魔導武器ユニ・ユノ その1 ☆
港町でのボス攻略戦の裏側で何があったかというと……。
大海蛇に呑み込まれた俺は体内で暴れに暴れた。
たっぷりの溶解液で体を溶かされる所だったのだ。
ナビコがバリアを張ってくれたがそれも長くは続かず、肌が溶けそうになる寸前に何とか必殺技を会得することが出来た。
――大界・鳴響渦穿。
全身で捻りを入れた突きを放つことで水流……”大渦”を発生させる必殺技だ。
大渦自体に攻撃判定があるようで、大海蛇に連続ダメージが入っていた。
溶解液からの危機を脱し、大海蛇の口から外に飛び出して……
初のボス討伐は朱との連続必殺技で締めくくりとなった。
俺達が大海蛇を倒したため、ギルドは大騒ぎとなっていた。
どうも異例の速度での討伐達成だったらしい。
連続で高難度クエストを完了させた事で、俺達3人はギルドから一目置かれる存在になった……とブレイズから聞いた。
おかげで報酬をたっぷりと受け取れた。
これは次の開発資金に回せそうだ!
少しショックだったのは……サハギン討伐数は俺が最下位だった事だ。
意外なことに1位は朱だった。2位はブレイズ。
くそう、次は負けないからなーー!
……こうして騒乱の高難度クエスト祭りは終わり、流派使いの即席パーティは解散となる。
* * *
それから3日後。
俺は決闘に挑むため大闘技場へとやって来た。
対戦相手として現れたのは、ふたりの闘技者。
黒い執事服を着て、胸ポケットのハンカチなど随所に緑色のアクセントを付けている瀟洒な少年。
フリフリの黒いゴスロリ服を着て、フリルやリボンをピンクに彩る可愛らしい少女。
華やかな衣装の少年少女が片手を合わせたポーズのまま、俺の前にいた。
「……って、2人とかルール違反だろ!!」
決闘は一対一でしか行われない。
どんな抜け道を使ったんだ!?
「ルールには違反してないさ」
「そうそう、何もおかしくないよねー?」
「だって僕達兄妹は」
「2人でひとり!」
「……ユニ、行くよ!」
「はーい! ユノお兄ちゃんっ」
息ピッタリで、交互に会話する少年少女。
ゴスロリ少女が一回転ジャンプしたかと思うと、姿がぐにゃりと歪み……大きな鎌へと姿を変えた。
「なっ……武器になったぁぁぁ!?」
「僕達は魔導武器。トチ狂った奴に生み出された魔導生物さ。小さいからって甘く見てると……死んじゃうよ?」
少年は身の丈ほど大きな両手鎌を構えた。
大鎌は全体的に黒いが、刃の部分だけピンク色になっている。
シェイプシフター。武器に変身する種族。
……カッコいい! 俺も欲しいな!!
などと思っていると決闘のゴングが鳴った。
少年は一気に距離を詰めて、まるでダンスのように流麗なステップをして大鎌を振り回す。
少年は子供とは思えない程巧みに大鎌を操る。
こちらも反撃するが、鎌の持つ独特な動きに翻弄され、斬撃を何度か喰らってしまう。
何故俺の攻撃が届かない……?
……そうか! 大鎌の動きは円だ!!
直線の動きしかない剣じゃ、打ち合う事も、防ぐ事も難しい!
「ははっ、どうしたの? 随分とノロマじゃないか」
円を描くような鎌の攻撃を繰り出す少年。
こいつ……まるで熟練武器使いの動きをしやがる!
「キミ、思ってたより大したことないね。……それじゃ、一気に決めちゃおうか」
『ブラッディハーヴェスト!』
大鎌の刃を煌めかせて襲いくる少年。
少年がふっと消えたかと思うと、体に無数の傷跡を刻まれていた。
見えない程素早い斬撃、だと……!!
傷口からぶしゅうと血が吹き出した。
「ぐっ……!」
クソ、鎌の持つ独特な動きに翻弄されてしまう。
一体どうすれば……いや、剣で戦おうとするからいけないんだ。
インファイトで、ヤツの動きが形になる前に防ぐのはどうだ。
……試してみるか。
「おや、剣を仕舞うだなんて、降参かい?」
「んな訳あるか。……来いよ、相手してやる」
「はは、強がりだな!」
俺は徒手空拳のまま腰を落としてどっしりと構えた。
少年はダッシュで迫ってきて、大鎌を持って大回転する。
『フルムーンサイズ!!』
『龍気!』『雷閃掌!!』
ガキンッッ!!!
俺は雷氣を纏った高速の掌打を、鎌の刃ではなく柄に打ち付ける。
大振りの鎌は拳によって勢いが殺され、スキルが不発となる。
「何ッ!?」
「歯ァ食いしばりやがれッ!!」
『虎魂!』『龍虎連王撃!!』
俺は少年の体に、双拳の乱舞を叩き込んだ。




