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未踏のダンジョン (2)

照明トーチ!』


 朱が照明呪文を出現させると、薄暗い廊下が昼間並の明るさになった。

 ダンジョン内部は石造りの廊下が続いている。

 古代遺跡の探検ようで、ちょっとだけテンションが上がる。


 フォーメーションは俺が前衛。

 入口職員から購入したマップを確認しながら進んでいくと、フロアの半分ほど進んだ先にモンスターを発見した。

 鎧を剣で武装した豚型のモンスター、豚人間ピッグマンのようだった。


「よし、俺が切り込むから朱は支援を……」

『ブレイジングショット!』


 後ろから飛んできた火球が命中し、豚人間ピッグマンが瞬く間に燃えていった。


「どわぁ! 何すんだよ!」

「何よ。ユーリが近づくより火球を撃ち込んだ方が早いじゃない」

「そりゃそうだが……」


 低階層のモンスターは流石に弱いモンスターが多いようで、大抵が魔術一発で蒸発してしまっていた。

 朱の魔術を見るのは良い機会でもあるので、術の特徴を間近で観察する事にした。


 サクサクとモンスターを倒して進む俺達は、特に障害もなく地下10Fへと到達した。

 回復と帰還が出来るセーフルームがあり、その先には大きな扉が存在した。

 ここがボス部屋で間違いないだろう。

 大した消耗はしていないので、ひと休憩した後にボス部屋に挑むことにした。


 大きな音を立てて扉が開いた先には、闘技場もかくやという程の広さの空間が広がっていた。

 そこに鎮座するのはとぐろを巻いた巨大な何か。

 目を凝らして見ると、その姿は赤黒い色をした多足昆虫……巨大ムカデだった。


「こりゃ大物が出てきたもんだ。朱、気合入れていくぞ! ……朱?」


 反応が無いので振り返ると、朱はフリーズしたように固まっていた。

 声をかけようとした時、巨大ムカデは俺達侵入者を排除すべく巨体を揺らしてこちらへと駆け寄ってきた。


「きゃああああ、動いてる動いてる! 気持ちワルイぃぃ!!」


 朱は涙目でボス部屋を逃げ回る。

 あいつ虫が苦手だったのか。完全にパニクってやがる。


「朱、落ち着け! 俺がヤツの動きを抑えるから魔術を……」

「ひあぁぁ、ヤダヤダ! あんなの見たくない!」

「そんな事言ってる場合じゃないだろが!」


 大ムカデは戦意喪失した朱に狙いを定めてカシャカシャと前進してきた。


『フルムーンサイズ!』


 満月を描くような回転斬りを大ムカデに放つと、ガキンと硬い甲羅に弾かれた。

 思っている以上に硬い! 

 ……って、このままじゃ朱がマズイ!


雷迅脚ライトニングステップ!』『突進とっしん!』


 即座に反転して朱に向けて急加速する。

 呆然としている朱を脇に抱きかかえ、壁にぶつかる直前に角度を変えて突進する。

 間一髪、壁との衝突は避けて地面に転がる。

 大ムカデは勢いのまま壁へと突っ込んでいた。


「おい朱。何ぼさっとしてるんだ、危ないだろ!」

「無理無理無理! あんな肌がぞわっとするヤツ、生理的に無理!」

「あのなぁ。そんな事言ってる場合か。この程度のモンスターも倒せないようじゃこの先勝てないぞ」

「そんな事言ったって、あんなキショい奴まともに見れないんだもん!」

「分かった分かった。凝視しなくていいから。その代わり俺の指示した所に攻撃してくれ」

「でも……」

「俺達はタッグだろ? お前の力が必要なんだ。頼むよ」

「……わかった。やってみる」


 俺は大ムカデの方に振り返る。

 ガラガラという音を出して大ムカデは動き出し、赤い目を光らせてこちらに突進を再開してきた。


「じゃあ作戦だ! 俺がヤツとぶつかるから、その間にフレイムスパイクでヤツの動きを封じてくれ!」

「いくぜっ」『流渦槍りゅうかそう!』

「もーっ、見たくないのにっ!」『フレイムスパイク!』


 流れる渦のような刺突技が大ムカデの甲羅にぶつかる。

 はやり甲羅の表面は固く弾かれてしまう。

 俺は何度も攻撃スキル使い大ムカデの勢いを削ぐことに専念した。

 朱は無数の炎柱を出して、大ムカデの身動きを徐々に封じていった。


「よし来た!」『跳躍ちょうやく!』

「そして……」『血隗技けっかいぎ大崩おおくずし!!』


 大ムカデの頭目掛けて跳躍し、両手持ちからの大振り下ろしをムカデの脳天に叩き込む。

 この叩きつけ技なら、ダメージが通るだろ!

 剣先を見るとビシッという音と共に固い甲羅がひしゃげるのが見えた。


「今だ朱! 俺がいるココに特大の魔術を打ち込め!」

「あーもうっ! こうなったらヤケクソよ!」『スパイラルランス!!』


 朱が魔術を発動させると、螺旋を描いた炎の巨大槍が空中に出現し、杭打ちのように地面に落下した。

 脳天のヒビから槍が貫通し、ムカデの体全身が赤い炎に焼かれていく。

 ムカデは断末魔を叫ぶが、それも聞こえなくなった頃には光の粒子となって消えていき、後に大型の魔石が残った。


「よっし、ボス撃破! やれば出来るじゃないか、朱!」

「な、なんとかね……。虫は二度と御免だけど」

「ダンジョン攻略は始まったばかりだぞ。よし、次のフロアに行こう!」

「いやーーっ! ちょっとは休憩させてーーっ!!」


 こうして俺達の特訓という名のダンジョン攻略が始まった。

 3日間ダンジョン攻略の成果は40階踏破。

 特訓のかいあって、俺と朱の連携力はかなり向上した。

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