転生は嫌だから転移でお願いします!
チョー久しぶりの投稿です。連載ですけど気長に待ってくださいね♪
ブラりと立ち寄った近くの本屋━━。
目に付くのは「転生」の文字をタイトルに付けた沢山の小説達だった。
ズラリと並ぶそれらを目の前にして個人的にだが思うのはいつも同じで、今の世の中おそらく多くの人が今の人生に不満を抱いているんだろう、という事。仕事に追われ自分の時間を持てず休みになれば家族サービスで休みにならない。日曜日テレビで家族の団欒を見れば次の週が始まる。月曜日会議、火曜日も会議、水曜日は気分を変えてミーティング、木曜日は部下と一緒に打ち合わせ、金曜日ようやく落ち着いて仕事が出来るかと思いきや取り引き先と定例会議。会議会議で時間が削られ、ついでに上司から仕事を振られ、言う事をまともに聞いてくれない部下を連れて振られた仕事をこなしていく。一つ問題が解決する前に二つ問題が増え、仕事は雪だるま式に増えていく。オマケに残業も増えていく。
働き方改革? 何それ美味しいの?
頑張れ日本の中間管理職! 明るい未来はまだ先だ!
途中からほぼ自分の話になったことは置いといて、一つため息と一緒に俺は自分にエールを送った。
ついでにここらで自己紹介をしておこう。
俺の名前は江田昊太郎。名前に使われている漢字は中々見ないかもしれないが、これでコウタロウと読む。年齢は34で二個下の妻と小学六年と四年の娘がおります。ついでに猫が三匹。黒と白と白。仕事は中小企業のザ・中間管理職。普段がどんな感じなのかはさっきの愚痴をご参照ください。
さて、そんなこんなで俺は久しぶりに出来た一人の時間を有意義に過ごそうと本屋に足を運び、結果小説のタイトルから思いを馳せすぎて現実を叩きつけられ帰路に着いた所である。
何か胸にもやっとしたモノを抱えながら歩いていると妻から電話が入った。
「もしもし? どした?」
━━ごめん、帰りにトイレットペーパーと・・・・・・
お使いの電話だった。まぁそんなもんだと思いながら方向転換してドラッグストアに向かう途中の交差点、とうとうこんなオッサンに転機がやって来るのだった。
耳をつんざく様なタイヤの音。誰かの叫び声と悲鳴。何事かと振り向いた時、その全てが自分に向けられたものだと理解した。猛スピードで迫り来る大型トラック。理解はしても体が反応出来るわけもなく、次の瞬間視界は途切れたのだった。