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18話 ファッション雑誌

クラスマッチでの苦難を乗り越え、より強い絆が生まれた茜と涼。そして、茜は毎日がバラ咲くお花畑のような気分で毎日を楽しく過ごしていた。


ある日の夕食、最近の茜を見て、母親がある心配をする。

「あんた、ちょっと食べ過ぎじゃない?」


「だって、毎日、幸せすぎて、抑えられないんだもん♪」


「ほどほどにしないと後々、面倒になるわよ」


「うん、分かってるって♪」


茜は食事を終え、お風呂に入りながら、母親に言われたことを気にしながら、お腹をプニプニつまむ。

「ちょっと食べ過ぎかな?一回体重計乗ってみようかな」


茜はいつもより気持ち長めに浸かり、お風呂から出て、体重計に乗る。


「2.5キロ増えてるー!!!」


まさかの結果に驚きつつ、母親に確認を取る。

「母さん!!この体重計、壊れてない!?」


「今月買ったばかりだし、壊れてないと思うわよ」


ガーン!!!


翌日の朝、いつものように涼が茜の家まで迎えに来る。


茜はテンション暗そうに挨拶する。

「おはよう、涼くん...」

「お...おはよう..」

大丈夫か?こいつ...


涼の視界にコンビニが映る。

「ちょっとコンビニ寄りたい」


「うん」


涼はホットスナックを見ながら、何にするか考えており、茜は体重のことをずっと気にしていた。


どうしよう...こんなに太ったこと知られたら、振られるかも...ただでさえ、周りには美女が目を光らせてるのに...


茜はため息を吐きつつ、ある雑誌を見つける。

「これだ!!!」


それはイメチェン雑誌であった。茜は2冊ほど買うことにした。


これだー!!!やったるぞ!!!


授業中、茜は教科書やノートなどを盾にして隠しながら、雑誌ばかり目にする。その様子を隣で見ていた涼は呆れていた。


こいつ、授業中に何やってんだ...


結局、茜は授業には全く耳を傾けず、ひたすら雑誌を見ていた。

昼休みのチャイムが鳴り、涼と茜は食堂へ移動する。


「雑誌に夢中になるのも分かるけど、ほどほどにな」


「えっ!?先生にバレてた!?」


「バレてはないけど、一応授業中だし、そういう時間じゃないだろ。」


「そこはバレないでするなんて、探偵みたいでカッコいいね!って言うとこでしょ♪」


「そんなセリフ誰が思い付くんだよ...」


学食の食券の前に立ち、涼はいつものように茜に占いアプリの結果を聞く。

「今日はどんな占い結果?」

「私、サラダだけにするから、涼くんは好きなものでいいよ...」

さすがにダイエット始めないとヤバい!!


涼は茜の幼稚な考えに呆れつつ、ちゃんとした食事を取らせることに専念する。

「Aランチ、2つで」

「えっ!?なんで!?」

「いや、サラダだけは栄養的にまずいだろ。普通に考えて。話、聞いてやるから、今は大人しく従えよ」

「...うん..」


「いただきます。」

「...いただきます..」

涼は一口食べ、美味しそうな表情をする。それを見て、茜も食べたくなったが、中々一口目がいけない。


茜はホントに食べても体重に影響されないかが心配で葛藤していた。


その様子を見ていた涼は何となく悩みのタネが分かったが、確認の意味で聞くことにした。


「別に俺は何も気にしないから正直に話せよ。話してくれれば俺にも協力できることあるかもしれないしさ..」


茜を勇気を出して話す。

「朝、体重計、計ってたらちょっと増えてたの..ヤバいくらいに!!2.5キロも!!!」


深刻そうな茜に対して、涼は楽観的に答える。

「誤差じゃん。そんなの。何がヤバいかよく分かんない」

「2週間で2.5キロだよ!ヤバいよ!」

「成長期とかそんなんで多少増えてるだけなんじゃないの?俺もクラスマッチで体鍛えてから多少なりとも増えたぞ。体重。」

「涼くんは筋肉がついたってことでしょ。私のとは意味が違うよ。」


「だとしても偏った食事はアウトだからな。」

「そうしないと元に戻れないよ!」


「大抵、そういう偏ったことする奴は失敗して終わるんだよ。ダイエットするなら、3食きちんと取りつつ、親と相談しながら、やるんだぞ。食事を取らないとか極度な制限してたら、体壊すから、取るものはきちっと取ることな?約束だぞ?わかったか?」

「うん、分かった。」

ホントに優しいなぁ...

