タッグトーナメント(3) ☆
「タムタムさん、負けてしまったか……」
「完全にバンダナ男の騙し討ちのせいじゃない。味方ごとビームで焼くなんてあり?」
「……あれな。多分フレンドリファイアのダメージ入ってないと思うぞ」
「ええ?」
「あのレゾフって奴、”ガンセット・デスペラード”っていう2対2の対戦ゲームからの転移者だ。あのゲーム味方を撃ってもダメージは入らないから、必殺技を味方巻き込んで打つテクニックがあるんだよ」
「何それ。卑怯すぎじゃない?」
「ま、そういうゲームだからなぁ。アーケードゲーじゃそこそこ有名なんだけど」
「ゲーセンなんて行ったことないわ。あんな所不良が行く所でしょ」
「おいおい、ゲーセンは誰かと一緒に行くと楽しいんだぜ。……そうだ、もし元の世界に戻る事があったら2人で行かないか?」
「ふんだ。私は元の世界に戻るつもりないもん」
Aブロックのタッグバトルの後、しばらく朱と雑談を交えた感想戦をしていた。
タッグバトルを実際に見て感じたのは、動きが流動的すぎるという事だ。
このタッグルール、相手を医務室送りにした方が有利になる点も相まって、誰もが”1人を確実に退場させよう”と考える。
勿論自チームがそうならないようにどの闘技者も立ち回るだろうけど……闘いには闘技者の相性や試合運びで、趨勢が傾く瞬間がある。
多分さっきのバトルみたいに、均衡が崩れると一気に片がついてしまうんだろう。
正直、タッグバトルがこれほど激しいものだとは思ってなかった。
ちょっと考え方を改める必要があるかもしれん。
「考えたんだが……このタッグトーナメント、優勝は厳しいかもしれない」
「ちょっと、なに弱気になってるのよ! 諦めるの早すぎるわよ!」
「待て待て。今の俺達のままならって意味だよ。試合のスケジュールはどうなってたっけ?」
「ユーリも聞いてたでしょ? 今日のうちにA~Dブロックの第1試合目が行われるから、私達の出番はもうすぐよ。第2試合目はその4日後」
……ま、それだけあれば充分か。
師匠との修行も3日間だったしな。
「朱。まずは今日のタッグバトルに勝つぞ。そして次の試合まで修行だ!」
「別にいいけど、今日勝つの前提なのね……。今日はどうするのよ?」
「そりゃ作戦通りだ。今更じたばたしても時間がないしな」
「結局出たとこ勝負じゃない……」
などと話しをしていたら、会場の実況席からやかましい声が聞こえて来た。
「お待たせしました、間もなくBブロックの試合開始です! 出場選手をご紹介しましょう!」
「幻惑を操る謎多き騎士! 彼の闘いはまるでイリュージョン! 幻想騎士ノア!」
「故郷の森の為に闘う弓使い! 彼女はトーナメント優勝を射止めれるか! 精霊射手ルウィミス!」
「それに対抗するは――」
「レイピア使いは超一流! その美貌から女性のファンクラブ会員数ナンバーワンを誇る緋の貴公子マグワイズ!」
「嵐を呼ぶ男が登場だ! グレートアクスで全てを粉砕する青藍の嵐ディバイド!」
決闘場には4人の闘技者がいるのが見えた。
どうやらBブロックの闘いもこれから始まるらしい。
これは見逃せないと決闘場に意識を向けると、大会スタッフから声をかけられた。
Cブロックの闘いに向けて控室に待機して欲しいとの事。
観戦できないのは非常に残念だが、そういう事なら仕方がない。
スタッフに連れられて控室へとやって来ると、大会スタッフがバタバタと慌てた様子であちこち行き来していた。
何かあったのかと思い、女性スタッフに声をかけてみる。
「どうかしましたか?」
「あっユーリ選手! それが、つい先程Bブロックの決着がつきまして……。Cブロックの試合準備を急いで始めている所なんです」
「ええ、もうですか!? ちょっと前に始まったばかりじゃ……」
「私達も驚いていますよ。けど決着がついたのは事実です」
俺たちが移動してる最中に決着したとかマジかよ。
またとんでもない奴が出場してるな。
「では、ユーリ選手とクラウディア選手も出場準備お願いします!」
スタッフに催促され、俺たちはグラウンドへと続く長い廊下を歩いた。
大歓声が客席から聞こえてくる。
そうして俺は、始めてタッグで決闘場へと降り立った。




