招待状
「すまねえウォルフ! 剣が壊れちまった!!」
「……ど、どうしたんですか?」
ここは職人地区にあるウォルフの工房。
ツナギを着た少年はゴーグルを下ろして迎えてくれたが……俺は申し訳無さで一杯だった。
鞘からコアブレードを引き抜くと、ウォルフが息を飲んだ。
「これは……。妙な壊れ方をしていますね」
「”武器破壊”を受けてこうなった。そんなスキルがあるなんて思いもよらなくてな」
「武器破壊、ですか……」
コアブレードはヒビが全体に広がっていた。
妙な事に、曲がっている訳でも削れている訳でもない。
つぶさに観察したウォルフはむむむと唸っていた。
「ユーリさん、やれるだけの事はやってみます。少し時間をもらえませんか?」
「ああ、頼む!」
ウォルフの顔を見て取れば、困難である事はわかった。
俺は修理を彼に任せて、工房を後にする。
コアブレードはあいつが作り上げたんだ。
きっと何とかしれくれる……はずだ。
「しばらくは剣無しかぁー」
クエストも受けれないとか……特にやる事がないじゃないか!
「たまにはゆっくりすればいいじゃない? ここしばらく闘いっぱなしでしょ」
「まあ、それもそうだが……」
ナビコがポーチから話してくきた。
気を落としても仕方ないし、切り替えていくか。
俺は久しぶりに優雅な午後を商業地区で過ごした。
といってもご飯を食べて適当にぶらついただけだけど。。
いつものように宿へと戻ると、金髪ロングのエルフっ子が俺に話しかけてきた。
「ユーリさん! ここ、こんにちわっ!」
「よっす、ナズナ。どうかした?」
「ユーリさん宛にお手紙が届いてました。どうぞ、こちらです!」
笑顔のナズナから受け取った手紙は、紺色の封筒に赤色の封蝋をしていた。
ギルドからではなさそうだが……まさか、また情報屋からじゃないだろうな?
気になるので即開けて中身を見ると、こう書かれていた。
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ユーリ殿 貴方をお茶会にお誘いしたい
明日 正午の鐘が鳴る頃に
アルゴンの門までお越しください
ギルドマスター
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手紙の主は見に覚えのない相手だった。
ギルドマスター……って冒険者ギルドの?
何で俺を呼び出す必要があるんだろうか。
こないだ高難度クエストのついでに大海蛇を倒したから?
でも俺を呼び出すのは変だな。朱が一番の功労者だろうし。
それにしても……この門って何処。
「ナズナ。アルゴンの門って知ってる?」
「は、はい。貴族街と平民街の間にある大きな門です。商業地区の大通りのずっと奥にあるんですけど……」
「何故か知らないけど明日来いって言われてさ。ギルドマスターって人から」
「ええっ、本当ですか!? とても栄誉な事です! もしかして褒賞を直接授与されるんじゃないでしょうか!」
目を輝かせるナズナの言葉をナビコが一刀両断する。
「ユーリがぁ? それはないでしょ。お茶会って書いてあるし」
「そうだな。特に俺凄いことした訳でもないし。大した用事じゃないだろ」
「そんな事ないです、ユーリさんは凄いです! 強くて、優しくて、カッコ良い……ですし!」
懸命に俺をフォローしだすナズナ。
急にどうしたんだろう。
こないだ負けたこと、まだ気にしてると思われたのかな?
「ありがとう、そう言ってくれるのはナズナだけだよ。ナズナはいい子だな」
「ゆ、ユーリさん……♡」
無意識にナズナの頭を撫でてしまった。
俯いて顔を赤らめるナズナ。
おっと、つい手が出てしまった。
こんな可愛い妹がいたら毎日ハッピーなのに。
「ま、明日は予定もないし行ってみるか。ナズナ、それじゃなー!」
後ろ手を振って部屋に戻る俺。
ポーチの中でナビコが鈍いわねー…と呟いていた。
……はて、何のことだ?