「俺もできる限りは協力するから、気楽にいこうぜ♪」

「うん♪」


そこから約1週間頑張った。学食では脂肪燃焼にいい食材が使われてるものを頼んだり、一緒に調べたりなど。


キーンコーンカーンコーン、昼休みのチャイムが鳴り、いつものように食堂へ向かう。


「どうだ?順調か?」


「あ、うん!すごく順調だよ♪」

ヤバい!どうしよう!?ホントはあれから何も変わってないよ!!!色々、協力してもらってるし、言えないよ、こんなこと!!


涼は茜の頑張りを祝おうと考えた。

「今日はデザートも頼むか!?」

「あ..うん!そうだね!!」


涼は茜の手を引っ張って、学食のスイーツが陳列されてるコーナーに向かう。


「めっちゃうまそう!!新作もあるじゃん!!」


ゴクリとツバをのみ込む茜


なんて甘く芳醇な匂いなの!?抑えられない!食べたい!!もう、我慢できない!!


「どうせなら、新作のほかにも3つくらい頼もうよ!」


「うん!そうしよう!」


ケーキを5個注文し、涼が3個、茜が2個、食べる。


スイーツを食べ終え、涼は嬉しそうに話す。涼は大のスイーツ好きであった。


「週に1回はこういうことしてもいいかもな♪」


茜も嬉しそうな表情で返すが、内心はそれどころじゃなかった

「うん!そうだね。」

毎週やってたら、ダイエットどころじゃないよ〜...ヤバい、欲に負けて食べ過ぎてる!


茜は今度こそは自分に負けないようにと決意を固めながら家に帰る。しかし、その決意を裏切るかのように家では豪勢な出前寿司が構えていた。


「母さん、どうしたの!?これ!?」

「お父さん、昇進したのよ!すごいでしょ!」

「今日はずいぶん豪勢だな♪」

「だって、めでたいことなんだし、こういうときのために貯金してるんだから♪」


ゴクリとツバをのみ込む茜。

どうしよう!?めっちゃおいしそうー!!夕食まで食べ過ぎたら、完全にアウトだ...

とりあえず五貫までにしよう!!


茜はとりあえず一貫食べる。


この寿司、ホントに美味しい!!スーパーの寿司とは比べ物にならない!!あと五貫、切りよく10巻で終わろう!


茜は結局20巻食べてしまう。


お風呂に入り、頭を抱える茜。


やっばーい!!完全に食べすぎたよ!!アウトかな?お風呂で燃焼されないかな。

お風呂で燃焼させて、落とすしかないわ!!


結果3キロ


ヤバい、終わった...


そして、翌日を迎える。

涼はそろそろ占いで学食のメニューが決まるやり方を再開しようかと思ったが、カツカレーが目に止まり、提案する。

「今日はカツカレーにしない!?めっちゃうまそうだよ!」

茜は涼の提案する食の誘惑に負けず、己の意思を貫くことにする。

「私は1番カロリーの低いものにする!!」


しかし、茜の目は輝くようにしてカツカレーを観ていた。


めっちゃ食いたそうだな...こいつ...


涼は気遣って、カツカレーを頼むことにする。

「カツカレー2つ、1つはごはん少なめ、もう一つは少し多めで。」

茜は否定するか迷いつつ、ここまで来ると食の誘惑の方が勝ち、否定できなかった。

「...」

どうしよう..一度食べたら止まらなそう...


「いただきます」

「....」


中々、食べようとしない茜に涼が優しく声を掛ける。

「大丈夫だよ、そんなに心配しなくても。少なめに頼んであるんだし。それに俺は何も気にしないよ♪」


「あっ...うん」


放課後、涼は心配になったことを確かめる。

「お前、ちゃんと食事取ってるか?」


「えっ!?ちゃんと取ってるよ!」


「今日の発言、聞いてたらすごく心配になるんだけど!」


「いや、ホントに大丈夫だって!昨日だってお寿司を2...10巻くらい食べて」


「すっごく怪しいなぁ...今の言い方は...」


「...」

危うく20っていうところだった..


