ハロウィンの日にミニスカサンタのコスプレをした彼女が「トリック オア トリート」と言ってきた(なんかいろいろ間違ってるけどありがとうございます!)
「トリック オア トリートー!」
仕事帰り、アパートのドアを開けた瞬間、大きなかけ声とともにクラッカーがパーン! と鳴った。
部屋の中にいたのは、付き合って3年にもなる年上の彼女だった。
職場ではクールビューティーと恐れられている職場の先輩。
怒ると怖い、僕の上司。
そんな彼女が「今日は用事があるから」と早引けしていたのに、なぜか僕の部屋にいた。
しかも、ミニスカサンタの格好をしている。
すらりと伸びた生足が艶めかしい。
わけがわからず玄関の前でポカンと突っ立っていると、彼女は屈託のない笑顔で詰め寄ってきた。
「うふふ、驚いた?」
驚いたなんてもんじゃない。
腰が抜けそうだ。
「せっかくのハロウィンだから、驚かそうと思って」
そう言って、赤いもこもこのミニスカをひらひらさせる。
うん、鼻血出そう。
僕はポケットの中に手を突っ込んでポケットティッシュを探った。
「あのさ、ハロウィンは相手を驚かせる日じゃないよね?」
「トリック オア トリートー!」
聞いちゃいねー……。
彼女は僕の言葉などお構いなしにさらにクラッカーをパンパンと鳴らしている。
「あと、お祝いの日でもないんだけど……」
「ディス イズ ハロウィーン!」
ツ、ツッコみたい……!!
いろいろツッコみたい !!
どうやら彼女は何かを勘違いしているようだ。
ハロウィンてこういうもんじゃない。
思うところはたくさんあるものの、とりあえずこれだけは聞いてみた。
「ねえ、ひとつ聞いていい?」
「なに?」
「……なんでサンタコスなの?」
「………」
「………」
「………」
だんまりですか!?
まさかのだんまりですか!?
そこ、一番重要でしょ!
すると彼女はもじもじしながら言った。
「ま、間違えちゃって……」
「へ?」
「ハ、ハロウィンとクリスマス……」
「………」
はい?
「ネット通販でハロウィングッズ検索してたら、なぜかクリスマスグッズが出てきちゃって……」
「で?」
「ハロウィンと間違えて買っちゃった。てへ」
おっふ。
なに、その可愛い間違い。
ていうか、間違えないでしょ普通。
相変わらず彼女はどこか抜けてる。
仕事中はめっちゃ細かくてミスもしないのに。
でもそのギャップが可愛い。
彼女は恥ずかしがりながら、上目づかいで言ってきた。
「ト……トリック オア トリート。お菓子をくれないと、いたずらしちゃうぞ☆」
………。
ふおおおおぉぉぉっ!!!!
ありがとうございます!
ありがとうございます!
間違ってくれて本当にありがとうございます!
可愛くて悶え死にしそうです!
「お、お菓子は……持ってないです」
ドキドキしながらかろうじてそう答える。
そもそもビジネスバッグにお菓子なんて入ってるわけがない。
すると彼女は、そそそと近づいて僕の首に手を回すと耳元に息を吹きかけてきた。
「ひあッ!?」
瞬間、ゾゾゾっと背筋が凍りつく。
なに?
なにしてんの?
慌てて引き離すと、彼女は恥ずかしそうに笑いながら言った。
「お菓子くれなかったから、いたずらしちゃった♡」
………。
ごっへえええええぇぇぇぇっ!!!!!!
僕がそのまま昇天してしまったのは言うまでもない。
ハッピーハロウィン♪
お読みいただきありがとうございました。
サンタコスプレ最強説。




