女神の娘たちの子孫
女神の三姉妹の伝説はとても有名な話です。この女神の三姉妹のお陰で貧乏国だったラッツェンは、大陸の中での大国となりました。
まず、戦の加護を持つ女神の長女は、王子と一緒になって戦に出て、隣国マサラを打ち滅ぼしました。女神の長女は、マサラ国の王女が言い放った、末の妹への暴言が許せなかったのです。そうして、マサラ国は地図からなくなりました。
そして、財貨の次女は、近隣国がラッツェンに結ばせた不利益な契約を全て結び直させました。しかし、それを不満に思った国々は、誰も取引をしなくなりました。
しかし、そこに、大飢饉です。
ラッツェンは貧乏国ではありましたが、とても豊かな国なのです。何せ、土地だけは有り余っていましたから。だから、飢えることがありませんでしたし、借金もありません。
ラッツェンは、別に他国と商売なんかしなくても良いのです。ただ、普通に生きていけばいいだけでした。
そこに、女神の末娘を受け入れたラッツェンだけ、飢饉が起きませんでした。しかも、女神の末娘を大事に迎え入れた貧乏男爵の領地は、さらに豊作となったのです。
貧乏国ラッツェンは、土地だけは有り余っています。飢饉で苦しんでいる移民たちをどんどんと受け入れ、とうとう、大国サイザンと肩を並べるほどの大国となったのでした。
嘘か本当か、よくわからない、遥か昔の、伝説にまでなってしまった話は、ラッツェン国では語り継がれています。
そして、女神の三人の姉妹の加護は、その子孫に受け継がれています。
長女の戦の加護は、侯爵家が受け継ぎました。戦の加護を持つ姫君が、侯爵家に降嫁したのです。それからずっと、侯爵家は戦争では全戦全勝でる。
次女の財貨の加護は、公爵家が受け継ぎました。財貨の加護を持つ姫君が、増やした財産で公爵家となったのです。そして、国の財政を支えていました。
末娘の加護は、ずっと、貧乏男爵家が受け継いでいます。貧乏ではありますが、食べることに困ることはありません。何より、大陸の飢饉には、大活躍です。何せ、女神の末娘の加護のお陰で、豊かさに拍車がかかったのです。
女神の末娘の加護は、豊かさです。
貴族の学校で、この話は、必ず、年に一回は出ます。ほら、ラッツェン国を栄させたのですから。伝説は本当かそうかはともかく、女神の三姉妹の加護は、確かに子孫に受け継がれています。
だけど、我が男爵家だけ、ぱっとしない加護な上、先祖の女神の末娘は不細工、と伝えられているので、蔑まれるように見られています。
そこの所は、気にしません。わたくしの両親は、貧乏ながらも愛し合って結婚し、困った人がいれば助ける良い人たちです。私も、そんな両親のことは誇りに思っています。
だけど、私自身は笑っていられない立場なのです。
「ユメール、相変わらず、貧乏臭いわね」
侯爵令嬢サイファが取り巻きを引き連れて、わたくしが座る席の横歩いて行きます。
「ごきげんよう、サイファ」
「まあ、男爵令嬢の分際で、呼び捨てだなんて」
「サイファ様は公爵令嬢ですよ!!」
あー、始まった。この身分差でのマウントですよ。
わたくしの先祖は豊かさの加護を持つ女神の末娘ではありますが、爵位はずっと男爵のままです。女神の末娘を嫁にしたのだから、もっと爵位を上げてもいいはずなのに、男爵なままなのはどうしてか?
