タッグトーナメント(7) ☆
俺はコアブレードを杖代わりとして、何とか立ち上がった。
目の前には角が伸び、目が赤くなった鬼モードのシルシが大槍を構えている。
鎧を壊して胸を貫いたはずなんだが、流れる血は止まっているようだった。
どんだけ鬼の体頑丈なんだよ。
「はあ、はあ……まさか反撃するとはね」
「あの程度で倒れるなんて思われたら心外やわぁ。さあ、続きといこうかの」
そこから俺とシルシの技の打ち合いが始まった。
何度も打ち合いをするが、俺の剣がシルシに当たることはなかった。
……ダメだ、決め手がねえ。このまま闘っていても勝てないぞ……!?
突然シルシが何かを察して大きく後退する。
シルシが居た場所に炎槍が何本も突き刺さっていた。
「何手間取ってるのよ。こっちは片付いたわよ」
「朱か! 助かったぜ!」
朱の顔を見てピンと作戦を思いついた。
あいつがいるなら、この闘いも何とかなるかもしれない。
「朱、俺にブレイジングショットを撃ってくれ!」
「ええ!? 何する気?」
「いいから、早く!」
「わかったわよ……」
朱が打ち込んだ炎弾を魔竜喰らいを使って吸収すると、剣に蓄積された魔力ゲージはちょうど2つ分になった。
よし、これで……!
俺は服のポケットから魔術具を取り出し、コアブレードに差し込む。
「剣式変更、報讐の刃・フラガラッハ!!」
キイイインという音を出して魔力が消費され、コアブレードの刀身が光り輝いていく。
技で上回れないのなら、こいつの性能に賭けるっきゃない!
「行くぞシルシ! 報復せよ、フラガラッハ!!」
「来るがよい、ユーリ!」
剣と槍が激しくぶつかり合う。
よし、フラガラッハのお陰で優勢になってる!
「ぬう、力が増しているじゃと?」
「まだまだぁ、こんなものじゃないぜ! ……朱、ありったけの魔術を俺ごと打ち込め!」
「ええ。ちょ、ちょっと!」
「いいから頼む! 俺を信じろ!」
「あーもう、どうなっても知らないわよ!」
『フレイムカノン!!』
ドンッという音と共に炎の砲弾が打ち込まれ、至近距離で斬り合いをする俺とシルシは爆発に巻き込まれた。
……クッソ熱い! だが、これでいい!
シルシを逃すまいとスキルの連打を叩き込む。
『『流渦槍!』』
『『疾風突き!!』』
『『烈火竜咆!!!』』
シルシからラーニングした技で攻撃すると、相手も同じ技で対抗してきた。
技同士激しくぶつかり合うが、こちらが押し込んでいる!
「ぬうっ!? 妾が、鬼の技で競り負けるじゃと……!?」
「受けたダメージを威力に変換する剣……これがフラガラッハだ! 悪いがシルシ、そろそろ決めさせてもらうぜ!」
「ぬかせぇ!!」
シルシは後退して距離を取り、大槍を縦方向へと大回転させた。
始めて闘った時の、あの技か!
ならばこちらも持てる全てをかけて対抗する!
「鬼の力、舐めるでないわっ!!」
「報復せよ、フラガラッハ!」
『『血華螺旋槍!!』』
剣と槍が真っ向からぶつかり合い、赤い螺旋が空中に複雑な渦を巻く。
螺旋が激突する衝撃のあまり吹き飛ばされそうになるが、ここで踏ん張らなければどう勝つってんだ!
「うぉぉぉ、いけえぇぇぇぇぇ!!!」
激突を続ける螺旋。剣と槍の螺旋で打ち勝ったのは、剣の方だった。
威力に負けた大槍は上空に弾き飛ばされ、シルシの胸板には深々と剣が刺さっていた。
鬼の身体能力がいくら高いとはいえ、もう助からないだろう。
「ごぶっ……。まさか、妾が打ち合いで負けるとは、のう……」
「シルシ、アンタは強い。こんな捨て身の手段でしか勝てなかったんだからな」
「勝利? ……はは、何か勘違いしとるようじゃの」
「姉様ーーっ!!」
呼び声が聞こえたので振り返ると、所々巫女衣装が焼けこげたタユラの姿があった。
わんこ神はいつの間にかいなくなっている。
「げっ、あの子無事じゃない。巨人で押しつぶしたと思ったのに……!」
「タユラは本物の天才じゃぞ。果たしてお主らは、あの子に勝てるかのう? ……ま、妾はちと休ませてもらう、がの……」
そう言ってシルシは崩れ落ち、光の粒子となって消えていった。
美人の女性を殺めてしまったことに心が痛むが、彼女が最後に言っていた事が気になった。
俺達があの子に勝てるかだって? 二対一となったこの状況で?
「よくも、よくも姉様を……! 貴方達、絶対に許せません!!」
涙を流しながら鬼の形相で俺を見るタユラ。
額の角が大きく伸び、目が赤くなる。
タユラは聞き取れない程の高速で何かをつぶやき、何か異質な雰囲気を纏い出した。
徐々に顔に白い紋様が浮かび上がり、目が金色へと変わっていく。
「何アレ! あの子何してるの!?」
「わからん! 何か仕掛けてくるぞ!」
『大神降ろし、天照大神!!』
闘技場が眩いほどの光に包まれる。
そして、少女の内に神が降臨した。