「別に今までとなんも変わってない気がするから大丈夫だと思うけど、そこまで心配するなら、自宅で体幹トレーニング、10分程度やってみたら?テレビで就寝前にすると、いいって言ってたよ」


「それ!いいね!やってみるよ!」


「あんまり、無茶はするなよ。またな、俺バイトあるから。」


それから、約2週間頑張りつつプラス1キロまで戻った。放課後、涼は茜の様子を心配する。


「どうだ?調子は?」


「バッチリだよ!おかけでもとに戻ったよ♪」

ここまで協力してもらって戻ってないとは言いづらいなぁ...


「いや、そっちじゃなくて、体調面の部分での話だよ。頑張り過ぎて、体壊していないかだったり、おかしなところはないかとか。」


「いや、特に何もないよ」


「なら、いいんだけど」


ホントに優しいなぁ...涼くんは..早くイメチェンして、周りの美女からも寄せ付けないようにしないと!!


そんな会話もありつつ、バイト先の本屋に着く。

「じゃ、バイトだから。」


「私も買いたい物あるから、ちょっと寄っていく。」


「うん、分かった。」


茜はファッション特集だったり、メイク特集など、おしゃれに関する雑誌を物色しており、30分ほど悩みつつ、3つほどの雑誌を買うこと決める。


「とりあえず、この3つにしよう!」


茜はレジの方へ行こうとするが、ある光景が目に入り、立ち止まる。涼が本棚の整理をしている最中に美女に話しかけられていた。


なんかあの人、この前の雑誌に載ってた人だったような気が....あっ!前に雑誌に載ってた人だ!


その美女の名は小野莉々華「おのりりか」と言う。ファッション雑誌のモデルをしている。


茜は隅に隠れつつも2人の会話を盗み聞くことにした。


「キミ、彼女とかいるの?もし、良かったら..」


「そういうのいらないです」

仕事中だし、用事もないなら話しかけないで欲しいな...


「試しに付き合ってみない♪私、彼氏欲しいんだ♪」


「僕なんか付き合ってもつまらないんでやめたほうがいいですよ」

これであきらめてくれればいいんだけどな...


「そんなのわかんないよ♪案外、付き合ってみたら、面白かったりしてさ♪」


涼は仕方なく、彼女がいることを話そうとした時、茜が来て、2人を引き離す。


「ちょっといつまでナンパしてるんですか!?」


「...彼女さん?」


「そうですけど!なにか!?」


「ちょっと落ち着けよ。」


「涼くんも彼女がいるって、何で早く言わないの!?言いたくないの!?」


「今から言おうと思って...」


「本当かな!?信用できないな!?私よりも美人だし、この子!」


「おい、お前...」


小野莉々華は周りが注目し始めることに気付いて、その場をどうにか収めることにする。


「ごめん♪ごめん♪彼女さんいるなんて思わなかった♪お詫びに何か奢るから、一緒に帰らない?」


「マジで!?」


こいつ、さっきまでいがみ合ってたよな?どんな神経してんだ?...


そのまま茜は莉々華と帰り、コンビニに立ち寄り、スイーツを片手にベンチに座る。


茜は美味しそうにスイーツを食べ始め、莉々華が話を切り出す。

「彼女さん♪私、彼氏のこと好きになっちゃったみたい♪」

茜はあまりにも唐突すぎる話に戸惑いを隠せない。

「えっと...」

莉々華は笑顔で話を続ける。

「私、あんたから奪い取ろうって思ってるの♪だから、宣戦布告しとこうと思って。」


茜は心の整理がまとまり、やっと莉々華の本心に気付く。


莉々華はさっと立ち上がり、まっすぐな目で茜を見る。

「正々堂々、フェアで戦おうよ♪」

茜も覚悟を決める。

「うん!わかった!負けないから!」

ファッション雑誌を駆使して、今よりも可愛くなってこの子に勝つんだ!!

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