21話 ぼくはアツ姉を殺る!
「よっこらせっと」
まるでおっさんのようなかけ声を小さく発し、アツ姉はぼくのとなりに身を寄せてきた。
さらにジリジリと幅寄せしてくる……衣服越しとはいえ、肌と肌が触れ合ってしまっている
こ、これは俗に言う添い寝だ……。
ぼくのリラックス・モードは数分たたずしてドキドキ・モードに移行してしまった。
狭いシングル・ベッドの上、ぼくとアツ姉が並んでいる。
ぼくは完全に壁際に追いやられた。
もはや逃げることは不可能な位置だ。
これはもう一触即発の、とてもヤバい状態である。
いつどちらかが抱きついてきてもおかしくない……まっ、十中八九ぼくから抱きつくけど。
さて、こっちから仕掛けるか……。
先手必勝って言うし……。
ぼくが先に抱きしめるべく、彼女に目を向けた。
アツ姉は、ぼくと同じ目線で仰向けになっていた。
しめしめ抱きついてやるか、と動こうとした瞬間、彼女は体を正面にぼくの方へ向けた。
びっくりして、心臓が口から飛び出しそうになる……心拍数が急速上昇……ただ、正面向いて、見られただけなのに……。
彼女の上半身がぼくの肩あたりに圧力をかけてくる……この感じは確実に母性豊かなたわわな果実であるアレだ。
アツ姉からもたらされた温もりを堪能していたら、彼女の眼がぼくの唇あたりを捕捉していることに気づいた。
えっ!?
このままチューされちゃう??
ぼくがアツ姉に殺られちゃうの……??
彼女の右手がスーっと伸びてきて、ぼくの左ほおに優しく触れる。
ぼくはたまらず、ビクんとちょっと仰け反ってしまった……。
やめ……て……ア、アツ姉……それ以上触れられたら、ぼくは……ぼくは……。
さらに喉から胸元まで、なぞるように指先でタッチされまくる。
ぼくはここに至って呼吸困難に陥る……く、苦しい……格闘家風にやられたのとは違う……アツ姉にソフトタッチされまくって、それで……も、もう……や……め……。
彼女が小さな声でささやいた。
「リンちゃん、喉もと、痛くない?」
「えっ……」
アツ姉、ぼくを殺るんじゃなかったの?
何、その言葉!?……なんで痴漢のぼくに……そんなに……そんなに、優しくしてくれの??……やだ……な、涙が出そう……。
ぼくは自己嫌悪に陥っていた。
アツ姉に抱きつくには最高のシチュエーションだった……。
でも、ぼくは彼女に触れるのをためらってしまった……なぜ??……電車の中ではやりたい放題だったのに……。
ぼくは彼女の優しさと温もりに包まれながら、いつしか眠ってしまっていた。
<登場人物>
・岡本淳也:主人公、男性、52歳、妻子あり、IT企業に勤めるサラリーマンかつ公認LGBT社員、人格は変わらないが、外観はレイカになっている
・鈴原倫:女性、19歳、独身、大学1年生、ロリ巨乳、アツヤの家に泊まることになった




