タッグトーナメント(1) ☆
「タッグの組み合わせは以上だぁ! ……これで終わり? いやいや。決闘を見ずして帰るだなんてありえない! 早速Aブロックから対・戦だぁ!!」
うおぉぉぉぉぉ!!
うわああぁぁぁぁぁ!!
客席は完全に熱狂状態になっていた。めちゃめちゃ盛り上がってんな。
客席はいつも以上に超満員で、通路にも立ち見客がいるほどだ。
タッグ参加者は特別席から観戦出来ると運営スタッフから聞き、お願いしたら最上階の良い席を案内してくれた。
VIP席のようで、グラウンドがよく見える。
2対2のタッグバトルは、闘技場のグラウンド全てを使って決闘するようだった。
「何とか決闘前に座れたわね」
「どんな試合が繰り広げられるんだろう。しっかり観察しないとな」
「ふーん、あの銀髪の女性をじっくり観察したい訳?」
「違うっての!? タッグの闘い方を見るんだって!」
隣に座った朱はジト目でこちらを見てきた。
いやいや、そんなんじゃないっての!
「さて、ここで選手紹介だぁ――っ!!」
「繰り出される流麗な技の数々は、まるで戦場に咲く華のよう! 銀華の拳闘士タムタム!!」
「無骨な鎧に身を包んで戦場を駆け回る姿は、正に重戦車! 機動要塞ウドゥ!!」
「それに対抗するは――」
「この男がトーナメントを荒らしにやってきた! 必殺必中の魔弾使い、死の魔弾レゾフ!!」
「闇討ち暗殺なんのその! その瞳から逃れられる者はいない! 凶眼アーヴィッツ!!」
「両者定位置に着いて……間もなく試合開始です!!!」
実況、ずっとこのテンションで行くのかよ!
グラウンドには4人の闘技者が互いに向かい合っていた。
銀髪のお姉さん……タムタムは拳に金属のグローブを付けて、トントンとジャンプをしていた。他は全員男だから紅一点だ。
銀髪のお兄さんはつま先から頭まで全身を金属鎧を着込み、ラウンドシールドを持つガチガチの重装備スタイルだ。
対する相手チームは迷彩柄のボロボロのマントに身を包んだバンダナ男に、黒いマフラーをした全身黒ずくめな長身の男。
何だか怪しい感じがするな、このチームは。
歓声が上がるなか決闘を告げるゴングが会場に鳴り響くと、即座にタムタムコンビが行動に移した。
お姉さんがジャンプしたかと思うと、全身鎧の兄さんがシールドを構えて突進し、盾を蹴り飛ばしたお姉さんが人間大砲のように飛び出した。
スキルを同時発動して飛距離を伸ばしたのか!
「あーっと、タムタム選手、ウドゥ選手との巧みな連携プレーでいきなり突撃したーーっ! 狙いはレゾフ選手か!?」
あっという間にバンダナ男のレゾフに近づいたタムタムはそのまま殴りかかろうとするが、急に反転して背後に殴りかかる。
「おおっと、いつの間にかアーヴィッツ選手が不意打ちを狙っていたがタムタム選手気付いた! そのまま両選手の交戦が始まります!」
「おおっと、そこにウドゥ選手が突っ込んできて……盾を使ってタムタム選手をジャンプさせたぁーーっ! さすが機動要塞! 何という息のあった連携でしょうか! これは相手を決めて一対一で勝負を挑むつもりだーーっ!!」
タムタムがジャンプしたかと思ったらウドゥが盾で押し上げて大ジャンプに変えていた。
何じゃあの連携は!? サーカスみたいだ!
「おおっとレゾフ選手、武器を取り出してタムタム選手を近づけまいと打ち込みます! しかしタムタム選手、敏捷を活かして避ける避けるぅ!」
レゾフが懐から取り出した武器は、射撃音で分かってしまった。
ファンタジー世界にあるまじき発砲音……”拳銃”。
しかも両手装備の2丁拳銃スタイル。
「って銃の持ち込みとかアリか!?」
「私だって魔法が打てるし、ユーリはカードゲーム使いと闘ったでしょ。今更銃くらい普通じゃない?」
「いや、そりゃそうだけどさぁ……」
身も蓋もない意見を朱に言われてしまった。
俺も剣からビーム出してるし、今更か。
「あーっと、タムタム選手の必殺技『水晶蓮華』が炸裂したーーっ!! これはレゾフ選手、大ダメージか!?」
朱と話していたら、いつの間にかレゾフが吹き飛ばされていた。
奴はよろよろと立ち上がるが、痛みに口を歪めて笑っていた。
「レゾフ選手が何もない空中に弾を撃ち込んで……? ややっ、弾が空中で軌道を変えてタムタム選手へと向かって行きます! 解説のデネボラさん、これは一体?」
「あれがレゾフ選手の持つ”魔弾”です。彼が『死の標的』で印をつけたら最後、彼が放つ弾は標的の場所に必ず命中します」
「なんとぉ!! これはタムタム選手、大ピンチか!?」
よく見ると、タムタムの心臓の部分に黒いタトゥーのような印が大きく刻まれていた。
避けても避けても、魔弾はタムタムの心臓部を狙って軌道を変え襲って来る。
この魔弾、心臓の自動追尾とかムチャクチャじゃねーか!
「あーっと、ここでウドゥ選手動いた! タムタム選手に向けてラウンドシールドを投げつける!」
フリスビーの要領で投げられたシールドを空中でキャッチしたタムタムは、迫りくる魔弾をシールドを使って防いだ。
まさか、想定していたのか……!
「何という事でしょう、必殺とも思われた魔弾に真っ向から対抗しました! 魔弾、恐れるに足らず! タムタム選手がすぐに反撃に移ります!」
魔弾を打ち続けるレゾフに恐れる事無く、地面を蹴り瞬足で距離を詰めるタムタム。
これは決まったか……!?
「出たぁーーっ『水晶蓮華!』 ……えっ!?」
タムタムはナイフで背中を貫かれて、ピタリと動きを止めていた。
それは丁度、死の標的をつけられた心臓部と同じ箇所だった。




