決闘者リウリウ その3 ☆
「俺のターン!!」
今、奴のフィールドには攻撃済のモンスターしかいない。
直接攻撃するチャンスだが……何故か嫌な予感がするんだよな。
「こういう時こそ、『攻略本』だ!!」
スキル名を叫ぶと、俺の中から”過去見たことがあるゲーム情報”……デジタルカードゲームを遊んでた記憶と、プレー動画を見た記憶次々と呼び起こされてきた。
一時期どハマりしてダンモン漬けの毎日だったから、その時の知識が活かせるはず!
しばらくすると視覚に変化が現れた事に気付く。
モンスターの属性とステータス、効果が書かれたテキストレイヤーが出現してきたのだ。
聖晶獣ファイア・バジリスクは火属性、攻撃力1500、効果に「召喚・特殊召喚成功時に相手ライフに200のダメージを与える」と書いてある。
まるで現実拡張(AR)の世界じゃないか。攻略本すげえ!!
それに思い出した事がある。奴のデッキは恐らく【聖晶獣】。
原作の主人公が使っていた、人気のテーマデッキだ。
という事は、あの切り札を召喚されたら絶対ヤバい!
召喚を防ぐには……やはり各個撃破するしかなさそうだ。
「決めたぜ! 俺は聖晶獣ファイア・バジリスクを攻撃!」
「ほう? 直接攻撃のチャンスを捨てるとはね。いいだろう、バトルだ!」
ダンモンはモンスターを対象指定として攻撃する事が出来る。
バジリスクの攻撃力は1500だから、妨害さえなければ大抵のスキルで倒せるが……ついでに試したいことがある。
『龍気!』『ライオットザンバー!!』
俺は強化技、龍気を纏った状態で切り下ろしを行う。
近くに出現したウィンドウには「攻撃力2200」と表示されていた。
やはり、強化スキルを発動した状態なら攻撃力がアップする!
龍気を纏っていれば、常時攻撃力200アップするとか破格だ。
……まあ、SP減りっ放しになるのが難点だが!
大振りの一撃を受けたファイア・バジリスクは、鳴き声を上げて魔法陣に吸い込まれ消えていった。
電子音と共に現れたウィンドウは、ライフが3100に減少した事を告げる。
「なるほど。攻撃は一回しか出来ないが、それ以外のスキルには何も制限がないんだな」
「ご明察!」
「さらにモンスターは避けないから、大技打ち放題って事か」
「いいね。それに気付いたキミは、エンターテイナーの才能があるよ!」
両手を鳴らして喜ぶ青年。
成程、コイツは大技が乱舞するプロレス展開に持ってきた訳だ。
「おっと忘れてた。キミのターン中にトラップカード発動! 『潤いの命水!』……このターン、破壊されたモンスター1体を攻撃状態で復活させる!」
「折角倒したのに復活するのかよ!」
「さらに、聖晶獣ファイア・バジリスクの効果発動! 相手ライフに200のダメージを与える!!」
「ぐわー、あっちいい!!!」
「やられっ放しは性に合わないんでね、ちょっとだけお返しさせてもらったよ」
クソ、これでライフが3100まで減っちまった!
「キミの行動はこれで終了だ。……オレのターン! モンスターを未行動に変更! そして、手札から聖晶獣ウォーター・タートルを召喚!」
青年がカードをディスクに置くと、水色の亀型モンスターが水飛沫を上げて召喚された。
出現時のウィンドウには攻撃力800と書かれていている。
いかにも弱そうだが……攻略本のスキルのお陰で能力がバッチリ見えている。
コイツはブロック時に攻撃力が上がる、ブロッカーと呼ばれるタイプのモンスターだ。
「このままターンエンドだ!」
「……攻撃して来ないのか?」
「時には待つのも戦法のひとつさ。さあ、キミのターンだ。来なよ!」
2体のモンスターの奥で、余裕たっぷりに挑発をする青年。
いいぜ。そんなにプロレスがお望みなら、派手にぶちかましてやるよ。
「やってやる、俺のターン!! ファイア・バジリスクに攻撃だ!」
「甘い。ウォーター・タートルでブロック! ブロックする際、モンスター効果発動! ブロック時には攻撃力が1000アップして、1800になる!」
バジリスクを庇う形でタートルが出現する。
ステータスが上がる事なんざ、攻略本でお見通しよ。
狙いは、2体のモンスターが接近する、この配置!!
「かかったな! これで一網打尽だ!」
『大界・鳴響渦穿!!』
俺は全身を捻り、渾身の突きで”大渦”を発生させた。
威力を表すウィンドウには「攻撃力2500・範囲攻撃」と表示されていた。
「まさか同時攻撃を狙っていたとはね! トラップカード発動、『隆起する岩壁!』 このターン、全てのモンスターは破壊されない! ……ま、戦闘ダメージは受けるがね」
奴が伏せカードを発動すると、地面から岩壁が出現して、発生した大渦からモンスターを守り通した。
「おのれ、対策していたか!」
ダメージを受け、電子音を鳴らして青年のライフが大きく減っていく。
表示されたライフには1400と表示されていた。
客席から歓声が湧き上がり、それを聞いた青年は喜びの表情で大きく頷いていた。
ダメージを喰らったのに、なんだコイツ!?
「いいよいいよ、良い盛り上がりだ! エンターテイメントはこうでなくっちゃな! ……オレのターーンッッ!」
青年は勢いよくデッキからドローする。
「手札から聖晶獣ウィンド・スプライトを召喚し、効果発動! 墓地の聖晶獣ロック・ゴーレムを復活させる!」
「なにぃぃぃぃ!!」
やっべえ! これでフィールドに4体の聖晶獣が揃ってしまった!!
「さらに、手札からマジックカード、『導きの風』を発動! 効果で手札から墓地に送った枚数分、デッキからドローをする事が出来る! オレは手札2枚を墓地に送り、2枚をドローする!」
奴がドローした瞬間、カードが眩い程の光りが会場を照らす。
「来た来た来た、オレの相棒!! ……さあ、最高のショウの幕開けだ!!」
青年は渾身の決めポーズをしながら、口角を上げた。




