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鍛治師ウォルフラム

 あの後、エレクトラは用事があると言って出かけてしまった。

 やる事もないので帰宅しようと思い医務室の扉を開けると、案の定ナビコから奇襲を喰らった。

 こいつ、鳩尾に蹴りを入れやがった……!

 暫く痛みで動けなかった。


「……うん? 珍しく静かだな、ナビコ」

「好きにしろって言ったのはボクだし、もうとやかく言わないわよ。……でも、少しは懲りた?」

「懲りるも何も……別に俺、悪いことしてる訳じゃないしな」

「馬鹿ねー。そんなに甘々じゃ誰にも勝てなくなるわよ?」


 ジト目で見つめてくるナビコ。


「いいんだよ、別に。卑怯な手で勝っても強くはならないだろ?」

「ふーん……。ま、分かってるならいいけど」


 なんか知らんが納得したようだ。話が拗れなくて助かる。

 疲れも残ってたので、その日は早々に帰ることにした。


 次の日、俺は職人地区の工房へと足を運んだ。

 コアブレードを作り上げた鍛冶師・ウォルフラムと会うためだ。

 ウォルフラム、通称ウォルフは同年代の友達……だと勝手に思っている。

 特に拒まれないので、俺は何かに付けて彼を訪ねていた。


「よっ、ウォルフ」

「やあユーリさん。お元気そうで何よりです」


 金髪の少年ウォルフラムは、煤に塗れながらも笑顔で俺を迎えてくれた。


「闘スポでユーリさんの活躍、見ましたよ!」

「負けちまったけどな。……でも魔竜喰らい(バルムンク)は大活躍だったぜ! やっぱりウォルフの腕はすげえなぁ」

「そう言って頂けると励みになります。そういえば、連結輪リンケージは機能していましたか?」

「そっちも問題なかった。やっぱ剣を一瞬で呼び戻せるってのはロマンだよなぁ!」

「あはは、またロマンですか。それを言うときのユーリさんは目がキラキラしてますね」


 連結輪リンケージは漫画でよくある”武器の呼び寄せ”を元にした魔道具だ。

 これがまた、コツを掴むまでが意外と難しくて……。

 何度か練習してようやく柄をキャッチ出来るようになったが、最初のうち何度かは刃で手を切りそうになったのはここだけの話だ。


「いやー、コアブレードはロマンの塊だよ。よく実現できたな!」

「親方と一緒に5日間鍛え抜きましたからね……。僕が打った中でも一番の渾身作です」


 そう言って笑う少年は、鍛冶師として確かな腕と、柔軟な理解力と、類稀なるセンスを持つ奇才だった。

 偶然市場で彼の作品を見て驚いた。”変形武器”が彼の作品だったのだ。

 大剣へと変形する剣、斧と剣をモードチェンジする武器、鎖鎌と盾を合わせた見たことのない武器……。

 ロマン溢れる変形武器に魅了され、思わず作者にお宅訪問してしまい、少年だと知って驚いたが、剣についてあれこれ話したら彼もノってきて構想が思いっきり膨らんでしまい……今に至る訳である。


 彼の特筆すべき点は根気の良さと理解力だ。

 こちらのアイデアが実現可能な形となるよう、真摯に向き合ってくれた。

 コアブレードは、ニチアサに出る変身ヒーローを参考にして設計された剣だ。


 変身ヒーローは大抵武器を使って闘う。

 しかし、手に入れた能力で炎を出したり、氷漬けにしたり、敵や状況に応じて武器と能力を使い分けていた。

 敵のタイプに合わせて武器や技を使い分けるのは俺の理想とする闘い方だ。

 モードチェンジする武器は正に俺向きだった。


「それにしても、魔竜喰らい(バルムンク)はダメ元で言ったのに良く実現できたな」

「ユーリさんの言ってた変身ヒーロー……でしたか。その話に、姉がかなり興味を持ちまして。相談を持ちかけただけなのに根掘り葉掘り聞かれて、驚きのスピードで術式を組み上げてくれました」

「ウォルフの姉さん、魔術師なんだっけ?」

「ええ。魔竜喰らい(バルムンク)が実現出来たのは姉のお陰です」


 魔竜喰らいの正体は、魔術具に書き込まれた魔術式だ。

 コアブレードの柄に魔術具を差し込んだ状態なら、言葉をトリガーとしていつでも剣式起動モードオン出来る。

 さらに、別の魔術具に差し替えれば別のモードに切り替え出来る……予定だ。

 まあ、開発費が足らなかったから、まだ別のモードは無いんだけどな!


 それにしても、魔術を無効化する技術に魔術が使われているとはこれ如何に。

 原理は全くわからないが、ウォルフのお姉さんも凄腕に違いない。


 その後も、俺達は剣の話で大いに盛り上がった。


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