女神の三姉妹の嫁入り
昔々、女神は人との間に生まれた三人の姉妹の嫁ぎ先を探していました。
地上の国々に、仲良しの三人の姉妹が離れ離れになることなく、ぜひ、同じ国に受け入れてほしい、と願いました。
まず最初に名乗り出たのは、大国サイザン。
ところが、息子は二人です。
息子二人は、二人の姉妹に一目惚れしました。
ぜひに、と願い出ました。
ですか、一人、末の妹が仲間外れとなってしまいます。
「どうか、末の妹を受け入れられる人はいませんか? 王族でなくても良いのです」
女神と姉二人の願い空しく、貴族も、平民ですら、妻に、と望みませんでした。
「お姉様、わたくしはかまいません。どうか、二人でお幸せになってください。わたくしは、わたくしを愛してくださるかたを探しに行きます」
そう言って、誰にも選ばれなかった女神の子は旅立っていきました。
結局、姉二人は、大国サイザンの王子を選びませんでした。
女神と三人の姉妹は、隣国エグレンを訪れました。
ここには、三人の王子がいました。
しかし、末の王子は、女神の末娘を断りました。
「私には、愛する幼馴染みがいます」
結局、姉二人は、エグレンの王子を選びませんでした。
女神と三人の姉妹は、隣国マサラを訪れました。
ここには、たくさんの王子王女がいました。
しかし、女神の末娘を誰も選びました。
「こんな醜い妹がいりません!!」
王女の一人が、女神の末娘に心無いことを吐きしめました。
結局、、姉二人は、マサラの王子を選びませんでした。
女神の三人の娘には、皆、父親が違います。
だから、その姿も違っていました。
女神の末娘は、お世辞にも美しくありませんでした。
しかし、女神も姉二人も、女神の末娘を心の底から愛していました。
女神と三人の姉妹が最後にたどり着いたのは、貧乏国ラッツェンでした。
この国は、戦争に負け、隣国からはいつも不利な契約を結ばされ、騙されていました。
この国には、二人の王子がいました。
二人の王子は、女神の子である二人の姉妹に一目惚れしました。
ですが、末娘が残ります。
「どうか、僕と結婚してください」
そこに、貧乏男爵が自らが育てた花を持って、末娘に求婚しました。
女神の末娘はいいます。
「わたくしには、一番上の姉が持つ戦の加護がありません」
長女には、戦いの才能と、その加護がありました。
長女が戦争に出れば、必ず勝利します。
「僕は、畑を耕すしか能がない男です。そんなものいりません」
貧乏男爵が言いました。
女神の末娘はいいます。
「わたくしには、二番目の姉が持つ財貨の加護がありません」
次女には、商売で成功する才能と、その加護がありました。
次女が商売をすれば、必ず成功しますし、もう、契約で騙されることはありません。
「僕は、作物を作る男です。買ってもらうだけでよいのです」
貧乏男爵が言いました。
これには、女神も、二人の姉も感動しました。
こうして、女神の三姉妹は、貧乏国ラッツェンに嫁ぎ、末永く、幸福を振り撒き、暮らしました。