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19話 レイカ、ストライクスバック!

「君たちのやっていることは犯罪だ。もはや看過できない。武力を用いて鎮圧する」

「このババア、何エラそうに……」


 ババアと呼ばれ、彼女(オリジン)の自律型AIである(レプリ)でもブチ切れた。

 ふだん滅多に使わないモードである Boost を設定する。

 この Boost モードは身体の動作が2倍の速度で動かせるメリットに対し、心臓の心拍数及び筋肉の負荷も2倍になってしまうデメリットがある。今回はどれだけ実践に使えるかの検証も兼ね、ヤツらを瞬殺することにした。このモードは数十秒が限界であるはず……。


 まず、バックを取られているホスト風1号からだ。

 こいつにはババア呼ばわりされているので、恨み追加で念入りに()る。

 彼の脇腹に肘鉄(ひじてつ)一閃(いっせん)

 よろけたところを今度は彼の背中にもう一発肘鉄(ひじてつ)をかます。

 そして無防備となった彼の左手人差し指を右手で握り、手の甲側に限界を超えて曲げ抜く……第三関節の脱臼(だっきゅう)を確認。

 このダメージにより、ホスト風1号は激痛を伴いしばらく動けないだろう。


 続いて、鈴原倫(スズハラリン)(のど)を絞め上げている格闘家風だ。

 ダッシュし、そのままの勢いで後ろから、彼の左尻と腿の付け根におもいっきり(ひざ)を打ち突ける。

 彼女を放しつつよろけたところ、速攻ホスト風1号と同様に左手人差し指を(ほふ)った。

 これで、格闘家風も激痛地獄に(さいな)まれるだろう。


 2人の男を料理した後、ゆっくり落ちてくるリンをキャッチ、そのまま抱きかかえる……俗に言うお姫様だっこだ。

 彼女の呼吸、心拍数を確認。意識は朦朧(もうろう)としているみたいだが大丈夫そうだ。彼女のポシェットも肩掛けのままぶら下がっている……よし、忘れ物なし……男3人が路上でのたうち回っているのを視認し、自宅に向けてダッシュした。

 このタイミングで、アツヤ君に身体の制御を戻す。

「フォース・リロード!」


『アツヤ君、リンの意識を確認してくれ』

「わかりました」


「リンさん、大丈夫ですか?ぼくの声が聞こえます?」

「……うーん、あ、アツ(ネェ)……あれっ!?ぼく……」


『意識が戻ったな。これでひと安心だ』

「そうですね……レイカさん、今回もカタをつけてくれて、なんとお礼を言ったら……」

『気にすることはない。困った時はお互いさまだ。まずは家に帰ろう』

「はい」


 ……。

 フォース・チェンジとは、ぼくの意識が落ち、すべての身体機能をレイカさんが扱うモードだ。1分という時間制約がある。

 詳細については9話を参照されたし。


 ……。

 ホテル街から大きな道路を隔てて、住宅街に入った。

 ここまでくれば、もう大丈夫だろう。


「リンさん、歩けるかな?そろそろ降りてくれると助かる」

「……はい」


 さきほどの元気は微塵もなく、ぼくの首に回していた腕をほどきズルズルと降りた。

 (のど)もとをさすりながら、ひどく落ち込んだ顔をしている。

 柔道の並十字絞(なみじゅうじじめ)ならぬプロレス技のネック・ハンギング・ツリーをやられたんだから、とてもショックだったのだろう。


 それにしても、あんな見ず知らずの男たちに、声をかけられ拉致されそうになるとは。

 これまた元のおっさんのままだったら、絶対見向きもされなかっただろう。

 ましてやリンさんが一緒に居たから、そりゃもう目立つのなんのって……。

 綺麗だったりかわいかったりする女子って、夜に町中歩くだけでも命がけなんだな……と改めて今後の身の振り方を考えたりする。


 ずっと無言だったリンさんがぼくに話しかける。


「あのデカいヤツ、かなりヤバかったよ。アツ(ネェ)、よくやっつけられたね?」


 あれっ!?……リンさん、レイカさんの電光石火(でんこうせっか)の古武術、見てなかったのか……ぼくも見てない、というか見れないけど。

 とりあえず最もらしいこと言ってお茶を(にご)した。


「男の急所を蹴り上げて、彼らがのたうち回っているスキに逃げたんだ」

「そうだったんだ。アツ(ネェ)のクセにやるなぁー」


 アツ(ネェ)のクセにって……。

 青いネコ型ロボットが出てくるマンガの、某なんとかアンみたいな言い方だよ、それ……。


「ところで、ここどこ?」

「ぼくの自宅だよ」

「えっ!?アツ(ネェ)の……お邪魔してもいいの?」

「いいけど……うまく話を合わせてくれるかな?」

「話って、なーに?」

「リンさんとぼくの間柄だよ」


 やっと自宅に着いた。

 玄関を開けて、彼女を伴い、そのままリビングに行く。

「紹介する。ぼくの会社のインターン生で、鈴原倫スズハラリンさんだ。諸事情により家に泊まる。よろしく頼む」

<登場人物>

岡本淳也オカモトアツヤ:主人公、男性、52歳、妻子あり、IT企業に勤めるサラリーマンかつ公認LGBT社員、人格は変わらないが、外観はレイカになっている

桐生麗華キリュウレイカ:女性、25歳、独身、ニューロ・コンピュータ・サイエンスなどなどの権威、故人、自律型AIに生前の人格をコピーし、DCのサーバに潜伏する。アツヤとは脳内チップを経由して会話する。古武術の使い手でもある。ホスト風な男2人と格闘家風な男に絡まれたが、撃退する

鈴原倫スズハラリン:女性、19歳、独身、大学1年生、ロリ巨乳、ホスト風な男2人と格闘家風な男に絡まれたが、撃退する


・2020.9.28.Mon サブタイトルを修正しました。

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