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53話 社会のレールを踏み外すというリスク

 我、断言する!

 日本の社会は一度でもそのレールを踏み外した人の再起が、とても困難で歪んだものである、と。

 このコロナ禍の昨今、いくつもの会社が潰れた……そして、いくつもの人が路頭に迷った……彼らは再起できるのであろうか??


 人は言う……愛さえあれば、夢さえあれば、希望さえあれば、目標さえあれば生きていける、と。

 それは、本当だろうか……??

 愛、夢、希望、目標さえあれば、それらを懸命に追いかけてさえすれば、本当に日々のパンにも困らず生きていけるのだろうか??

 否……そんなに日本の社会はあまくない。

 愛、夢、希望、目標を持って生きていける人は、日々の生活に困らないベースを持つ人……つまり定期的に安定した収入があり、かつ健康である人だけだろう。


 我がIT企業は社員への給料をケチることで、有り余る膨大な内部留保資金を得た……そして、それを基に万全の会社運営を継続している。

 むしろこのコロナ禍のおかげでオンライン会議システムなどの需要が高まり続け、増収増益にもなっている。

 このIT企業に勤め続けること四半世紀……まさかこれほどまでに、テレワークの実践配備を含め、感染症に強い会社であるとは夢にも思わなかった……結果、オーライである。


 さて、こんなことをなぜ語ったかと言うと……ズバリ息子の結太(ユウタ)である。

 彼にも、ぼくのようにレールを踏み外さす、まっとうな人生を送ってもらいたいのだ。

 これは親の切なる願いでもある……エゴかもしれないが。


『この親の気持ちというのは今一わからん』

「とりあえず血を分けた娘・息子には、自立した大人になってほしい……です」


 話は変わるが、ぼくには弟が二人いる……年子と3歳年下の。

 彼らは片やひきこもり、片やフリーターとして実家で母親と暮らしている。

 彼らは、毎月の国民健康保険料が支払えない……仕方なく母親が払っている……これは、親としては恐怖ではあるまいか??……そう、我が息子にはこうなってほしくないのだ。


 だからなのだ……ちょっとでもいい高校に行ってほしいのだ、ユウタには。

 そして公務員や大企業の正社員となって、安定した生活基盤を手に入れる……愛、夢、希望、目標はこの後にゆっくり手に入れていってほしい……。

 だから……ダラダラ生活している息子が心配で、仕方ないのである。


 一応、レイカさんとなったぼくは、今でも会社へ通い続けている。

 LGBTに寛容で、ダイバーシティを推進している最先端の会社文化で助かったと言える。

 これが中小企業だったら、社長に直接クビと言われ、アウトだったかもしれない。


 ……。

 何のために勉強するのか?……誰もが一度は考える究極の疑問である。

 

 ぼくはこう思う……マネタイズのためである、と。

 これから自分の生きる道を見つけ、それに伴った社会的な評価を受ける……評価がプラスであれば、金銭が得られ自立もできるという仕組みだ。


 これができないと、我が年子の弟のように、一生母親に養ってもらうハメに陥る。

 彼はそれがハジだとは思っていない……ひきこもりの弟は語る。

 インターネットを使って正しい情報を入手し悪を裁く(実際は自称ネット・ジャーナリストとか言う、なんちゃら氏とかってワケわからんヤツが、不正だとか陰謀だとか騒いでいることを鵜呑みにしているだけ……)らしい……。

 一見やっていることは正義の味方風でかっこいい……だが、残念ながらマネタイズできていない……つまり社会的評価が得られず、収入に結びついていないのだ。

 結果、頭が狂っているとしか言いようがない……なぜなら、彼とはまともな会話ができないから……ひきこもりファーストな彼のポリシーはまったく揺るぎなく、崩せるとは思えない……このままであれば母親が他界と同時に餓死するしかないだろう。


 話が脱線した……。

 その、つまり……だから、今は勉強するのだ、ユウタ。

 そして、これからどう生きるか、それを決めつつ自立するようにしていく。

 そうすれば一人暮らしも実践できるようになり、親と顔を合わせずに済むようになるので、日々勉強しろと言われることもなくなるだろう。


 すべては自立のため、そして自分の力で金銭を得て生きていくため……。

 そのための第一歩が、高校受験なのだ……ちょっとでもいい高校に行くために、今、勉強する。


 偏差値の低い高校は学級……いや、ヘタしたら学校レベルで、半グレ生徒や無気力な先生によって崩壊しているらしい。


 だから……少しでも頭のよい高校へ進学して、そこから社会のレールにガッチリ乗るように、軌道に乗せていく……そう、勉強がイヤでやさぐれているヒマなどない……日々、勉強あるのみなのだ。


『こんなに君が一生懸命語っていても、ユウタには届かないんだろうな……』

「でしょうね……彼ではなく、これを読んだ他の受験生に届いちゃうと、ユウタが不利になるんですよね……」


『そうだな……』

「そうですね……」


『「はぁ~……」』

<登場人物>

岡本淳也オカモトアツヤ:主人公、男性、52歳、妻子あり、IT企業に勤めるサラリーマンかつ公認LGBT社員、人格は変わらないが、外観はレイカになっている

桐生麗華キリュウレイカ:女性、25歳、独身、ニューロ・コンピュータ・サイエンスなどなどの権威、故人、自律型AIに生前の人格をコピーし、DCのサーバに潜伏する。アツヤとは脳内チップを経由して会話する。古武術の使い手でもある

岡本結太オカモトユウタ:男性、15歳、アツヤ/ユキナの息子、中学3年生

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