大昔のラッツェン国は貧乏です。爵位って、お飾りみたいなものです。名誉職で、大した効力がなかったのです。だから、男爵のまま、そのまま受け継がれていった、と両親から聞きました。
結果、わたくしの血縁は男爵よりも上へと嫁いだりして、どんどんと爵位を上げていっているというのに、わたくしは最下位の男爵ですよ。いいですけど。領地はラッツェン国一広いですし、領民もいっぱいです。
「こらこら、お前たち、女神の加護を持つアタシとサイファ、男爵令嬢ユメールは、対等なんだぞ」
そこに、戦の加護を受け継いだ侯爵令嬢アスラが間に入ってくれました。
そう、我が家、男爵ですが、女神の子孫ですし、加護をわたくしが受け継いでいるので、対等なんですよ。言わないけど。
あえて沈黙して、侯爵令嬢アスラに任せます。争ったって、お腹がすくだけです。
「そうですが、ユメールの生家は、我が家に借金がありますのよ」
「お前、ラッツェン国を支える食糧庫に、随分なことをいうな。借金なんて、なくしてやればいいだろう」
「そんなことをしたら、商人たちの立場を悪くします。男爵家がただ無駄に作っている食料を商人たちが金に替えてあげているのですのよ」
「それで儲けさせてもらっているのは、公爵だろう。格安で譲ってもらう契約だ。その契約だって、我が家のお陰じゃないか」
「っ!?」
侯爵令嬢アスラに言われて、公爵令嬢サイファは悔しげに顔を歪めます。
我が家と公爵、いえ、ラッツェン国では、飢饉や戦争が起こった時のため、格安で食料を提供する契約を結んでいます。それを逆手にとって、サイファの生家は、男爵家にとんでもない安い契約を持ってきたのです。元が安いのです。公爵家は必ず儲かります。お陰で、公爵家が一人勝ちとなっています。
「お陰で、ラッツェン国は大陸での二大王国の内の一つになりましたわ」
「それは、財貨だけではないだろう。アタシが持つ戦の加護もだ」
公爵家が一人勝ちをするので、内部だって、他国だって、面白くない。戦争だってふっかけてきます。だけど、侯爵家が防衛するお陰で、ラッツェン国は平穏を保っているのです。
またも言い返せないサイファは、そのまま取り巻きを引き連れて去っていきます。
いえ、取り巻きで一人残っていました。
「何か用ですか、アイナ」
「あなたが従姉妹というだけで、肩身が狭い思いをしているのよ。少しは気を使ってちょうだい」
「アイナ、無礼だぞ!!」
「わたくしだって、女神の末娘の子孫よ」
アイナの父は子爵家へ婿養子に出されたのですが、女神の末娘の子孫であることは確かです。
「そうだが、跡継ぎはユメールだ」
「加護もユメールが受け継いだとは限らないでしょう。わたくしが受け継いだかもしれませんよ」
アイナは胸を張って言います。
アイナがそう言ってしまうのは、仕方のないことです。この女神の娘の加護、誰が受け継いだのか、確かめようながないからです。
大昔は、跡継ぎとかで争いはありませんでした。ですが、国が栄えていくと、相続で争いが起こってくるのです。
それは、財貨の加護を持つ公爵でも、戦の加護を持つ侯爵でも、豊かさの加護を持つ男爵でも起きます。もう、これ、仕方のないことなのです。だけど、跡を継ぐのは、加護持ちなのですよ。
「アイナは、貧乏男爵の跡継ぎになりたいのですか?」
「そんなわけないじゃない!! あんな貧乏で、ど田舎、いらないわよ!!!」
「だったら、女神の娘の加護がある、なんて迂闊に口にするものではありませんよ」
「いつまでも、あんたのトコに加護が留まっているなんて思わないでね」
アイナはわたくしを見下して、その場を去っていった。
「ユメール、こう言ってはあれだが、もっと堂々としたほうがいいぞ」
「学校を卒業してしまえば、こういう煩わしい事もなくなります。今だけですよ」
「だったら、手を抜くことも覚えたほうがいい」
「………」
