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大海蛇戦

 大海蛇シーサーペントは人間1人くらい丸呑みできそうな程大きな顔をしていた。

 全長は海に隠れてるけど、多分数百メートルくらいあるんじゃなかろうか。

 このまま放っておいたら港町は壊滅的打撃を受けることだろう。


 ……倒すしかないか。

 幸いこっちには頼もしい味方が2人もいる。多分何とかなるだろ。


「アイツの弱点は雷だが……朱、使えるか?」

「クラウディアの専門は火炎魔術よ。私が持ってる訳ないでしょ」


 予想はしてたけど、やっぱりかー!


「んじゃあブレイズは左から攻撃してくれ。俺は右に行く」

「……待て。俺は手出ししネェ。ユーリ、ここでお前の実力を出してみろ」

「ハアァァ!? 何言ってんだよ! ここは力を合わせる所だろーが!!」

「なら聞くが、お前は雑魚と戦って必殺技を閃いたか?」

「ゔっ……」

「なら相手としちゃ丁度良いじゃネェか。死ぬ気で闘えば技も閃くだろ」


 え、マジで言ってる? 

 ディアグランデじゃ5人がかりの討伐なのに、2人で挑戦っすかぁ!?


「安心しな、死ぬ寸前になったら助けてやるよ」


 悪い笑みをして、俺の肩を叩くブレイズ。

 こりゃ何言っても聞いてくれそうにないな。

 ……ハァ、仕方ないか。


「朱。斬り込むから支援してくれ!」

「フン、私に命令しないでよね?」


 弱点を突けないなら地道にダメージを与えるしかない。

 俺が前衛フォワード、朱が後衛バックがベストだ。

 攻撃が朱に行くと不味いから出来るだけ惹きつけないと。

 大海蛇は俺を獲物と認識し、大きな口を開けて襲いかかってきた。


虎魂タイガーソウル!』『龍炎風車りゅうえんふうしゃ!!』

 俺は勢いよく回転しながら剣に火氣を流し込み、迫りくる大海蛇に回転斬りをお見舞いする。


『フレイムジャベリン……イグニッション!!』

 上空から無数の炎槍が飛来して大海蛇の体に突き刺さる。

 その後も同じ魔術を発動させて追撃する朱。

 大海蛇はキシャアアアと叫び、警戒するように後退した。


「お、おい朱。あまり攻撃を集中させると、お前狙われるぞ?」

「何言ってるの。攻撃しないと倒せないじゃない」


 この子、敵愾心ヘイトの概念を知らないのか?

 やっぱりゲーム慣れしてないな、こいつ。


「よそ見してないの。また来るわよ!」


 大口を開けて再度襲いかかる大海蛇。

 チッ、やっぱり朱を狙ってやがる!


「お前の相手はこっちだ! 大盤振る舞いで行くぜ!」

七星命壊槍セブンスターデススピア!』『戦魔覇烈断せんまはれつだん!!』『流渦時雨りゅうかしぐれ!!!』


「炎よ、万物を灼き尽くす灼熱の太陽となれ! 爆炎よ、原初の爆発を持って敵を塵芥と化せ!」

『エクスプロードスフィア!』『メルトイラプション!!』


 俺はスキルを連続発動して、朱も火炎魔術の大技を連続でぶっ放す。

 大海蛇は巨体に技と術を叩き込まれ、身を捩って悶えているようだった。

 すぐさま追撃をかけるが、大海蛇は体を振り回すようにして俺を弾き飛ばす。


 大海蛇が耳をつんざくような叫びを上げると、遠くの海の方から大きな波が近付いて来るのが見えた。


「あ、アレェ!? アイツもう使ってくるのか!?」

「え、何? どうしたの?」

「気をつけろ皆! 津波が来るぞ!!」


 ズザザザザザという音とともに巨大な波が押し寄せる。

 ……出た! 大海蛇の大技、大海嘯だいかいしょう!!

 ゲームでもこれ喰らってパーティーが半壊したんだよなぁ!


 波はすぐに港へと到達して、辺りを海に沈めた。

 高台に剣を刺して必死で波に耐える俺。

 気がつくと大海蛇の姿がどこにも見えなかった。


「……朱、アイツはお前を狙ってる! 注意しろよ!」

「フン、分かってるわよ!」


 朱の近くで大きな水柱が上がる。


「そこね! エクスプロード……」

「朱、後ろだ!!」


 クソ、水柱は囮か!

 奴は朱の背後から出現して、丸呑みにしようとしていた。


「間に合ええええ!!」

雷迅脚ライトニングステップ!』『跳躍ちょうやく!』『鳳仙花ほうせんか!!』

 ブーストをかけたジャンブして、さらに空中ダッシュをする。

 鳳仙花は一度だけ空中加速を可能とするスキルだ。


 俺はロケットのように突撃して大海蛇へ斬りつけると、邪魔をされた大海蛇は怒り狂い、俺を丸呑みにして海へと引きずり込んだ。


 * * *


 目の前で人が丸呑みにされる瞬間を見てしまった。

 ……こんなのトラウマになるじゃない!


「あ、あいつ死んじゃった……!?」


 どうしようどうしよう、こんな事になるなんて思ってなかった。

 あいつの言ってた通りモンスターが私を狙ってきた。

 私は返り討ちにするつもりだったけど、まさか身を挺して庇うなんて……。

 って、全部私が悪いみたいじゃない! 

 でも本当に死んじゃったらどうしよう。流石に罪悪感が。


 空中で1人悶々としていると、何処からかブレイズがやってきた。


「何でアンタ助けなかったのよ!」

「ハッ。あの程度じゃ死なねえよ、ユーリは」


 焦る私とは対象的に、ブレイズは余裕の表情をしていた。

 何でそんなに信頼してるのよ。男の友情って奴?


 ハラハラしながら待っていると、海面が渦潮を描くように渦巻いてきた。

 何かが、来る!


 巨大な水柱を上げて、一本釣りされたように大海蛇が現れた。

 顔の付近にはあいつがいた。

 ……うわ、生きてる!

 丸呑みされたのにどうやって脱出したんだろう。


「頼む、朱! こいつに特大の魔術をお見舞いしてくれ!」


 あいつは諦めていなかった。

 ここで応えなかったら主人公失格よね。


「……現れよ炎神の剣! 神の炎をもって一切を蒸発させよ!」


 右手からバーナーのように勢いよく炎を噴出させ、それを巨大な剣の形へと形成させる。

 全てを蒸発させる炎神の剣。手に持ちきれないほど巨大だが……右手と動きがリンクしているから斬る分には問題ない。


「手こずったが、これで仕舞いだ!」

大界たいかい鳴響渦穿めいきょうかせん!!』  


 ユーリが剣を突き立てると、大海蛇の体に斬られた跡が走る。

 その斬られた跡は次第に全身に広がっていった。

 大海蛇の動きは完全に止まっている。今がチャンス!!


『レヴァティーン!!』 


 炎神の剣を薙ぎ払うと、一刀の元に切り捨てられる大海蛇。

 胴体が落ちるた大海蛇は灰のように崩れ去っていき……その跡に特大の魔石が姿を現した。

 はああぁぁぁ、良かった。これでクエスト全て完了だ。


 ユーリは何か普通に元気だった。

 全く心配させないでよね、2回も殺す所だったじゃない。

 って言うと私が極悪人みたいじゃないの! 


 ホント、何で私なんかの為に命を賭けれるんだろう。

 ……不思議な奴。

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