受付娘デネボラ
後は、冒険者ギルドでクエストも受けたっけ。
闘技者と冒険者ギルド、両方に所属しているランカーも多いらしい。
冒険者ギルドにもランクがあり、てっきり最下層からのスタートするかと思ったが、勇士ランク入りしたお陰か3ランク目……Dランクからのスタートだった。
王都の外にはキマイラやマンティコアなど、危険な魔物も多い。
そうした魔物には討伐依頼がかかり、ギルドのクエストカウンターへと並ぶのだ。
魔物討伐はパーティ編成して挑むのが基本なので、臨時メンバーとして入らせてもらうことになった。
俺が入ったのは、アッシュグレーのくせっ髪をした優男、クラベスがリーダーのパーティ。
クラベスは回復職の女の子にセクハラしまくってたが、いざ戦闘となると前線で防衛役をしていた。
俺は攻撃役として魔物の体力を削ぐ事に集中出来たのは、クラベスの陣頭指揮が優秀な故か。
俺は魔物と闘い、幾ばくかのスキル修得とレベルアップをした。
他にした事と言えば王都内の探索か。
基本的にはローマ建築が多いが、中華な建物だけでなく、ウェスタンな建物、アラビアンな建物、近代っぽい建物まで見つけた。
ゲーム世界が融合した影響と思われるけど、一体いくつの世界が集まったんだろう……?
流石に日本家屋はなかったが、貴族街というエリアは特殊な建物が多いと聞いた。
もしかしたら日本家屋もあるかもしれない。
こんな事をやっていたが、過ぎてみるとあっという間の二週間だった。
* * *
話は現在へと戻る。
次のシーズンになったと聞き、俺は闘技場の受付へとやって来ていた。
「ちゃーっす、スピカさん久しぶ……誰ェ!?」
いつもの受付窓口に居たのはスピカではなく、別の受付嬢だった。
スピカの着ているビビットなオレンジ色の制服とは違い、ブルーの制服を着た大人しそうな娘。
透き通った水色のロングヘアーに深青色の瞳。首に黄色のスカーフを巻いていた。
スピカの猫耳とは違い、髪から大きな犬耳が出ていた。
……あれ? ここ、いつもの3番窓口だよな。何で別の人がいるんだ!?
「スピカでしたら本日は非番ですよ、ユーリさん」
「……そうなんですか。って、俺の名前を知ってるんです?」
「ええ、貴方は有名人ですし。それに、スピカがよく話していますから」
表情を全く変えず答える犬耳娘。
ネコミミ娘のスピカがあんなに元気だというのに、イヌミミ娘はクールそのものだ。
動物の印象としては真逆なのになぁ。
「……申し遅れました。スピカの上司のデネボラと申します。以後お見知り置き下さい」
「スピカの、上司……」
見かけた事がないと思ったら上司なのか。通りで制服の色が違うはずだ。
「デネボラさんのその耳……もしかして、犬耳族なんですか?」
「ええ、そうです」
デネボラは特に表情を変えず答える。
それ以降会話は続かず、しーんとなる。
……か、絡みづらいな。
「次のシーズンになったと聞いてやって来たんですが……決闘って受け付けてるんですか?」
「ええ、受け付けております。……ですが、勇士ランクの闘技者はまだまだ数が少ない為、その場で直ぐにマッチングして決闘という事は難しいです」
「あ、そうなんですか」
「一旦決闘をお申し込み頂いて、マッチング成立後に闘技大会運営からお知らせして、双方の闘技者にお越し頂く事が多いです」
「お知らせするって、手紙でも送るんですか?」
「いえ蘇生の指輪が黄色く光ったら準備完了の合図です。この合図を見たら翌日の午前中までに闘技場に来て頂ければ、決闘を行うことが出来ます」
そんな機能もあったのかよ! ハイテクだなぁ!
驚いていたら、ポーチからナビコが話しかけてきた。
「ユーリ、決闘の申し込みに来たんじゃないの?」
「スピカの話を聞いてからにしようと思ってたんだけどなぁ。居ないのはしょうがない」
「私の説明では不安、という事でしょうか?」
むっとした声だが、デネボラの表情は変わらない。
「あいや、そういう訳ではないんですよ!? ただ、久しぶりにスピカの顔を見れなくて残念だな~って思いまして」
「スピカは可愛いですからね。その気持はわかります」
目を瞑り、うんうんと頷くデネボラ。
アレ? この姉さん、初めて表情を変えたな。
「デネボラ……さん?」
「んんっ、いえ何でもありません」
一瞬で元のクールで事務的な顔に戻る。
な、何だったんだ今のは。
「では、決闘申し込みはどうなさいますか? 今なら勇士ランク最初の決闘となりますが」
今申し込み出来るというのなら、申し込んでおいて損はしないだろう。
特に迷う必要もなかった。俺はデネボラに決闘の依頼をする。
リングが黄色く光ったのは、申し込みした翌日だった。