アスラからの痛い一言である。
公爵令嬢サイファがわたくしを目の敵にしているのは、貴族の学校での成績で負けたからだ。
「仕方ないじゃないですか!? わたくしの唯一の取柄です!!」
だいたい、爵位では絶対に勝てない。かといって、武力ではアスラが上である。だったら、頭だけでも勝ちたいのだ。
「妙な所で負けず嫌いだな」
「サイファは常に勝ち組ですよ。だったら、一つくらい譲ってくれる、心の豊かさを持ってほしいです」
「お前も心の豊かさを持てよ」
「ありますよ!! 勉強だけは、頑張りたいだけです。わたくしが唯一、誉められる所ですから」
「あれか、第三王子に誉められた、というやつだな」
「えへへへ」
別に、一番がいいわけではない。婚約者である第三王子に幼い頃、誉められたのだ。
ラッツェン国では、ある決まり事がある。女神の娘たちの加護によって平和と豊かさを手に入れたラッツェン国では、王子が三人、そして、女神の子孫たちにそれぞれ娘が生まれた時、結婚することとなっている。これは、女神の長女と次女が、末の妹だけ王族に嫁げなかったことに心を痛め、子孫だけでも、王族と結婚出来るように、と願ったからだという。
そして、女神の長女と次女が貴族となったのは、末の妹が貴族に嫁いだからだ。そして、降嫁することで、ラッツェン国の王族たちの立場を高く見せたのだ。
これまで、男爵家だけ、なかなか女児に恵まれなかった。どうにか女神の子孫と縁を結びたい王族は頑張ったのだ。だけど、何故か男爵家だけ、女児に恵まれなかった。
それも、わたくしが数百年ぶりに女児として誕生した。これには大喜びの王族たち。
わたくしが誕生する前に、公爵家ではサイファ、侯爵家にはアスラが生まれていた。そして、王族には三人の王子が誕生していた。こうして、大昔からの習わしにより、女神の娘の子孫三人は、王子三人と婚約を結んだのである。
王太子であるアーサーは一番最初に誕生した侯爵令嬢アスラと婚約した。アスラの生家は、アスラの兄が受け継ぐこととなった。
第二王子であるアイゼンは、公爵令嬢サイファと婚約した。アイゼンは、サイファの生家に婿養子が決まっている。
そして、第三王子であるアレンは、わたくし男爵令嬢ユメールと婚約することとなった。そして、結婚後、男爵家に婿養子と決まっている。
わたくしは男爵であるが、女神の子の子孫ということから、それなりに扱われる。だけど、王族の婚約者となったわたくしは城に行っては、王妃教育を受けさせられている。正直、しんどい。だけど、婚約者である第三王子アレンと出会えるので、耐えた。
アレンは、わたくしの初恋だ。どこに行っても蔑まれるわたくしを唯一、誉めてくれるアレン。
侯爵令嬢アスラは、わたくしが何を考えているかなんて、顔を見ればわかるので、苦笑します。
「アタシも、アーサーのためにも、妃教育、頑張らないとな」
「お手伝いしますよ」
「ありがたい」
アスラは勉強、出来ないわけではない。だけど、妃教育はそれだけではダメなのだ。
「アスラ、万が一の時は、わたくしを侍女として連れて行けばいいですよ」
「まずは、アタシが努力する。それに、アーサーだっているんだ。二人で頑張ればいいさ」
「そうですね」
アスラとアーサーはいい関係です。わたくしが心配する必要なんて、本当はないのです。
「わたくしも、跡継ぎとして、もうそろそろ、準備しないといけませんね」
卒業すれば、その後は、ただの跡継ぎです。もう、問題はないように見えました。
頭はどうにかなります。行儀もどうにかなります。だけど、ダンスだけは、わたくしはダメなんです。ほら、ど田舎ですから、ダンス、必要ないですし。
というわけで、ダンスでわたくしは最下位ですよ。
「これでも、女神の娘の子孫だというのだから」
教師は皆、貴族です。そして、爵位はわたくしよりも上なので、ここぞとばかりに蔑んできます。
