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ただの勇者  作者: ディオ&ジョジョ
2/4

怪物

 良いね、ありがとうございます!!


「……」


 ある国の城の中。


 そこで王様は、広い場所で大きなイスに座りただ静かに待つ。


 その室内の真ん中では、召喚師と魔術師が力を合わせて、大きめの丸い紋章を描き魔法を唱える。


 秘書、大臣、執事、メイド、貴族騎士、兵士、付き添いに志願して来て合格した冒険者……皆、成功を願って静かに待つ。



「「ハァッ!!」」



 召喚師と魔術師は、力強く声を出す。すると、大きめの紋章がピカッ!!と光り出して皆、眩しくて目を瞑る。



 そして目を開けるとそこには、男女五人の若者が居た。


「成功……成功です!」

「やった!」


 魔術師の女性が、召喚師の男性が喜んだ。

 

 周りも喜びの声が上がった。


 ただ……王様は喜びもせずにただ静かに座っていた。



「え? 何ここ?」


「私、轢かれてその後……」


「あっれ? 確か俺、残業してて……意識が遠くなって……え〜と?」


「え? ココって……ファンタジー系でよくあるヤツ!?」


「僕は中学校に登校してたハズなのに」



 五人の男女は、突然の出来事に慌てて混乱していた。


 そこで王様が声をかけた。


「其方達よ、突然の出来事に混乱しておるだろう。申し訳ないと思っておる」


 王様はイスから立ち上がり、五人に話しかける。

 五人も王様の話を動揺しながらも聞く。

      

「だがもうすぐ百魔夜行(ひゃくまやぎょう)が訪れる。だから単刀直入で言おう」



 王様は頭を下げて、他の皆んなも頭を下げてこう言った。



「どうかこの国を救ってくだされ……五人の勇者達よ」




*****


『キシャーー!!』



「クッソ!」


「何て数だ!」


 目が覚めたら森の中にいて、更に怪物どもに囲まれていた。


 無茶苦茶な話だと思うが、本当にそうだからそう言うしかない。

 そして今は怪物どもを相手にしてる所だ。



「おいまた緑色の怪物が出て来たぞ!」

「オークっスよオーク!」


 

 ヤフェスとライは、そのオークにFN-SCARとM4カービンの弾丸をぶち込む。


 オークは、胸や腹に弾丸をくらって怯む。オークは体を大きな両腕でガードする。

 ダメージは与えてるとは思うが、致命傷という程ではないようだ。

 

「クソ! 脂肪の塊の怪物が!」


 俺は、H&K G36を構えて単発にセットしてリアサイトを覗き、両腕でガードしているその両腕の隙間を狙って、オークの首に弾丸を二発撃ち込む。



 オークはフラフラっと体を動かして、自分の首を確認する。

 首に二つの穴が空いていて、そこから大量に出血していた。


『ガッ! ウガァ!?』


 血を止めようとオークは手で止めようとするが、それでは止まらずに大量に出血してバタンと前に倒れる。

 死んではないが、その出血では立てないだろう。それにほっとけば多量出血で死ぬ。だが、頭を撃って早く始末しよう。念には念を。


 俺は、倒れているオークの頭に弾丸を撃ち込んだが効果は薄かった。

 オークの頭は硬いのか、弾丸はめり込んでいる程度で収まっていた。同じ箇所に撃てば脳みそを撃ち抜けそうだが。

 まぁいい。あのオークは出血多量で死ぬ。ほっとこう。

 

 オークは、体は脂肪で弾丸があまり通らないが、首が脆くてそこは弾丸は通る。一応、弱点が分かった。



「緑色の怪物……いやオークには、首を狙え! それか足を撃って動けなくさせろ!」


「できたらやってるよ!」



 俺はそうアドバイスしたが、ヤフェスは小さい怪物……たしかゴブリンだったか? ゴブリンの大群に弾丸を撃ち込んでいた。


 

『やっぱり逃げよう!』


『怪物共が何処に何体隠れてるか分からないんだぞ! コイツらエリート隊と一緒にいた方が、生存率があがる!』


 テロリスト達は、AK47を乱射しながら叫ぶ。

 コイツらは敵だが、今は一時休戦の状態だ。顔に布を覆っているけど、息しずらそうだ。

 

『ぐあっ!』


 そんな呑気な事を考えていたら、テロリストの一人が右腕に矢が刺さっていた。


「北西側の木の上に、弓矢を持ってるやつがいる! それに南西側に三体!」


 ライが叫ぶ。

 すぐにガーディ隊長がH&K G3を構えて、スコープを覗いて北西側の弓矢を持ってるゴブリンを撃ち抜く。


「そろそろ移動した方がいいかもしれん」


 ガーディ隊長は、弾丸を装填して言う。


 俺は、南西側のゴブリン三体をG36を構えて撃ち抜く。

 

「よくスコープ無しで狙えるっスね」


「移動って、どこに移動するんだよ!?」


 ヤフェスはまた現れたオークに、デザートイーグルの弾丸を頭にぶち込んでいた。

 流石に、頭が硬いオークでも.50AE弾には敵わないようで、脳みそを撃ち抜いていた。


「とりあえず怪物共から逃げる。それに見ろ。怪物共があまりコチラに近づかないでいる」


 確かに、ゴブリンやオーク共はコチラに近づかないで木に隠れたり、物を投げたりしていた。

 流石に俺たちに近づいたら、突然大きな音がして死ぬ、というのを分かったか。しかも離れていても頭を撃ち抜かれて死ぬ。


 怪物達は警戒している……というより恐怖しているように見える。


 怪物でも恐怖は感じるものなのか。


 どちらにせよ、今がチャンスかもしれない。


「誰かスモークかスタングレネードは?」


「両方俺が持ってる」


 ガーディ隊長が聞き、俺が答える。


「よし。俺が合図したら、スタングレネードを上に投げろ。そしたら北西の方向に逃げるぞ。怪物共の数は北西側が少ないからな」


 俺は安全レバーを握りしめながらスタングレネードのピンを引き抜く。


「おいお前! 動けるか!?」


 ガーディ隊長は、矢を腕に受けたテロリストの一人に話しかける。


『う、うん。大丈夫』


 コクコクと頷く。


「よし。準備はいいな?」


 怪物共は、まだ警戒して近寄って来ない。北西側は手薄だ。


 今がチャンスだ。


「GO!」


 ガーディ隊長が合図を出して、上空に投げようとしたその時……



 ピピィーーー!!



 どこからか笛の音が響き渡る。


 そしたら怪物共は、背を向いて森の奥へと行き、いなくなってしまった。



「……えぇ?」


 ライは声を漏らし、疲労からか尻餅をついてしまった。


「ちくしょうが! 何だってんだよ!」


 ヤフェスも愚痴りながら座り込んだ。

 テロリスト三人も座り込んだ。


「……少し休憩して移動するぞ」


 ガーディ隊長は、ゆっくり座り込む。流石に隊長でも混乱しているのか、頭を片手で抱えていた。


 

 俺はピンを戻して、スタングレネードを元の所に戻す。


 この怪物共は一体……ライは、ゴブリンとオークと言っていた。あのファンタジー世界で出てくる怪物の事なのだろうか?


 そんな事がありえるのだろうか? 現に奴らの死骸がある。


「……」


 ハァ……何か疲れた。少し休もう。


 俺は水筒に手をとって水を飲んだ。


 その時、俺の胸はまるでフルマラソンしたかのように高鳴っていた。



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