プレイスタイル ☆
相手が異能力を使ってくるなら、俺はラーニングとスキル発動能力で対抗ってな!
稽古中、思いつきで剣に糸を付けて氣を流し込んだら、意思を持った鎖のように操る事が出来た。
要するに簡易版・鎖剣だ。
流石にこれで切り刻む事は出来ないが、ちょっとした操作なら問題ない。
俺が鎖を手繰り寄せると、ヒュンっと風切り音を出して手元に剣が舞い戻った。
よし、間に合った!
『龍炎刃!』
俺は一回転半をして火氣を剣に流し込み、迫りくるブレイズに叩き込む。
『バックファイア!!』
ブレイズは大鉈を逆手持ちにして切り上げると、大鉈から炎が立ち上がった。
ガキン!! 炎に包まれながら、俺達は至近距離で鍔迫り合いをする。
「面白ェ! さっきは何の手品だ!?」
「手品じゃねえ! スキルと俺の異能力だ!」
「ハッ、それがお前のチカラだあ!? ショボ過ぎて笑っちまうぜ!!」
「やかましい! さっさと倒れろよオマエ!」
「クソ雑魚がァ!! とんだ拍子抜け野郎だぜ! こんなヌルい手で勝てると思ってんのかァ!?」
ガキィン、ガキィン、ガキィン!!!
斬り込んでも全て大鉈で相殺される! 決定打にならねえ!
残りの手、そんなにないってのに!
仕方ない。リスクはあるが、あの手でいくか。
大鉈を押し返した瞬間、俺は空中で剣を手離して、素手で格闘スキルを発動する。
『バグベアブロウ!』
熊の如き打撃を二撃、三撃と両拳から放つ。
ノックバック効果でブレイズの姿勢が崩れた。
――今だ!
『波濤・凌駕!!』
俺は氣の鎖を手繰り寄せ、剣を空中でキャッチして、即座に連撃剣技を放つ。
薙ぎ払いの後、上段からの振り下ろし。
ブレイズは剣に斬られながらも反撃してきた。
『ライジングテンペストッ!』
下段からジャンプしての斬り上げ!
俺は海老反り状態で空中に打ち上げられ、踵落としを受ける。
べしゃりと再び地面に落とされた。
ぐあっ……。コイツ、一撃一撃が重い……!
『グランドヴォルケイノ!』
地面でダウンする俺に、奴は追撃を仕掛けてきた。
炎に身を包んで迫りくるブレイズが見える。
このまま被弾を続けたら、流石に死んじまう!
どうにかしなければ。考えろ、考えろ――!
師匠ならどうするか? 師匠はなんて言っていたか?
『開眼!!』
スローモーションの世界でブレイズを観察する。
奴は腰を落として、獲物を狩る肉食獣のように迫って来ていた。
アイツは強い。小手先の技が通用しない……のではなく、通用してもそれを上回った破壊力で反撃してくる。まるで重戦車。
今まで対戦した事のないタイプだ。
だからこそ、闘いの基本へと立ち戻る必要がある。
基本と言っても、俺には修行で学んだ事しか知らない。
師匠が俺に教えたのは「視る」「識る」「考える」こと。
この3点を実践しろ、という大雑把な教えのみ。
要するに相手の闘いを分解しろ、という事なのだが……。
ブレイズという男、異世界転移者だけあってかなり情報量が多い。
ナビコの言う通り、情報に惑わされすぎてもいけない。
いっそシンプルに考えよう。
何故、アイツは防御をしないのか?
何故、アイツを強いと思ってしまうのか?
何故、アイツはあんなに飢えているのか――。
今までの行動を振り返る。今までの発言を思い返す。
もしかして……。この超攻撃的スタイルは、プレイヤー・”ブレイズ”としてのプレイスタイル、なのか?
奴は格ゲーで世界一位を取る程の実力者だ。
プレイヤーの数だけキャラの動かし方があるが、中でもブレイズは”攻め一辺倒”スタイルに見える。
偏執的までの攻めへの拘りを貫き、今まで勝利を掴み取ってきたんじゃないか?
これが奴の強さの源か。
プレイスタイル。
その言葉に、俺はハッとした。
それならば俺のプレイスタイルは何だ。
ブレイズの1つを深く突き詰めるタイプとは違い、俺は幅広く手を付けるタイプだ。
俺のプレイスタイル。それは幾つもの”ゲーム知識がある”事に他ならないのではないか。
なら、俺のゲーマーとしての経験を活かす時だろ!
俺はあのキャラクターを知っている。アイツが出すコンボを知っている。
恐らく、グランドヴォルケイノの突進の後に来るのは、ライジングテンペストからの踵落とし。
俺が防御を固めたら、投げからの斬り上げ、ジャンプと繋ぎ、空中でヴァルカンレイド。
そんなコンボをするのではないだろうか?
……なら、それを見極めればいい!
相手のコンボ始動を受けないようにして、自分のコンボを差し込む。……格ゲーの基本だ。
それを、今俺が持つスキルで対抗すればいい!
何だか行ける気がしてきた。
そう、名付けるならばこれは――『知恵袋ッ』!!
……いやちょっと待て。ダサい。何かおばあちゃんぽい。
えーっと別。別の名前にしよう。
そう、『攻略本ッ』! 本じゃないけど!!
『――スキル”攻略本”を獲得しました』
脳内に響き渡る天の声。
えええぇぇ!!
結構適当言ったけど、マジでスキルになっちゃったの!?




