表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/103

ゴーレムマスター・アスカ その1 ☆

 次の対戦相手はゴーレムマスター・アスカ。


 物々しい二つ名に反して、黒髪ツインテールの可愛らしいお姉さんだった。

 黒色のケープにコルセット、腰には大きなポケット付きベルトという、アンバランスな服装をしている。


 武器を持っていないし、明らかに術者タイプ……。

 などど観察していると、お姉さんが声をかけてきた。


「ねえ、キミ。率直に言うと降参して欲しいんだけど……駄目かな?」

「……はあ!?」


 何を言うんだこのお姉さん。

 これ以上負けるつもりはないっつーの!


「そんなこと、俺が素直に聞くと思いますか?」


 返事とばかりにコアブレードを引き抜くと、お姉さんはやれやれというジェスチャーをする。


「いやー、熱いねえ。けど残念ながらキミの相手は私じゃないの」


 お姉さんは腰のベルトポケットから何かを取り出し、種蒔きのようにばら撒いた。

 赤い結晶のような物が地面に転がると、グラウンドの砂を巻き上げて、人の姿を形作っていく。


 砂製の即席ゴーレムと思いきや、現れたのは執事服姿のゴーレム。

 ……何故か顔は西洋兜になっているが。


「出番だよ、アグ」


 アグと呼ばれたゴーレムの目が光り、動き出した。


「畏まりました、マスター」

「喋ったぁぁーーっ!?」

「うんうん、良いリアクション。もっと褒めてもいいのよ?」


 満足気に頷くお姉さん。

 この人、部下ゴーレムに任せて自分は戦わないつもりだな。


 決闘開始のゴングが鳴る。

 執事服のゴーレムは体の調子を見るように両手首を動かした。


「それでは、私がお相手仕ります」


 執事ゴーレムは徒手空拳のまま俺に向けてダッシュする。

 ……こいつ、格闘戦する気か!?

 執事ゴーレムはあっという間に接近して、手刀で襲いかかってきた。


 キン! キキン! キン! キキン!


 オイオイ、こいつ砂のゴーレムだろ?

 何で剣と対等に渡り合えるんだよ!


「お前、本当にゴーレムか!?」

「申し遅れました。私、マスターにお仕えする執事ゴーレム・アグリオスと申します」


 攻撃の手を緩めず、流暢に答える執事ゴーレム。

 デカい、ノロマ、単純な命令しか聞けないというイメージとまるで真逆だ。


 何度か至近距離で切り結んで気付く。

 ゴーレムにしては鋭い攻撃……だがブレイズの方が何倍もやばかった。

 このくらい何ともないじゃないか。


「はっ、手ぬるいな!」

龍炎刃りゅうえんじん!!』


 俺は回転しながら闘気オーラを火氣に変換し、赤熱した剣を執事ゴーレムに叩き込む。

 執事ゴーレムの胴体は上下真っ二つにされるが、奴は斬られた上半身から攻撃してきた。


春時雨はるしぐれ!』


 素早い突きの連打を何度も叩き込むが、どうも手応えを感じない。

 ……赤い結晶みたいなのを壊せば止まると思ったが、闇雲じゃ無理か!


 執事ゴーレムは形を維持出来ず砂へと還るが、程なくして再構成された。


「復活するのかよ!」

「ええ、ゴーレムですので」


 いかん、相性が悪すぎる。

 ……一気に吹き飛ばすか? と思っていたら、遠くからのんびりした声が聞こえた。


「アグ、まだ勝てないのー?」


 お姉さん、座り込んでるとか完全に観戦モードなんですが。


「マスター、武装の許可を」

「もー、仕方ないなぁ。……ほらっ!」


 お姉さんが赤い結晶を二つ投げつけ、執事ゴーレムが片手ずつ受け取る。

 すると、グラウンドから砂が勝手に集まり、二周りほど大きい拳へと変わった。

 大きなボクシンググローブみたいだ。


「それでは、仕切り直させて頂きます」


 ゴーレム執事はその大きな拳で殴りかかって来た。


 ガイン! ガキン! ゴガン! 


 かってええええ!!!

 何なの!? 実は鉱石なのその拳!?


 剣で防御するが、拳の衝撃を相殺できず押し込まれてしまう。

 ゴーレム執事はこちらの体勢が崩れたタイミングを見逃さず、懐に入ってきた。


『ゴーレムインパクト!』

 ゴーレムがスキルを使う……だと!?

 嫌な予感を感じ、俺は咄嗟に剣を手放す。


頑健がんけん!!』

 ガイイイイイインンン!!!

 ……いってえええ!!


 眼前に両腕を出した防御の構えでスキルを発動するが、防御の上から衝撃が襲ってきた。

 こりゃ防戦してちゃ駄目だ。攻めに転じないと!


『ゴーレムインパクト!』

螺旋空らせんくう!!』

 ゴーレムパンチをジャンプ回避し、執事の首を掴んだまま空中で大回転すると、奴の首が捻り切れた。

 並の相手じゃこれだけで勝負が付くが、ゴーレム相手じゃ全く足りない!


星落とし(スターシュート)!!』

 空から降り注ぐ流星のような踵落とし!

 俺は捻じり切った執事の頭ごと、真っ二つに体を両断した。


 クソ、結晶を破壊した感覚がない!

 砂を吹き飛ばさないと駄目か!!


「来いッ、コアブレード!!」

虎魂タイガーソウル!』

『龍炎…風車!!』


 俺は咄嗟の思いつきで、龍炎刃と風車のスキルを()()()()()()

 火氣を帯びて赤熱した剣を持ちながら勢いよく回転すると、周りに熱風の竜巻が発生する。


「吹き飛べぇぇぇ、砂ァ!!」


 そのまま回転し続けていると、砂に混じって赤い結晶が舞っているのが見えた。

 あれを破壊すれば、勝ったも同然だ!


流渦りゅうかそ…ゴヘアッ!!」


 視界外から何かをぶつけられ、スキルが不発になる。


「何だよいってえな! 誰だよ!」


 投げられた方向を見ると、黒髪ツインテールのお姉さんがバスケットボール大の丸いものを持っていた。

 ……あれ? 何か怒ってらっしゃる様子。


「ちょっとキミ、うちのアグをどうする気……?」

「どうも何も、倒すに決まってんでしょーが!」

「ふうん。そんな事出来るわけないけど、アグを苛めるなんて気に食わない。……アグを苛めていいのは、私だけなんだから!」


 な、何言ってるのこの人――!?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