「おい、お前、ユメールになんて無礼な口をっくんだ!!」
当然のように、アスラが教師を叱ります。相手は、王太子の婚約者です。教師は慌てて頭を下げます。
「だからこそ、きちんと模範とならなければいけないのですよ」
だけど、公爵令嬢サイファが教師の味方をします。
「ユメール、勉強ばかりして、もっと女神の娘の子孫として、その、動きと、その見た目をどうにかしなさい」
「伝説では、女神の末娘は、その、見た目は醜いと言われていますよね」
「そんなことありません。女神の娘ですよ。そう言い伝えるのは、他国が嫉妬してですよ」
クスクスと笑う貴族の子息令嬢たち。ダンスの授業は一人では出来ません。相手はいるのです。
そして、わたくしの相手は、婚約者である第三王子アレン。アレンに恥をかかせてしまったので、わたくしは俯くしかない。
「ユメールは、その、僕の苦手な勉強が得意だから、助かっている。だから、気にするな。お前たちも、ユメールを悪く言うな。誰だって、苦手なものの一つや二つはあるものだ」
「さすが王族は、お優しいですね」
サイファはアレンのことを誉めた。蔑むことを言い出したのはサイファだというのに、変わり身が早すぎだ。
「アレン様、わたくしが練習にお付き合いします。このままでいくと、アレン様の勉強が遅れてしまいます」
そこに、従姉妹の子爵令嬢アイナが割って入ってきた。
「アイナ、無礼だぞ!!」
「いいんです。わたくしが出来ないのが悪いのですから。アイナ、アレンのこと、よろしくお願いします」
アイナもまた、女神の娘の子孫です。わたくしの代わりとしては、まあ、いいかな、なんて思ってしまいます。
「では、ユメール様は、同じような成績の生徒同士で」
「だったら、俺がお相手しよう」
そのまま、イヤそうな顔をする貴族の息子たちを相手にする予定だったのに、そこに、大陸の二大国の一つサイザン国の王族セザンが手を上げて来ました。
サイザン国の王族セザンは、友好のために、ラッツェン国に留学に来たこととなっていますが、ようは人質である。大国二つが争うと、大変なこととなるので、サイザン国から人質を送って、女神の加護を持つラッツェン国の顔を立てたわけです。
しかし、このセザン、女癖がともかく悪いのだ。サイザン国の王族だからと、寄ってくる女たちに手あたり次第である。
「しかし、セザン様の手を煩わせるのは」
「こう見えても、女のリードは得意だ。さあ、どうぞ」
「は、はあ」
教師が止めるも、セザンが前に出てくるので、わたくしは仕方なく、手をとるしかない。
確かに、上手だし。
婚約者アレンとは、うまく踊れていない。実力があっていないのもある。
見てみれば、アレンとアイナは上手に踊れている。すぐに、教師は合格を与えた。
わたくしはというと、セザンの足を散々、踏んでいる。これ、国同士に問題にされそうだ。
「ほら、顔をあげて」
「踏んでしまいます」
「どっちにしても、踏んでる」
そうだけどね!! 足を見て踊っていても、どうしても踏んでしまうのだ。ほら、セザンの動きに釣られてしまうのよ。
「ユメール嬢が踏んだくらい、どうってことないから。それよりも顔をあげないと」
「は、はあ」
セザンがいうことだし、わたくしは顔あげる。そうか、身長差があるので、セザンの胸板を見ることとなるのか。
「もっと顔をあげて」
「いえ、ここまででいいです」
「俺の先祖も、惜しいことしたな。ユメール嬢の先祖を娶れば、大陸最強の王国になったのにな」
「仕方ありません。わたくしの先祖は、わたくしと同じように、不細工だそうですから。義務でしか、わたくしを娶ってくれませんよ」
お世辞にも、わたくしは綺麗ではない。可愛い、というわけでもない。平凡なのだ。
不思議なことに、わたくしの両親も綺麗とかではない。平凡だ。女神の子の子孫だから、それなりにいい血筋とかも取り入れているのに、跡継ぎはぱっとしないのだ。
