ゴーレムマスター・アスカ その2 ☆
バスケットボール大の球体を何個か投げつけてくるお姉さん。
咄嗟に剣で真っ二つにすると、両断された塊に手足が生えて動いた。
……これ、ゴーレムだったのかよ!
「もう、面倒ね! ゴーレム軍団、アイツを抑えなさい!」
お姉さんは赤い結晶を沢山、空中にばら撒いた。
やはりあれがゴーレムコアか!
赤いコアは地面の砂を吸収して、ゴーレムの体を形成する。
全長は1メートル程のずんぐりむっくりな胴体に手足が生えた、いかにもゴーレムらしい形だ。合計で20体ほどいる。
わらわらとこちらに群がって、すぐにでも囲まれてしまいそうだ。
チイ、こうなったらアレを使うしかないか!
俺はバックステップをして距離を取り、剣を構える。
「吠えろ、魔竜喰らい!!」
『竜の咆哮!!!』
俺はコアブレードの刀身から光刃……所謂ビームを解き放つ。
クラウディア戦では敗北してしまったが、爆発魔法を間近で受けた為か、竜の咆哮一発分の魔力が剣に蓄積されていた。
しかもこれ、剣先の方向を変えればビームで薙ぎ払う事が出来るのだ!
動きの鈍いゴーレム軍団は避けることが出来ず、全て灼き尽くされ砂へと還った。
「はは、残念でした! そいじゃこっから反撃だ!」
『雷迅脚!』
馴染みの高速移動スキルでお姉さんに急襲する。
あと数歩の所で地面から執事ゴーレムが現れ、俺の急襲を防いだ。
「チイッ、もう再生しやがったか!!」
「マスターをお守りするのが執事の役目ですから」
執事が復活すると分かっていたのか、お姉さんは全く動じていなかった。
そして、お姉さんは執事ゴーレムに問いかける。
「アグ、分析は?」
「完了しました。脅威度A。類型はコンバットトリッカー。……カルキノスによる制圧を提案します」
「アレはまだ隠しておきたかったのに……アグが言うなら仕方ないか。アグ、岩蟹モード起動」
「イエス、マイマスター」
地面に両掌を当て、何かを始める執事ゴーレム。
よく分からんが、マズい気がする!
「させるかよ!」
スキルで斬ろうとしたが、地面から現れた岩壁に阻まれた。
執事ゴーレムは地面から大量の砂を集めているようで、お姉さんと執事の周りの地面だけどんどん高くなっていく。
急速な砂集めのせいか、足元の地面がぐらぐらと揺れた。
「おわっ、な、何だアレ!?」
大量の砂が集まり、巨大な姿を形成する。
現れたのは、左右合わせて十脚の動く城砦。
高さ4メートルほどの巨大重機のようなゴーレムだった。
「蟹……ゴーレムだと……!?」
「どうです、うちのアグは凄いでしょう?」
巨大蟹ゴーレムの中心に、お姉さんが上半身だけ出してドヤ顔をしていた。
搭乗するタイプじゃないんだ……ではなく!
「な、なんじゃそりゃあああ!!」
「うんうん。やっぱりキミいい反応するね。……もっと褒めてもいいんですよ?」
こんなの見たら誰だって驚くだろ!
しかも、炎の巨人と違って、この蟹ゴーレム明らかに魔法攻撃するタイプじゃなさそうだけど!
「ふふん、驚きで声も出ないかしら? これがゴーレム研究の成果よ!」
「……アグ、突撃! 岩蟹の性能を皆に知らしめるのよ!」
《ラジャー!》
ガチョガチョガチョと音を立てて迫りくる蟹ゴーレム。
うおおおい! あんなのに轢かれたらミンチになるぞオイ!
頑健はダメだ。防御の許容量を超えてる。
跳躍で避けてもいいんだけど、奴さんまだ隠し玉持ってそうなんだよな。
空中じゃ逃げ場が無いしリスクが高い……などと考えていた際に閃いた。
あれを応用が出来れば、何とか出来そうだ。
『跳躍ッ!』
地面を勢いよく踏み込んで大ジャンプをする。
お姉さんを見ると……自信満々の顔をしていた。
「かかったわね! アグ、迎撃準備!」
《イエス、マイマスター》
前足だと思っていたものが巨大な鋏へと変わり、俺を圧殺するべく襲いかかってきた。
……それ、爪だったのかよ!
「うらぁっっ!!!」
俺は持っている剣をお姉さんに向けて勢いよく投げつけた。
すると、ゴーレム執事がお姉さんの前に現れてキャッチする。
……出てくる思ったよ。
「コアブレード! 俺を呼び寄せろ!」
連結環の効果で、剣が俺を呼び寄せる。
俺は空中ダッシュの如く、体ごとコアブレードへ引き寄せられた。
……キッツ! これキッツ!!
連結環を着けてる腕が痛ってえ!
しかし、強行したおかげで回避しつつ接近することが出来た。
俺の手元にはコアブレード。
それを持つゴーレム執事と至近距離で見つめ合う。
「よう、また会ったなゴーレム野郎」
「なんと、そんな手で避けるとは。驚きました」




