっていくことに。
2日目の放課後はメイド喫茶に行くことに。
「ただオムライス食べるだけじゃ終わらないよな?」
「うん、すっごく面白いこと考えてるの♪」
涼は茜の笑顔に恐怖を感じる。
何考えてんだ、こいつは....
お店に入るなり、店員はリードで繋がれているカップル入店に少し戸惑う。
「いらっしゃいませ〜♪ご..主人...様?」
そして、席へ案内され、座る。
2.3分後、注文する物が決まり、店員を呼ぶ。
店員にオムライス2つを注文し、オムライスが来るのを待つ茜とポチ。
そして、オムライスが運ばれる。
店員はいつものようにおまじないをかけようとするが、それを茜が制止する。
「ストーーーップ!!!!!」
「ポチ!私に愛を示しなさい!!」
「はい?」
「このオムライス、私に対して、店員と一緒に愛のおまじないをするのよ!!」
涼は覚悟を決める。
「..はい!!わかりました!!誠心誠意、愛を込めさせていただきます!!」
「うん!嬉しい♪」
涼は1分ほど時間を費やし、必死に覚え、その成果を見せる。そして、茜に対して感想を問う。
「どうでしょうか?ご主人様?私の愛のおまじないはいいスパイスになってますでしょうか?」
茜は一口食べて、感想を述べる。
「冷食の味と何も変わらない!!!」
俺の頑張り、返せや、コラァ〜!!!
3日目はプリクラに行き、茜が色々な動物のカチューシャを持ってきており、それを涼に被らせ一緒に撮影した。中には赤ちゃんの格好のもの、おしゃぶりまで一部用意されており、茜は涼がおしゃぶりをくわえる姿を見て、爆笑した。
こいつはホントにいい奴の部類なんだろうか....
4日目は涼がバイトのシフトの為、何もなく、あっという間に金曜日を迎えた。