「こう言ってはあれだが、きちんと着飾れば、ユメール嬢だって綺麗になるぞ。その手入れとかは、誰がやっている?」
「城から派遣されている侍女ですよ。もう、磨いても意味がない、なんて言われています。肌荒れとかひどすぎるから、手の施しようがないって」
笑うしかない。男爵令嬢といえども、領地ではただ座っているわけにはいかないのだ。領地運営で、あのだだっ広い領地を馬で駆けずり回っているのだ。お陰で、肌も髪も荒れ放題である。
「女神の子の子孫に、随分だな」
「もう、それだって、欠片ほどもないでしょう。名ばかりですよ」
心底、わたくしはそう思っている。
もう、女神の恩恵なんて、この国は必要ないのだ。ただ、儀礼的に、男爵家を持ち上げているだけだ。
そう話している間に、足を踏むことなく、合格を貰えた。
「ありがとうございます!! さすが、女性のリードが上手なセザンですね。助かりました」
「………」
何故か、セザンは、難しい顔をしている。明らかに、セザンのお陰で、わたくしはダンスに合格出来たというのに。
「ユメール嬢、アンタ」
「さすが、セザンは上手ですね」
取り巻きを連れてきて、公爵令嬢サイファがやってきた。わたくしのダンスの合格はセザンのお陰、と強調してくれる。実際、そうだけど。
「いやいや、ユメール嬢と相性が良かっただけだ」
「そんな謙遜なんて必要ありません。ねえ、アレン」
サイファはわたくしの婚約者アレンにわざわざ同意を求める。
見れば、アレンの横にはわたくしの従姉妹である子爵令嬢アイナが、アレンの腕をとっていた。わたくしが見ていることに気づいて、アレンは慌ててアイナの手を払った。
「ごめん、僕のリードが下手で」
「そんなつもりで言ったわけではありませんよ。セザンはその、経験豊かですから、仕方がありません」
それは、言葉裏に、アレンが未熟と言っているようなものだ。アレンは恥ずかしくなって、その場から走り去ってしまった。
「サイファ、アレンになんてことをいうのですか!?」
さすがにわたくしはサイファを責めます。相手は王族ですし、わたくしの婚約者です。
「わたくしを責める前に、追いかけるべきでしょうにね。アイナ嬢はアレンを追いかけていきましたよ」
「今、言わなくて、いつ言うのですか。アレンだって、わかってくれます」
本当は、アイナのほうが正しい。だけど、このまま放置することは、アレンの立場を悪くするので、わたくしは残って言うしかないのだ。
指摘されてしまったので、泣きそうだ。だけど、わたくしはぐっと耐えた。これは、妃教育では当然なのだ。
「わたくしの婚約者は言ってますわ。あなたは可愛げのない女だと。本当に、そうですね。男を立てられないなんて」
「っ!?」
第二王子アイゼンからは、面と向かって言われたこともあるが、こんな人前でそれを言われて、わたくしだって立場がない。
「アタシの婚約者は、頼もしいと言ってくれるけどな」
そして、味方をしてくれるのは、侯爵令嬢アスラだ。間に入って、アスラはわたくし側に立つ。
「次の王妃が、中立に立てないなんて」
「そんなに言うなら、お前とアイゼンが次の王妃と国王になるか? 別に、それでいいんだ。たまたま、年功序列で決まった婚約だ。アーサーだって、それでもいいと言ってくれる」
「………そんなこと、考えても、いません」
悔しそうな顔をするサイファ。本当は、王妃になりたいのだ。そして、第二王子アイゼンだって、国王になりたい。
だけど、年功序列なのだ。最初に生まれたアーサーが次期国王となるのは、相続で争わないための、大事な習わしなのだ。だから、跡継ぎはそれなりに厳しく教育される。
常に一番がいいサイファ。本当は、王妃になって、女性として一番になりたいのだ。だけど、生まれた順位は二番目なので、どうしようもない。