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2週間の出来事

 次なるランク――勇士マーシャルランク最初の決闘相手は、魔法使いルックの少女だった。


 年齢は同年代くらいだろうか?

 黒色の布地に大きな白色のラインが入ったローブを着ている。

 赤色のミディアムヘアに白のメッシュが入っているのが一際目を引く。


 正直、めちゃくちゃ美少女だ。

 2次元の美少女キャラが、違和感なく実現化したような錯覚に陥る。

 それにしても、この格好どこかで見たことがあるような……?


 少女は口角を上げて話しかけてきた。


「初めまして、ユーリ。……それとも、ディアグランデの”ユリウス”と言った方がいいかしら?」


 ……ん!?

 この子、俺の取り込まれたゲームを知っている!

 まさか3人目の流派使い(スタイラー)!?


「君、もしかして!」

「ノンノン、望みを叶える為には勝つしか無いって分かってるでしょう? ……”貴方が誰であれ、私の炎は逃しはしない”」


 彼女が掌から赤い炎を出すと、瞳が宝石のように輝き出した。


 今のは、アクションRPG『紅玉の瞳(クリムゾンルビー)死翼の天使(デスエンジェル)』に出てくる、紅玉の瞳(クリムゾンルビー)・クラウディアの決め台詞。

 人気急上昇した主人公キャラで、コスプレ写真が出回るなどネットで有名になっていた。

 ゲームキャラクターそのままの見た目じゃないか!

 まさかこの子、コスプレイヤー……なのか!?


 彼女との邂逅は燃え盛る炎の如く。

 運命の歯車は否応なしに俺を巻き込んでいくようだった。



 * * *



 この決闘が始まるまでに一体何があったのか。

 それを語るため、話は2週間へ遡ることになる。



 ブレイズとダチになって、俺達は異世界転移者……流派使い(スタイラー)同盟を結んだ。

 といっても、元の世界に戻るための情報を共有し合うこと、同じ異世界転移者を見かけたら声を掛ける事くらいしか方針はないけど。


 状況は整理できたが、俺達でも分からない事は多い。

 ブレイズは色々調べてみると言い、あの場は別れた。

 その後王都の図書館で調べてみたが、この融合世界では王都が一番大きい都市であるという事以外、目ぼしい情報を得られなかった。


 ディアグランデのパーティメンバーも探してみたけど、王都は流石に人が多すぎた。

 一番出入りの可能性がありそうな闘技場受付のスピカと、冒険者ギルド受付のお姉さんに仲間の名前リストを渡し、来ることがあったら教えて欲しいとお願いしておいた。

 もし正攻法が難しかったら、あまり頼りたくないが情報屋にも聞いてみるか。


 ……そういえば宿屋のエルフ娘、ナズナに昇格のお祝いをしてもらったっけ。

 あの宿屋は、宿泊者が昇格するとささやかなお祝いをするのが慣例らしい。

 ナズナが料理の手腕を振るったらしく、ささやかの域を超えて特盛な感じの食事を振る舞われた。

 エルフらしく野菜料理ばかりだったけれど、どれも丁寧に作られていて文句なしに美味かった。


 ナズナはいいお嫁さんになるなと言ったら、顔を赤らめて随分挙動不審になってたけどあれは一体何だったんだろう。

 ナビコはアンタ鈍いわねえと言っていたが、はははそんなまさか。

 俺とナズナってこないだ荷物持った程度しか接点がないぞ。


 他に変わった事といえば……街中で声をかけられる事が増えた。

 ブレイズ戦が思ってた以上に注目を集めていたようで、観戦した人から感想を言われたり、名前を呼ばれたりするようになった。


 闘スポにも大々的に記事が載ったらしい。

 見せてもらったら、でかでかと俺がスキルラーニング出来る事が書いてあった。

 流石に隠し通すのはこれ以上無理なようだ。

 記事を詳しく見たら、ちびっ子妖精を侍らせているだとか、決闘で女児を泣かせただとか余計な事も書いてあった。


 うおおい、間違ってはないんだけど書き方ァ!

 何か悪意があるように思えるのは俺だけか!?

 この新聞社、いずれ文句を言わなければなるまい。


 ちなみに、昇格戦の賞金は……見て驚いた。

 戦士ウォリアーランク賞金の4倍、2000Gが貯金へと加算されていた。

 この報酬だけで今までの貯金が倍額以上になった。

 今やちょっとした小金持ちだ。

 次のランクは1勝するだけで2000G稼げるから、闘技者が人気の職業というのも頷ける。

 勿論ハイリスクハイリターンではあるが、ハイリターンの部分が随分魅力的に映るのだろう。


 お金に余裕が出来たので、俺はでかい買い物をする事にした。

 偶然に見かけたある職人の作品に惹かれて、直接仕事を依頼しに言ったのだ。

 俺は商業地区の中でも職人地区と呼ばれるエリアの工房に頻繁に出入りしていた。


 その職人は中々理解のある人で、俺のロマン溢れる要望を否定せずに妥協点を探して実現可能な形へと構築してくれた。

 アイデアが纏まった時は会心の出来と思ったものだ。

 職人からオーダーメイドの為少し時間かかると言われたが、次のシーズンには間に合うようだった。


 ……まあ、お陰で貯金はほぼ無くなったけどな!


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