タッグトーナメント(5) ☆
タユラの詠唱と共に魔法陣が輝き出して巨大な生物が出現した。
その姿は全長5メートルほどの白い毛並みの”犬”だった。
……これが神だって!?
巨大犬が咆哮をすると、ビリビリとした鳴き声が会場に響き渡った。
「我が神! よくぞお越しくださいましたぁ!!」
タユラはふっさふさの毛並みの神に抱きついた。
じゃれてるようにしか見えんのだが。
神……というか巨大わんこも満更じゃなさそうに、わふぅと鳴いていた。
「火雷大神様! どうか私達にお力をお貸しください!」
神はワオンと返事した。コミュニケーション取れてるのかよ。
タユラは神に一言断りを入れて、その背中にライドオンをする。
「……って神に跨っていいのかよ!」
「火雷大神様は寛大なお方なのです。それはそうとユーリと言いましたか。姉様を傷つけた事、許せません。お覚悟なさい!」
白い毛がゆらゆらと揺らめき、神の体から熱風が発せられる。
剣を構えていると、瞬いた瞬間で至近距離まで接近をされた。
思った以上に早ぇぇぇぇ!!
突進を使い右横に緊急回避すると、巨大わんこが大きな口から炎のブレスを吐いてきた。
火吹くとか、そんなのアリ!?
「炎の浄化を受けなさい!」
「クッソ、やられてたまるか! 喰らい尽くせ、魔竜喰らい!」
燃え盛る炎を一刀の元に切り裂くと、タユラの驚く顔が見えた。
あっぶね、やっぱり魔法扱いだったか! これなら吸収できる!
その後も素早い突撃しながら爪による攻撃や炎ブレスを吐いてくる火雷大神。
致命傷を何とか避けつつ防戦していると、風切り音が聞こえて顔を何かがかすめた。
これは……矢!?
「うわっち! 何しやがる!」
「ちっ、外しましたか。次こそは脳天を射抜きます!」
……って、乗ってるタユラも射撃してくるのかよ!
火雷大神が突撃してくる中、タユラは俺に向けてやけに正確な射撃を撃ち込んできた。
『水燕紡矢!』
『矢弾き!』
飛びかかる矢を寸前で見極め、当たる前に剣で切り落とした。
こんな事もあろうかと対射撃スキルを憶えていたのだ!
しかしその瞬間、巨大わんこの炎ブレスを打ち込まれてしまう。
「ぶあっちいいいい!!!」
ゴロゴロと地面を転がって炎を消す俺。
これはまずい! 下は火吹く巨大わんこ、上は脳天狙いの流鏑馬女の同時攻略とか無理だろ!!
「朱ーー!! 助けてくれーーーっ!!」
恥も承知で叫ぶと、浮遊魔術で飛んでいた朱がしぶしぶ俺を拾い上げてくれた。
クレーンで吊られた景品みたくなってるが、窮地を脱したのでよし!
「何やってんのよユーリ!」
「朱! 巨大わんこは俺じゃ無理だ。あいつの相手を頼む!」
「ちょっと、作戦はどうする気?」
「状況が変わったんだよ! お前の巨人なら対抗できる。頼むよ朱!!」
「もー……しょうがないわねえ。じゃああの槍使いに絶対勝ちなさいよね。負けたら承知しないんだから!」
「分かったよ!」
朱が空中で俺を手を離す。
地面に向かって落ちていくと、その先には大槍を構えた鬼モードのシルシが待ち構えていた。
「さあ、以前の闘いの決着をつけようではないか!」
「お望みなら相手してやるよ、シルシ!」
『雉落とし!』
『蒼旋牙!!』
「出番よ巨人! 目の前のわんわんを蹴散らしなさい!」
「邪魔立てするのなら、まずは貴方から撃ち落とします!」
『いでよ黄昏の番人、炎の巨人!』
『火雷大神様、焔神の加護を我が弓にお授けください!』
シルシと俺が空中で火花を散らす中、朱とタユラによる巨人対巨大わんこの巨大決戦の火蓋が切って落とされた。




