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42話 二人っきりは続く……。

『だから、言っただろ……君はもう……その……私が言うのもなんだが……誰がどう見ても容姿端麗かつ仕事できる風な女性なんだよ』


 レイカさんの言葉が頭の中でリフレインする……。

 そう、ぼくはメタ認知を駆使して、認識を改めなければならない……今やぼくは容姿端麗で、仕事できる風な女性なのだ。

 中身はおっさんだが、おっさんのように全裸で家の中を歩くとか……断じて実行してはいけない。

 当然、一糸まとわぬ生まれたままの姿で、冷蔵庫を開け、缶ビールを取り出し、プシュっと開け、ゴクゴクゴク……ぷはぁー……げっぷ……などは言語道断である……そもそも自宅に缶ビールは置いてないけど。


 ……。

 レイカさんの言葉を受け、いろいろ考え事をしていたところ、ふと現実に戻る。

 ぼくはレンさんをハグしたままだった……。


 彼女抱き合ってどれくらい経ったのだろう……。


 ぼくは人肌に飢えていた……というか、現代人は皆、人肌に飢えているのではないだろうか……。

 コロナ禍だからか??……それもあるかもしれない。


 お風呂に一緒に入っていた二人……その二人が、肩・腰が触れ合う距離でソファに座る。

 この状況でぼくは感極まり、思わずレンさんをハグしてしまったのだ……。


 内巻きなショートヘア、薄くスクエアな赤いメガネ、さらに沈黙という協力な武器を持つ彼女……。

 ほっとけって方が無理……っす……。


 ……。

 そう、この()、レンさん……。

 とても変わっっている……得意技は沈黙だ……言葉足らずで何を考えているかわからない、という不気……もといミステリアスでとても素敵な女の子である。

 なんでもズケズ……いや明朗に話す双子の姉のリンさんとは対極である……本当に双子か?と疑ってしまうがそれは間違いない……なぜならボディのボリューム感がまったく同じだったからだ。


 くぅーーー……と、子犬か子猫が発したような音が聞こえた。

 その音源は、どうやらレンさんのお腹のようである。

 背中に回していた両手を、彼女の肩に軽く乗せ、顔を見る。


 あいかわらず頬が赤かった……眼が合った瞬間、彼女は顔を背けた……。


「お腹空いたの?」

「……」


 今回のこの沈黙を『Yes!』と解釈する。

 そういえばぼくの夜ご飯であるコッペパンがある……とりあえずそれを食べることにした。


 ソファの脇に置いてあるデイパックを取る……袋パンを取り出し、開け、真ん中から半分こにした……それを彼女に手渡した。


「半分食べてくれる?」

「……うん」


 彼女がコッペパン半分を受け取った後、ぼくは自分の分を口に頬張り、ゆっくり咀嚼した。

 うーん、マヨネーズとたまご、美味しいではないか……。

 レンさんの方を見る……両手でパンを持ち、少しずつ食べてている。

 とりあえずこれで空腹とおさらばできるであろう。


 ひととおりパンを食べ終え……また手持ち無沙汰に陥る二人……。

 手が少しべとべとするので、ソファから立ち、洗面所に手を洗いに行こうとした……。

 まさにその時、ガウンの帯がほどけてしまい、お腹と下半身が丸見えになってしまう……。


 手がべとべとだったこともあり、ぼくはそのままの格好で脱衣所に向かおうとしたところ、レンさんに声をかけられる。


「どこに行くの?」

「あ……洗面所……手洗いたいので」

「……私も行くの」

「あ……では、一緒に行きましょう」


 ガウンがルーズ全開で、はだけたまま洗面所に行き手を洗う……レンさんもぼくに続き手を洗った。

 手を拭き終わったタオルを元に戻した次の瞬間……いきなりガウンを脱がされた……当然、全裸になってしまっている……。


「レ……レンさん、今度は何?」

「……」


 今度はどう解釈していいのやら……。

 とりあえずもうガウンは着なくてよい、と判断し、ちょうど(かご)においてあったぼくの下着を着てみる。

 チラっとレンさんの反応を見る……ガウンをランドリーボックスに入れていた……今、行っている行動は彼女の意思と相違ないと確信する。

 続いて家から持ってきたグレーのスウェットを着た。


 リビングに戻り、先ほどの定位置であるソファに腰をかける。


 ……。

 いまさらながら、双子の姉であるリンさんの動向が気になる……。

 意を決して、デイパックからスマホを取りだし、彼女に連絡することにした。


『その必要はない……今、玄関にいるようだ』

「……そうですか……」


「ただいまー……アツ(ネェ)、おまたせー……」


 聞き覚えのある明るい声が聞けて、とりあえずほっとした……のも束の間、事態は起こった。

<登場人物>

岡本淳也オカモトアツヤ:主人公、男性、52歳、妻子あり、IT企業に勤めるサラリーマンかつ公認LGBT社員、人格は変わらないが、外観はレイカになっている

桐生麗華キリュウレイカ:女性、25歳、独身、ニューロ・コンピュータ・サイエンスなどなどの権威、故人、自律型AIに生前の人格をコピーし、DCのサーバに潜伏する。アツヤとは脳内チップを経由して会話する。古武術の使い手でもある

鈴原倫スズハラリン:女性、19歳、独身、大学1年生、レンの双子の姉

鈴原憐スズハラレン:女性、19歳、独身、リンの双子の妹

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