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プロローグ Alter ipse amicus.



 すべての人間は己自身を愛す。


──プラウトウス『断片』

 何がしたい、ということはない。

 欲求を解消したい、ということはある。

 ただ、それが生きていくうちに満たされていくのかと問われれば首を傾げる。

 この満たされ過ぎた世界では、難しい。

 それでも、希望があれば光もあるし、絶望があれば影もある。それら全てを含めて、私は私を愛するし、他者のことなど知ったこっちゃない。

 私が良ければそれでいいのだ。

 私が私であるが故に。

 クズに塗れたこんな世界で、私が世界の中心であり続ける為に。

 好きな物を食べて、好きな装飾を身に纏い、好きな色を施し、好きな物を愛して。

 え?

 まだ引き返せる?

 まだ間に合う?

 どうしてそんなことを言うの?

 何で退屈な世界に戻ろうとするの?

 こんなに刺激的で、情熱的で。刺したくなるほどに、重くなるほどに素敵な世界なのに。

 ストローで吸える酔いどれの世界なんて目じゃないの。脳を溶かす甘い液体じゃないの。

 私が私でいられる世界なの。

 私が私という存在を立証し、好きに生きていく。

 それの何が不満なのか。

 それの何が不憫なのか。

 私は私が大好きだ。愛してる。

 故に、私は迷いなく撃鉄を落とすのだ。

 意味がわからないって?

 なら、馬鹿な素人童貞君にもわかるように言ってあげよう。

 私は、私の為に躊躇なく人を殺せるんだよ。

 もう戻れないんだから。戻ろうとしたら、後ろから刺しちゃうからね? 雑ぁ魚。

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