7話 妄想、暴走……そして、覚醒
オレの家にいかにも仕事できる風、無双ボディ、かつ容姿端麗な美貌の持ち主が降臨した。
代わりにパパの肉体が消滅したらしい。
しかもこれは現実……夢ではなかった、決して。
オレはこの状況で何をすべきか?
とりあえずおっぱいを揉むべし!……神の声が脳内に木霊する。
ちょっと、待て……。
オレは中学3年生だ。
スーパー銭湯や温泉施設において、もはや女湯に入ることは許されない。
ましてや相手の同意なしにおっぱいを揉むなど果たして許されるのか、いや許されまい。
だったら、子供らしく素直にお願いしてはどうだろう。
「パパのおっぱい、揉ませててちょ!(テヘペロ)」
無理だ……揉ませてくれるわけがない。
彼女は見てくれはともかく、中身はパパだ。
彼女のおっぱいを無理矢理揉んだら、パパとオレ、いわゆる親子の絆にヒビが入らないか?
いや、取り返しのつかないことになるのではないか?
いろいろおっぱいを揉むための策を弄したが、その努力は水の泡に期したようだ……無念なり。
仕方がない……とりあえず視姦しよう。
これならば文句あるまい。
ダイニングテーブルの正面に座る彼女を見つめる。
サラサラで黒く艶やかなロングヘア。
卵型の顔、凜とした双眸、筋の通った鼻梁、厚くもなく薄くもないちょうどいい口唇。
雪のような白肌、柔らかそうで華奢な肩と腕。
そして、ダイニングテーブル上おもむろに鎮座する、存在感極まった大きくて豊かなおっぱい……。
オレはしばらく彼女をガン見した。
我がアイビームで穴を穿つがごとく。
彼女は顔を斜めに伏せて、オレから視線を外す。
そして、ほんのりほおを淡く染めた。その色はまさに桜色と呼ぶのにふさわしかった。
ヤバ……。
か、かわいい……。
「そんなに見つめないでください。恥ずかしいです」
けっ、敬語!?
ふざけるな……これはもはや反則、ガード不能だ。
もうダメだ……が、がまんできない……。
オレのアタマの中で何かがキレる音がした……。
続いて、使徒がエヴァンゲリオンに襲いかかるBGMが、アタマの中に流れ出す。
気がつくと……彼女に襲いかかっていた。
オレは立ち上がり、テーブル越しから彼女のおっぱいを両手で鷲掴みにした。
彼女は顔を斜めに伏せている。
そのほおが桜色から赤に変遷していく。
さらに表情がトロンとなり、呼吸も荒くなっていく。
とうとう唇をわずかに開き、小さな喘ぎ声を発した。
彼女の両腕は、手首を上にして肘を鋭角に曲げていた。
手を握り、甲側に90度曲げている。
そして、そのまま体を振るわせていた。
ママとアネは全身グレー一色となっていた。
しかもモアイか埴輪のように微動だにしなかった。
『大丈夫か、アツヤ君。攻守交代しようか?』
「そうしてもらえますか。私、頭がおかしくなりそうです」
『承知した。一言唱えよ、フォース・チェンジと』
「はい、では……フォース・チェンジ!」
いきなり使徒に反撃を開始するエヴァンゲリオンのBGMが、アタマの中に流れ出した。
そして、彼女の両手がズズズ……と唸りながら迫り、オレの両手首をガッチリ掴む。
オレの手が麗しのおっぱいから引き離されていく……しかも押し戻せない……力負けしている?あ、ありえん……。
「ユウタ君。今、君がやっている行為は痴漢……いわば犯罪だ。よって捨て置くわけにもいかぬ。覚悟したまえ」
「えっ、敬語じゃない!?なんで?うわあああああーーーーー……」
オレの手は腕ごとあらぬ方向へねじ曲げられ、その刹那、僕の手、腕、及び肩に激痛がほとばしったのであった。
<登場人物>
・岡本結太:男性、15歳、アツヤ/ユキナの息子、中学3年生
・岡本淳也:主人公、男性、52歳、妻子あり、IT企業に勤めるサラリーマン、人格は変わらないが、外観はレイカになっている
・桐生麗華:女性、25歳、独身、ニューロ・コンピュータ・サイエンスなどなどの権威、故人、自律型AIに生前の人格をコピーし、DCのサーバに潜伏する。アツヤとは脳内チップを経由して会話する。古武術の使い手でもある
・岡本幸菜:女性、58歳、アツヤの妻、主婦
・岡本遙:女性、19歳、アツヤ/ユキナの娘、大学1年生
・2020.9.17.Thu 後書きを修正しました。