49話 嫌われる勇気……がほしい
「あの……ぼく、帰るから……お先に……」
「「「「ダメ……」」」」
帰れない……そりゃ、そうか……ぼくが抜けたら何の集まりかわからなくなるもんな。
それでもそろそろ珈琲店に迷惑だろう……追加オーダせず長時間居座っちゃってるし。
あとタクミもユカもどこに住んでいるか分からない……ちゃんと帰れるんだよね、彼らは……??
とりあえず状況を整理しよう。
まず、ユカがぼくに告白して、付き合ってほしい、と言ったのだ。
そこへタクミ、リン、レイが現れ、物言いが始まった。
つまり、このユカの告白がなんだったのか、納得のいく説明があれば、本会の解散も見えてくる……。
よし……。
「みんな、よく聞くんだ。ユカはぼくに告白したが、彼女は心細かった……要はぼくに支えてほしかった……だから、そんな大げさなことではないんだ」
「つまり、本意ではない、と……そうなんですね、横山さん」
タクミがリムレスのメガネを光らせて、隣に座るユカに問う。
ユカはあいかわらず両手を包むようにして握り、胸に寄せている。俯き加減で、タクミに視線を弱く向けて小さく声を発した。
「は……はい」
やった……終了-。
よく言った、ユカっち……今度会った時には、いい子いい子してあげよう。
直後、かぶりを振りながら、もう一度ユカが話す。
「……ですが、私、アツヤさんが好きなんです……だから、手に入れたいんです」
うおおおおおーーーーーい、やめろおおおおおーーーーー……。
「横山さん、ぼくだって同じ気持ちです……この想い、決してあなたに負けていない」
や、やめて……頼むから……タクミ君……。
「アツ姉は、ぼくのことが好きなんだよ」
「アツヤとは一緒にお風呂に入ったの……」
み、みんな……ホントにやめて……なんか暴露大会になっているよ……。
ど、どうしよう……。
ここは……そうだ……嫌われればいいんだ!
もう嘘だろうが、なんだろうが嫌われちゃえばいいんだよ!!
そうすれば、解散だよ……この会も……。
よし……。(本日2回目)
「ぼくは明日も仕事で朝早くから出勤しなくてはならない……よって、お暇する……なお、ぼくと話をしたいのであればアポイントを取ってくれたまえ……さらばだ、諸君!」
支払伝票を手に持ち、颯爽と席を後に……しようとした。
刹那、リンに右手首を握られ拘束されてしまう……また、左からレンが身体ごととおせんぼした。
あああああ……。
この期に及んで、リン、レン、我を含め3人で密着状態に……お、お胸が……圧迫され、所狭しと押し合う。
……。
もうこうなったら……。
「フォース・チェンジ!」
<登場人物>
・岡本淳也:主人公、男性、52歳、妻子あり、IT企業に勤めるサラリーマンかつ公認LGBT社員、人格は変わらないが、外観はレイカになっている
・桐生麗華:女性、25歳、独身、ニューロ・コンピュータ・サイエンスなどなどの権威、故人、自律型AIに生前の人格をコピーし、DCのサーバに潜伏する。アツヤとは脳内チップを経由して会話する。古武術の使い手でもある
・橘拓海:男性、21歳、独身、大学3年生、イケメン
・鈴原倫:女性、19歳、独身、大学1年生、レンの双子の姉
・鈴原憐:女性、19歳、独身、リンの双子の妹
・横山由佳:女性、28歳、独身?、アツヤとは違うIT企業に勤めるサラリーマン、過去に男アツヤと一緒に仕事をした仲である




