タッグトーナメント(4) ☆
決闘場に入ると、ちょうど実況席で俺達の紹介をしている所だった。
「あまりに早い決着に会場もどよめいておりますが……、気を取り直して次のCブロックの出場選手をご紹介しましょう!」
「火炎魔術を自在に操る若き魔術師! 度肝を抜く魔術バトルに目が離せない、紅玉の瞳クラウディア!」
「相手のスキルも何のその。どんな技でも自分の物にしてしまうコピー剣士、百技のユーリ!」
「それに対抗するは――」
「東方よりやって来た大槍使いの女武者! 今日はユーリ選手にリベンジなるか! 鬼姫シルシ!」
「同じく東方よりやって来た符弓術を操る戦巫女! 可憐な姿に隠れファンも多いという、鬼巫女タユラ!」
おい、何か俺の紹介だけひどくないか!?
そう思いながらも定位置に行き、相手チームの2人を見る。
シルシは、戦士ランクで苦しめられた槍使いだ。
もう1人はシルシと同じく角を生やした、髪を後ろに一纏めにした黒髪の少女。
背は俺よりも低く、鮮やかな朱の袴と白い道着を着てて、見た目は可愛らしい。
背中に反りをもった弓……和弓と矢筒が見えた。弓使いか。
「久しいのぉユーリ。お主なら、必ずここまで上がってくると思っとったぞ」
「まさか再戦するとは思わなかったよ」
「つれない事を申すでない。ホレ、以前話した愛妹もおるぞ」
「……姉様? あの男と知り合いなんですか?」
「タユラ、前に話したじゃろう。あやつがユーリ。お主の夫となる男じゃぞ?」
「「え、ええぇぇぇぇぇ!?」」
驚きの声が上がる。朱も一緒になって驚いていた。
「どういう事!? 説明しなさいよユーリっ!」
「俺は悪くないぞ!? シルシが勝手に言ってるだけだって!」
「何じゃユーリ。想い人がおったのかえ? ……ならばそうじゃな、これはどうじゃ? この闘いに負けた方は勝った方の要求をひとつ呑むっちゅうのは」
「ちょっと姉様、本気で結婚させる気じゃ……!」
「お、おい勝手に決めるなよ」
「ほれほれ、もうすぐ始まるぞ? 妾の要求が気に食わないのであれば本気でかかって来るがよい!」
何故か楽しそうなシルシに、こっちを睨んでくる朱。
無情にも決闘開始を告げるゴングが鳴ると。
「ユーリ、この闘い勝つわよ。手ぇ抜いたら絶対許さないからね!」
「わかってるって!!」
うわぁ、朱が本気になってる。
こうなったらもう全力でやるしかないな。
事前に決めた通り、行動を開始した。
「ついにバトルが始まりましたぁーっ!! ユーリ選手が突撃して、シルシ選手が迎え撃ち……激・突! 剣対槍の激しいスキル応報が始まったぁーっ!!」
『一刀繚乱!』『流渦槍!』
『ライオットザンバー!』『疾風突き!』
『ブリーディングシュレッド!』『大車輪!』
……ちいっ、やっぱ強いな!
スキルの打ち合いじゃ押しきれないか。
朱、作戦通りに頼むぞ!
「ここでクラウディア選手動いた! 斬り合いをする両者に近づきながら……火炎魔術をバンバン撃ち込んでいるーっ!! ユーリ選手を巻き込んででもシルシ選手を仕留める作戦か!? タユラ選手、近づくクラウディア選手を止めるつもりです!」
「お主の味方、お主ごと攻撃してくるぞ!」
「これも作戦の内ってね。悪いが速攻で決めさせてもらう! ……朱! 合わせろ!!」
「分かってるわよ、もう!」
炎槍やら炎弾やらを打ち込まれながらも、俺は最大威力の必殺技を放つ。
タッグで勝つための作戦、それは朱と俺との同時必殺技!
『大界・鳴響渦穿!!』
「……炎よ! 渦巻き集い、万物を灼き尽くす灼熱の太陽と化せ!」
『エクスプロードスフィア!』
眼前に出現した大きな火炎球は大渦に呑まれて収縮し、大爆発が起きた。
俺は必殺技を打ち込んだ時点で後ろに跳躍する。
「切り裂け、魔竜喰らい!!」
これこそが魔力を吸収しながら闘う、アブソーブコンボ!!
……なのだが、思ったより威力高くなってるなこの爆発!
爆風で後ろに吹き飛ばされ、地面をゴロゴロと転がった。
「ああーーっと、大・爆・発!! シルシ選手が炎に包まれました! これは流石にノックアウトかー!?」
爆発から発した煙は闘技場の高さ程にもなっていた。
すぐさま体制を整えて辺りを見回すと、笑い声が聞こえてきた。
「……くくく……ははは……はーっはっは!!」
炎の中からシルシが現れる。眼が赤くなり、額の角は長く伸びていた。
……鬼の力を解放して助かっただと? マジかよ!?
「姉様! ご無事でしたか!」
「何、こんなに早く倒れるわけにはいかんでの。タユラ、準備はできてるかえ?」
「勿論です、姉様!」
「ならばタユラ、鬼姉妹の本気を見せつけてやるのじゃ!」
「はい! 雷を司りし大神よ、我ら鬼の一族の願いを聞き、仮初の現世に現れたまえ……」
タユラが詠唱を始めると、地面に大きな魔法陣が描かれていった。
何だこれ! よく見たら8箇所に紙が結われた矢が地面に打ち込まれていて、そこから魔法陣が作られている!!
「大神招来! 火雷大神!!」
タユラの言葉と共に、会場に雷が降り注いだ。




