18話 ぼくの戦い
ぼくはどうしてもアツ姉と別れるのがイヤだった……理由は……愛でしょ、愛!
そこでタクと帰るフリをして、途中、彼を巻いてから戻ってきたのだ
案の定、アツ姉はぼくを待っていてくれた……ぼくの最愛の女性……ぽっ。
彼女はぼくを見て、一瞬びっくりしたみたいだったが、気を取り直したようにスタスタ歩き出した。
ぼくに右手を握られたまま……なんか、無視されているみたい……怒ってるのかな??
気がついたら、ホテル街の脇道を歩いていた。
10mほど離れた路上に、男3人がたばこを吸っている。
2人はホスト風、1人は体格のいい格闘家風だった。
彼らはぼくらを見つけると、たばこを投げ捨て、足早に近づいてきた。
「アツ姉、恐いお兄さんが3人、こっちに来るよ」
「リンさん、ぼくから離れないで」
その声を聞いたぼくは、顔から火が出そうになった。
しかも彼女の右手が、ぼくの左手を強く握り直したのだ。
どうしよう……からだが熱くなっていく……心臓の鼓動も早まって……なんかもうヤバいよ。
ちょっと、待って……ぼくをどこに連れて行こうとしてるの?
まさか、ホテルじゃ……。
……。
足早に歩いていたぼくらだったが、男たちの方が早かった。
前に彼らが立ち塞がる。
「ちょっと、お姉さんと妹さん。2人で仲良くしてないで、オレらと遊ぼうゼ。いい店知ってるんだけどなー」
「君たちとは遊ばない。ぼくらは急いでいるんだ。そこをどいてくれないか」
ホスト風の男1号の問いに、アツ姉が毅然な態度で応じる。
どひーーーーー……、アツ姉、カッコ良すぎでしょ……。
「そんなつれないこと言わず、付き合ってよ。妹さんはいいよね?」
今度はホスト風の男2号がいきなりぼくの左手首を握って、連れていこうとする。
ホスト風1号と格闘家風の2人は、アツ姉を囲い込んで、肩とか肘とかに触れ、同じく連れていこうとしてる……それ以上、アツ姉にさわったら、ただじゃおかねぇ……。
ぼくは、まずこのホスト風2号を始末することにした。
握られた左手を捻ってほどき、彼の右肘の服を掴む。
と、同時にぼくの右手で、彼の左胸あたりの服も掴む。
続いて左手を下に引き、右手は左横に押し込み、彼の上半身の体勢を崩した。
ぼくの左足の裏をおもいっきり外側から、サッカーでいうところのインサイド・キックの要領で、彼の右足くるぶしあたりを強く打ちつける。
技をかけた瞬間、彼の体が斜めとなって中に浮き、続いて左腰、左肩の順で地面に落ちた。
彼の頭が地面にあたらないよう、ぼくは左手を引き上げる。
出足払1本!
柔道の試合だったら審判はこう言うよ……間違いなく。
アツ姉は目と口をポカンと開けて驚いていた……とても心地よい反応だよ、うん。
あはははは……ぼくは柔道初段のブラックベルト・ホルダーなのだよ……尊敬してくれてよいぞ、アツ姉。
……。
ちょっと待て……いつの間にか彼女がスゴいことになってるじゃん。
ホスト風1号に後ろからピッタリくっつかれ、両手首を握られている。
背中にビジネス・デイパックがあるにもかかわらず、おもいっきり張り出した股間を彼女のヒップにくっつけ、スウィングを繰り返す。
さらには後ろから耳のあたりをチロチロ舐めて……。
アツ姉は顔を伏せ、ほおがほんのり赤く染まっていく……身体も小刻みに震えていた。
ぼくのアツ姉にナニしてくれてんだよっ!このホスト風1号がぁー……。
ぼくの柔道技を見た格闘家風はこっちに近づいてきた。
ヒューっと口笛を吹いて話しかける。
「ほぅ柔道か……オレは黒帯三段だ……相手になってやるよ」
「エイジ、そのロリ巨乳をやっちゃってくれ」
路上で横になっているホスト風2号は、体中痛くて動けないらしい……口は動くようだけど。
ロリ巨乳って……それ、ぼくを褒めているの?……。
格闘家風に視線を戻す……ブラックベルト・ホルダーか……厄介だな。
ガッチリ、ポジション組まれたら、簡単に投げ技に持って行かれそうだ。
格闘家風がダッシュする。
ぼくもヤツの思い通りの組み手をされないよう、両腕を使って防御する。
しかし、彼は予想だにしない行動に出た。
いきなりぼくの胸元を、両手をクロスした状態で掴んできたのだ
スタンディングでの並十字絞……しかも、完全に吊り上げられて、足が地面から離れてしまっている……く、苦しい……。
バカヤロー、絞め技はグラウンドでって習ってないのかよー……とツッコミを入れたが、正式な柔道の試合でなかったことを思い出す。
彼の両手首を掴んで、必死に逃れようとするがびくともしない。
ヤバい……そろそろ、意識が……あ、アツ姉、ごめん……。
意識が遠ざかりそうになったその瞬間、彼女の小さなつぶやきが耳に入ってきた。
「フォース・チェンジ!」
<登場人物>
・岡本淳也:主人公、男性、52歳、妻子あり、IT企業に勤めるサラリーマンかつ公認LGBT社員、人格は変わらないが、外観はレイカになっている。ホスト風な男2人と格闘家風な男に絡まれた
・橘拓海:男性、21歳、独身、大学3年生、イケメン
・鈴原倫:女性、19歳、独身、大学1年生、ロリ巨乳、ホスト風な男2人と格闘家風な男に絡まれた




