僕は僕を知らない
私は誰だ、私は、どっちだ。どっちが本物なのだ。いや、どれが本物なのだ。演者としての 自分、親の前での自分、友人たちの前での自分、一人で部屋にいる時の自分。そのどれもが 本物のような気がするが、同時にそのどれもが偽物の気がしてたまらない。私は、誰なんだ。 鏡を見れば、あいつらが笑っている。早く俺と変われよとせがんでくる。やめてくれよ、俺 は一つしかないはずなんだ。お前たちは誰なんだ、なあ、早く出ていってくれよ。誰か、ど れが本物の俺なのかを教えてくれよ。助けてくれよ。体はもう自分のものじゃないみたいな んだ。この体は誰のものなんだ。この体に流れている血液は本物なのか?この体を操ってい るのは本当に俺自身なのか?どうして俺は人の考えていることを気にしながら毎日生きて いるんだ?どうして俺にはなにもないんだ?俺の代名詞は一体なんなんだ?わからない。
全てが全くをもって俺の理解の範疇を超えている。もうこれは俺には理解できる人間はい ない。まるで、世界を構築している⻭車が欠けたみたいに、世界が崩壊し始めている。どう して俺の体には傷があるんだ?この体の傷は俺がやったのか?いや、俺の脳みそはそれを 危険な行為だと認識している。自称行為などは、なにも生み出さない非効率的な人間の行動 であることは理解している。 しかし、事実として日々体の傷は増えていく。俺じゃない誰かが俺を傷つけているのか?じ ゃあ俺は二人いるのか?でも体は一つしかないじゃあないか。じゃあ、誰かが部屋に入って きて俺の体を剃刀で切っているのか?じゃあなぜ、時折俺の口の中から血のほのかな鉄の 味がするんだ。どうして俺の前⻭は赤く染まっているんだ?どうして手元には血がついた 紙が握られているんだ。どうして胸や首から血が脈々とながれているんだ?どうして俺の 手の中から血のついた剃刀の刃がおちるんだ?俺がやったのか?どうして俺の目の前には 時々知らない紙が置いてあるんだ?どうしてその紙には汚い字で、「俺は自分が何かわから ない」と殴り書きしてあるんだ?俺がこれを書いたのか?どうしてその文字の上に大きな 目玉の絵が描かれているんだ?どうしてその絵は淡い赤色で色がついてるんだ?絵の具な んかひとつも持っていないはずなのに。どうして俺の手首から赤い色の液体がながれてい るんだ?どうして所々に、その液体を拭ったような跡があるんだ?どうして、俺の親は皆の 親と違うのだ?どうして俺は人からまともに愛してもらえないのだ?どうして俺だけがい つも人のことを考えて行動しなければいけないのだ?どうして俺だけは何者にもなれない のだ?どうして俺の努力はいつも無価値になるのだ?どうして俺はいつも愛しているもの を失わないといけないのだ?
どうして、俺が愛したものは皆俺の前から姿を消すのだ?俺 が悪いのか?俺が悪いのか?俺が悪いのか?俺が悪いのか?俺はそう思いたくない、でも 現実はそうなっている。 じゃあ、俺はどうすればいいんだ?俺はどこにいるんだ?俺の本物はどこにいっているん だ?これを書いているのは悠真なのか?俺は悠真だ。でも俺は悠真じゃないのか?じゃあ、 どうして俺の手首からは血がながれているんだ?どうして俺は皮膚をちぎって食ってるん だ?どうして俺は剃刀で自分の体を切ってよろこんでいるんだ?そんなのは普通の人間が することじゃないのはわかっている。でも、安心するんだよ。傷跡が、狂わしいほどに愛おしんだ。
いつも、気がつくと体の傷跡が増えている。おそらく今日もなんだかんだ言って増 えるのだろう。どうしてこんな頭のおかしいことを俺はしているんだ?どうして俺はその 傷を眺め、時には舌でなめているんだ?どうして傷跡を眺め、舌で舐めている俺は、喜んで いるんだ?どうして、鏡の中の自分は笑っているんだ?俺はこれが異常な行動だとわかっ ている。でも、鏡の中の俺は、笑っているんだよ。ドラムを叩いている時も、笑っているん だよ。友達と過ごしている間も、笑っているんだよ。楽器を死ぬ気で練習している間も、俺 は笑っているんだよ。あの女の子の所有物にもう一度なるには何を次に犠牲にすればいい のだろうか?俺は、何を捨てればあの女の子にもう一度振り向いてもらえるのだろうか? 俺は、何を切り捨てればいいんだ? 俺は、どうして自分の体に傷をつけたんだ?どうして俺は自分で、その女の子が嫌がること をしたんだ?どうして俺はもう関係のない女の子のことばかり考えているのだ?俺は、ま た関係のない人間を巻き込もうとしているのか?また俺は、自分のエゴを他人に押し付け ると言う行為を行う遺体と考えているのか?どうしてそんなことしか考えられないのだ? それは、自分がもっとも忌み嫌う人間と同じ行動だろう。俺は、結局あいつなのか?俺の本 体は、あいつと同じなのか?なあ、誰か教えてくれよ。誰か、どの悠真が本物の悠真なのか、 教えてくれよ。なんで鏡の中のお前は笑ってるんだよ。どうして鏡の中で俺は泣いてるんだ よ。どうして、鏡の中で俺は怒っているんだよ。なあ、助けてくれよ。俺は今何を書いてる んだ?俺は小説家でもないのに、なんでこんな無駄なことを繰り返しているんだ?どうし て俺の体は一つしかないのに俺の脳みそはいくつもあるんだ?俺は、誰だ?脳みそを剃刀 で刺して、痛みを与えたら理解できるのか?でも、それはやってはいけない行為だ。でも、 無性にその行為がやりたくてたまらない。でも、やりたくない。俺は、誰が誰を動かしてい るのかがわからない。わからないんだ。この文章はいったいどの俺が書いてあるんだ?どう して俺は存在するんだ?どうして俺はここに座っているんだ?どうして俺の脳みそは存在 するんだ?どうして俺は楽器を弾くんだ?どうして俺は、泣いているんだ?どうして、俺の 体は一つしかないのに、意識のようなものはいくつも存在するんだ?いったい俺は何を存 在理由として与えられたんだ?今すぐ窓から飛び降りて、肉塊になれば、理解できるのか? あの女の子を自分にすれば満足なのか? 俺は、誰の為に存在するんだ?
なあ、だれか、教えてくれよ。頼むから、教えてくれよ。俺 はもう、いくつもいらないんだよ。俺は、一つしかいらない。こいつは誰なんだよ。お前は 誰なんだよ。どうして頭が痛いんだよ。どうして視界の中で⻭車が崩れているんだよ。どう して、俺は死にたいのに死にたくないんだよ。誰か、頼むから、殺してくれ。俺以外を殺し てくれ、俺はここにいるが、俺はここにはいない気がするんだよ。なあ、昔みたスーパーマ ンのように、俺を俺にしてくれ。もう誰にも迷惑をかけないでくれ。俺は、もう俺がいらな いんだよ。早く出ていってくれ。俺は、誰なんだ?たすけて